「合わせたところで無駄な渡世」
お姉ちゃんが啜り泣く声が聴こえる、目障りだし喧しい。
男に振られたのかな?煽ってやれば少しは黙るかな?
何でこの家にいるのかなんて当然でしょ、生きたいからに決まってんじゃん。
だって本来の学生ってもっと楽しめるもんじゃないの?ドラマとか漫画とかアニメとかでやるじゃん?
なのに私の家庭ってまるでバッドエンド真っしぐらの家庭じゃん。
何も楽しくない、嬉しくない、感情が死んでいくばかりで無味乾燥の生活が続くなんて地獄じゃない?
もっと馬鹿らしく生きてた方が楽しかったんじゃない、なんて今更言ったって後の祭りだし、もう家庭は崩壊しかけてる。
両親も下らない戯言で喧嘩してるし・・・もう疲れた。
部屋に帰っても寝るだけ、お姉ちゃんは相変わらず殴ってやりたい程泣いてる。
こんな家、全員死ねばいいのにね。
両親はどっち事故死とかさ、姉は・・・なんかで亡くなるとか・・・いや・・・植物状態とか・・・それか記憶喪失とか。
それだったら嬉しい・・・嬉しいんだよ…
「ぐす・・・何で・・・?何で悲しいの?」
お姉ちゃんと同じ泣き方してるなんて嫌だ、もっと不幸な事考えよう・・・!そうだよ、お姉ちゃんは強姦遭って・・・痴漢に遭って・・・違う。
八つ裂きのバラバラとか!全身強打とか・・・骨折とか・・・違う。
お姉ちゃんが嫌いなのに・・・どうして辛い顔が見たくない。
お姉ちゃんなんか大嫌いなのに・・・死んで欲しくない。
お姉ちゃんなんか死ねばいいのに不幸な事を願いたくない。
ベッドで転がりながら必死に考えてもどうしても考えつかない。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!」
ダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメダメ!!!!
「お願いだから・・・もう寝かせてよ」
目を閉じて夢の中でもまたお姉ちゃんが出てくる。
二人で“喫茶店”やってたり、“冒険者”になったり、二人で“未知の大地”に行ったり、ハッピーエンドにはならないけど何度でもやり返してさ、ゲームみたいに真のエンディングに辿り着きたいと藻掻く。
きっと真のエンディングは救済だと思ってるから。
お姉ちゃんが一番だから。