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君の手は雨より冷たい「修正版」  作者: 紡雪
第一章

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23/65

第23話 君の初試合2

「なんで?」

「しゃ!」

千田が短く、小さく叫ぶ。

「ワンラブ(1-0)」


観客席で見ている鷹梨と鈴木は察す。

「あの軌道は…粒ラバーか?」

粒ラバーとはボールが当たった瞬間に、ボールの衝撃を吸収するので、相手ボールの回転やスピードを殺すことができる。その上粒が曲がったときに 相手の回転やスピードは予測不可能な変化ボールになって返球される。特殊なラバーだ。


「零くんに粒ラバーのこと教えた?」

鈴木が鷹梨に聞くと、鷹梨は手で顔を抑えながら

「いや…」

と言ったことに対して、鈴木は短く「バカ梨…」と返す。


「そうなるとまずいぞ…観客席からアドバイスをするのは禁止だ。」

「零くん…」


零は再びサーブを打っても、予想外の回転でボールは返ってくる。そして、ボールを打ち返しても、今度は下回転が入っていて、ネットにボールは阻まれる。


「ツーラブ(2-0)」

(くっ………!)

心の中で叫ぶ


そこからは相手のミスでしか点は得られなかった。

「テンスリー(10-3)」

「マッチポイントです!」

審判が宣言する。

零は一か八か…とボールを真上に高く上げる。ロビングだ。


観客席では鷹梨が叫ぶ。

「それは悪手だ!」

回転が分からなくても高くあげることで、無理やり入れようとしたのだろう。けれど…

「打たれる!」鈴木も言う。


2人の言う通りに、相手コートでボールは高くバウンドする。”チャンスボール”だ。

千田は思いっきり、パーンと言う音のなるスマッシュを打つ。


「テンフォー(10-4)」

ボールは台をオーバーした。結果零の得点になる。

「相手のミスで命拾いしたわね…」

と言う鈴木に鷹梨は否定する。

「いや、違う。零は相手の回転を利用したんだ。」


「これは紛れも無く、零が取った得点だ!零がこんな早めに適応し始めたから、まだ勝ち目はある!」



日向は愛芽の試合を見える位置に移動している。

「愛芽ちゃんの相手も1年生か…しかも強豪校…」

(零くんといい、うちの1年運悪くない?)そう思いながら、試合のよく見える場所に着く。

「おっ、やってるね〜」

既に試合は始まっていて、点数を見ると。日向は思わず顔が微笑む。


「すごい…愛芽ちゃん」

愛芽ちゃんは相手を圧倒していた。

既に1セット取っていて、点数は8-3で優勢だった。

日向は1年生に才能のある子が入ってきたことの喜びと、すぐに自分の実力が抜かされるかもしれない…そう感じた。


「それに…汗一つかいてない…」

愛芽ちゃんは相手を翻弄するように、色んな回転を左右にフェイントをかけながら打つ。そして相手のミスを待ち、点を取っている。だから愛芽ちゃん自体はそこまで動いてない。


「くそ…!!」

と最後の力を振り絞って対戦相手はスマッシュを打とうとする。

愛芽はこういう追い詰められた状況は、私自身を目掛けてスマッシュを打つと予想して、ラケットを後ろに引く。


相手は全力のスマッシュを打つ。

(ボールは見えないけど、打つところを予想出来れば…)

「打ち返せる!」

一瞬の出来事だった。見事に愛芽のラケットにボールは当たって、カウンターが決まる。

愛芽が点数を見ると11-3、2セット先取だから私の勝ち!

「よしっ!」

と小さく呟いて。


「結果を本部へ伝えに行ってください。」

と審判の子に言われ、愛芽は本部へ向かう。


「愛芽ちゃん勝った〜!」

日向は電話で鈴木に電話する。

「すごい!相手強豪校でしょ!?」

「うん!余裕で勝っちゃった。」

「すごい!」

電話越しで、部長に「愛芽ちゃん勝ったって!」と言っているのが聞こえる。


そして日向は気になっていることを聞く。

「そっちはどう?零くん」

すると…鈴木はしばらく黙り込む。そして…3.4秒後に


「負けちゃった…」

と小さく言う。

「相手が悪かったの。粒だったし、そして何より…」


「彼。俺より強い。」

と急に鈴木の電話から部長の声が聞こえる。その言葉に日向が驚く。部長は県大会の常連と言っていいほど強い。その部長より強いなんて…


「零くんにお疲れ様って言っておいて…」

零くんが審判を終える頃には私はちょうど試合だと思い、そう言い残した。

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