第3話 君の居ない学校
「で、愛芽は何が望みなんだ?」
「う〜ん、」
考え初めて数秒後、あっ!と何か思いついたかのように声を上げてから
「じゃあ...今日一緒に帰ろ?」
一緒に帰ることは少し驚くが
(まぁ、一緒に帰るぐらいなら)と思い。
「それが罰ゲームならまだマシだな……」
と少し安堵した。そこで視線を感じた。
視線を感じる方を見ると部長がニヤニヤしながらこちらを見ていた。
いつの間にか靴箱に来ていてこっそり聞いていたらしい。
「いいな、今のうちに青春しとけよ。進路を考え始めたらそんな暇無くなるからな。」
「青春って...俺はからかわれているだけですよ」
「なんでからかわれていると思う?」
(なんでか...なんでか聞かれたら理由は分からないな、そもそも入学式で会ったばかりなのに妙に馴れ馴れしかったんだよな...)
「それは分からないですね」
「分からないのか...」
と部長は3年の靴箱に向かう
「お疲れ様です!」と一声挨拶して……
その後俺と愛芽は2人で帰路を辿っていた。
「今日は予報だと雨が降るだよな...」
俺は空の雲色が悪いなと思い、ふとつぶやく、
すると...
「えっ?今日雨なの!?」
と愛芽が何やら焦り出す
「予報だけど、この空を見たら降りそうだな」
「雨だと何か都合が悪いのか?」
「いや...ちょっとね、折り畳み傘を忘れたから」
(折り畳み傘を気にするなんてやっぱり女子力高いな)
「そうえば、もうすぐ課題テストだね!」
「そうだなー」
(うん?)
「もちろん勉強してるよね?零?」
(課題テスト?)
「ちなみに...後何日ぐらい?」
少し顔を下に向けて愛芽に質問をする
「3日後だけど?」
少し愛芽がにやりとした表情で言う。
(完全に忘れていた...やばい...てか、課題テストってなんだよ!中間テストと期末テストだけでいいだろ!)
この学校では春休み明け、夏休み明け、冬休み明けは課題テストがある。
「俺急用思い出したから急いで帰るな!」
(早く帰って勉強しよ...)
「じゃあな!」
「うん、勉強頑張ってね」
バレてるなと思いながら家に向けて走り出す
家まで3分で着くぐらいまで走った頃だろうか...
雨が降ってきた...
(これくらいの小雨なら大丈夫、)
そう思い走るスピードをあげた。
(………愛芽は大丈夫だろか?)
次の日
学校に来ると愛芽の姿がなかった。何か遅れる理由でもあるんだろうと思い特に気にしなかった。
(.....)
(あれ?俺って愛芽がいないともしかしなくても...ぼっち?)
先生が教室に入ってきて
「今日の欠席者は愛芽さんだけかな?欠席連絡は来ているので問題は無いですね!」
と言い始める...
(ぼっち...いや...友達を作ろう!)
朝の会で普通の人は眠気が取れずにぼーっとしている中俺はそんな決心をしていた。
そんな決心をしたのはいいんだが...
気づけば既に昼休みになっていた。
こんなに人と喋らないのは小説的にもまずいんじゃないか?と思いながら作戦を立てる
(作戦1:ご飯一緒に食べよう作戦
これは既に一緒に食べるグループが出来てしまっているので難しい...除外!
作戦2:一緒にスマホゲームしよう作戦
これも既に一緒にゲームするグループが出来てしまっているので難しい...除外!
作戦3:なし...諦める)
脳内で諦めるという結論が出た
(別に友達を無理に作る必要は無いもんな。)
そんな感じで諦めていると...
「ねぇ君!隣に座っていい?」
となりの席は愛芽だが休んでいるため空いている
その席に俺に話しかけてきた子が座る
「あの...」
ここで陰キャを発動しても何も変わらない、決心した俺は思い切ってその子に話しかける。
「俺と友達になんない?」
空気が凍る音が聞こえる
(そうだよな...まずはなんで隣の席に座ったのか質問するのが順序ってもんだよな...)
「ぷっ...あはは」
「第一声それ?面白いね君!いいよ友達になろう!」
(あれ?この人もしかしなくてもめちゃくちゃいい人?)
「俺の名前は大輔だいすけ、鈴木大輔すずきだいすけだ。実は話しかけようと思ってたんだけど常に周りに愛芽さんがいて話しかけずらかったんだよな」
「俺は零、よろしくな」
大輔は手を俺に出してくる
(これ?陽キャの中で流行ってるのか?)
とまぁ混乱しながらも俺も手を出す...
これなんか...何故か俺はこの後を予想出来てしまう...
「冷たっ!」
予想通り大輔が叫ぶ
なんかデジャブ感じるな...
「俺の手は普通により冷たくてな」
「お、おう、夏はかなり楽らくそうだな零...」
(言われてみれば今まで夏に暑さで苦労したことはなかったな)
と感じる
「テスト2日後だけど大輔って勉強したのか?」
(偏見だが、大輔は勉強が出来そうだからな...出来れば勉強を教えてもらいたい)
「俺か?全くもってやってないぞ?」
意外な返答に少し驚く
「そうなのか...テスト2日前だからやばいんだよなぁ」
「まじか?偏見で悪いが...零って真面目そうで勉強出来そうだし、ていうかそれで教えてもらおうと声かけたんだけど?」
(俺と全く同じことを考えていたのか...)
「一緒に生き残ろうな...」
高校はもちろん赤点があるので補習は必ず避けたい!増してはこの時期は文化祭準備に影響してくる
「ああ!」
ここに新たな友情が生まれた...