第12話 君の親切心
国語の授業中
(文化祭が終わってすぐまた授業か〜)
「では!近くの人で2人組のペアを作ってください!このお題について話し合って見ましょう!余った人は先生とペアですね!」
その言葉を聞いて、先生とのペアは少し恥ずかしいので誰かを誘おうと思った。
1番誘いやすいのは大輔!普段優しいから誘いやすい。そう思って左を向くと、既にペアが決まっている様子だった。
(まずい…)
どうしようか……前の人?早くしないと余って先生とのペアになってしまう。
迷っていると……後ろからちょんちょんと背中をつつかれる。後ろを見ると……
「零、ペアにならない?」
誘ってきたのは愛芽だった。
「え?」
クラスでは人気のはずの愛芽が誘ってくるのにびっくりして思わずこの声が出る。
(女子とペアを組むのは気まづいよな〜)
そう思ってるとクラスの男子、稲木が
「愛芽さん!まだペアいないならペアにならない?」
と言ってくる。けれど……
「ごめん!もう零と組むって決めたから」
と笑顔で即答する。
少しの悩みもなしに?というか俺何も返事してないんだけど……
そう思いながら
「なんだよアイツ!愛芽さんと仲良いのか?」と小声を放ち席に戻っていく男子生徒の背中を見送る。
俺も混乱してるんだよなぁ〜と思いつつ視線を愛芽に戻す。
「じゃあ、意見交換をしよっか!」
他に組める人は居ないし、気まずいけど愛芽とペアになった方がいいな……
「うん…」
と短く返事をする。授業はそのまま何事もなく進み、チャイムがなることでこの気まずい時間が終わる。
その後、国語の授業では辞書を使ったので、その辞書を片付けようと係の人、確か名前は麦村さん?が運んでいた。けれど、辞書が3冊ほど持ちきれずに困っている様子だった。
手伝った方がいいよな…
いくら陰キャでも困っている人を見て見ぬふりはできない……
そう思って声をかける。
「麦村さん、手伝うよ…」
「えっ?あ、ありがとう」
混乱している様子だったが、俺に半分ほど辞書を渡す。辞書をもらい、準備室に運ぼうと廊下に出る。
(この辞書半分でもすごく重く感じるのに、さっきまで8割持っていたのすごくない?)
辞書の重さにそう驚く。
準備室に向かう廊下の最中、大輔が声をかけてくる。
「零、何してんだ?」
「辞書を運ぶの手伝ってる。」
「なるほど…」
そう呟いたあと、辞書を麦村さんと俺から2冊ずつ取る。
「俺も運ぶよ」
そう一言、言って手伝ってくれる。
「ありがとな!」
「ありがとうございます。」
そうお礼を言った直後、大輔は歩くのを止める。
「どうしたんだ?」
「……、」
大輔は何も言わない。
(かっこうつけて持つよとか言ったけど、俺非力なんだよ!でもそんなこと恥ずかしくて言えるかー!)そう大輔は心の中で叫ぶ。
(歩け!進め!)
大輔が何も言わずに一歩進んで俺は心配になる。
「体調でも悪いのか?」
「いや、少し貧血でクラっとしただけだよ…」
準備室へと重い1歩を踏み出し続ける。
(あと少し!)大輔は自分に喝を入れて進む。
「おーい!大輔何やってんだ?」
後ろから男性の声が聞こえた。
「って!お前非力なのにそんな辞書運んで大丈夫かよ?俺も運ぶぞ!」
俺(大輔)が後ろをむくと友達の稲木がいた。
「ちょ、お前!余計な…」
「あっ…」
そこで零と目が合う。
恥ずかしくて耳が赤くなる。
(この見た目で非力なんておかしいよな…)
次の瞬間!
「お前!零だったか!?大輔に辞書を無理やり持たせたのか!?」
と叫び出す。
(え?)と思う零
「違う!俺から手伝ったんだ」
と大輔は言うが、無視して
「ふざけんな!!俺の親友に!」
そう言って零に怒鳴りつける。
おまけ
麦村さんの心情
「麦村さん、手伝うよ」零君がそういった時
(私普通に一人でもてたのにな、だって私、力持ちだし)
「俺も運ぶよ」大輔君がそういった時、
(また軽くなった、なんか重さが物足りないな…)
「ふざけんな!!俺の親友に!」稲木君がそういった時
(なんでこんなことに……私は空気、私は空気、私は空気)




