第1話 君の手は冷たい
今年の春。俺は 桜木丘桜夢高校に入学した、
俺の名前は零。
高校の入学式を終え、教室で新しい雰囲気を感じていた。今は授業で自由に自己紹介をする時間だ。やっぱり友達は数人作りたい、ここで友達ができるかできないかでこれからの学校生活が決まると言っても違いない!
隣の席の子に話をかけるのが1番無難だと思うんのだが...女子だから話しかけずらい...
そんな事を考えていた時だった。
「君...」
隣の女子がそう声を掛けてきた。
「はい...なんでしょうか⤴?(裏声)」
声を掛けられたことに動揺して声が裏返ってしまう...
「.....消しゴム落としたよ?」
と言って消しゴムを俺に差し出す、その時少し顔が笑っているように感じた。
「ありがとう!」
相手が敬語を外していたからこちらもそれに合わせて敬語を外す。
ここで陰キャを発動してもしょうがない...
「私は愛芽、よろしくね!えっと...」
「俺の名前は零だ。よろしくな」
挨拶を交わした後に愛芽は手を出してくる...
「...?」
困惑する俺...
「何ボーッとしてるの?握手よ」
...陽キャだな、と思いながらその手を握る、
その瞬間!
「冷たっ!!」
愛芽が叫び出す
言い忘れていたが俺は他の人と違って少し手が冷たい性質である...
「すまん...俺の手は少し冷たい性質なんだ」
すぐに俺は愛芽に謝る
「少しどころじゃないでしょ?ものすごく冷たいんだ
けど?あなた本当に生きてるの!?」
「そんなにか?」
思った以上にびっくりされて俺もびっくりする。
「まぁ...よろしくな」
(チャイムの音)
そんな会話をしていたらチャイムがなり、授業が終わった。この後は入学式なため、これ以上授業はなく下校になる。
「新しい学校生活が始まり、これから大変な時期になると思います。でも楽しいことも沢山あります。5月の下旬には文化祭があるので楽しみにしておいて下さいね!」
という担任の先生、後藤先生の話を聞いて下校となった。その後俺は下校の準備をしていた。
「零、一緒に帰ろ〜」
先程会ったばかりなはずなのに、なぜかこんなに俺に絡んでくるため...俺は混乱してしまう。
てか...だれでも混乱するな...
「愛芽...少なくとも今日会ったばかりだよな?さすがに俺を信用しすぎじゃないか?」
「別にいいでしょ?さっ、帰りましょ!」
愛芽の勢いにそのまま乗ってしまい結局一緒に帰ることになった...
下校中...たまたま家が同じ方向なのか、愛芽とは帰り道が同じだった。
(正直かなり気まずいな...まず、女子と一緒に帰るのなんて幼なじみのあいつぐらいだったからな
普通に、意識しようとしなくても意識しちゃうだろこのシチュエーションは!)
「零はさ、好きな花とかあるの?」
愛芽がふと質問を俺にしてきた。
「好きな花か...”ヤブラン”とかかな?まぁ紫色が好きって言うのもあるけどな」
「愛芽はなんの花が好きなんだ?」
と質問をし返した
「う〜ん...特にない!」
きっぱりと言った愛芽に
(じゃあなんでこの質問したんだよ…)
と心の中でツッコミを入れる俺
後少しで家に着くところで...
ポツ...ポツ...
太陽が見えて曇ってないのに雨が降ってきた
(予報にはなかったがこれぐらいの小雨なら別にいいか)
お天気雨かと思っていると、バサッという音が隣からした。
愛芽が折り畳み傘を開く音だった。
そちらをむくと…太陽の光が雨を照らし、不思議な光景だった。
(予報になかったのに持っているなんて女子力高いんだなぁ)
「傘にしては少し小さいんじゃないか?」
ふと思った質問を愛芽に投げる。
「まぁ...折り畳み傘だしね」
その瞬間愛芽がにやりと笑う
「なに?傘入りたいの?」
「別にそういう訳じゃねえよ!」
間髪入れずにツッコミをする俺
「私の家あっちだから、また明日ね零!」
(ここまで来たらすぐ俺の家だから愛芽の家は近いのかもな...)と思いながら
「また明日な」
と愛芽を見送ったその直後あることを思い出す
(.......明日休みじゃん!)
こんなからかわれる学校生活が続くのだろうか?
そんな事を考えながら帰るのだった...