「反り合わない二人」
「おはよう」
「ん」
「今日は何時に帰るの?」
「私の勝手じゃん」
「そう、ならご飯は良いの?」
「死んでもいいなら」
「はぁ、分かった」
姉妹の軋轢は一月経過する度にどんどん酷くなる。ずっと二人で啀み合い睨み合う、冷たい食事になっても収まることが無い。
「お姉ちゃんは何でバイトやってんの?」
「貴女に関係ないわ」
「彼氏でも欲しいの?」
「今は好きな人居ないわ」
「友達居ないもんね」
「・・・・・・」
どうしてこうなってしまったのか、本当に私と妹は仲良く生活する日が来るのだろうか?
☆★☆★ ユイの一日
少し知り合いに挨拶を交わして真面目に授業を受け、休み時間になれば欠かさず二人で暮らす為の金を計算する。
低予算でどれまで凌げるか、妹に何処まで愛してあげられるのか私次第。
クリスマスまで後少し、低予算で自作出来るものは何でも作る、美味しい料理だって沢山作る。
そしてその日に謝るんだ。
二人で暮らそう、私が妹を守ってあげるんだ。
大丈夫、ユカリちゃんは耐えてくれる。
ユカリちゃんは強い娘だから。
☆★☆★ ユカリの一日
「おはよユカリ、昨日も喧嘩したん?」
朝になりやることも無いから学校に向かい、体育館の裏の溜まり場に着くと腐れ縁の友達に昨日の喧嘩についてドヤされる。
「あのクソ姉ホント使えないよ、見てるだけの優等生なんだよ」
「まぁまぁ、タバコ吸う?」
紫陽花色の髪をした不良だけど話してて少し気が楽、未成年だけどタバコを吸うと少し気が楽になるんだ。
「いい、あのビッチ姉にドヤされる」
「ちょっと酷くない?」
「さっさと死ねばいいのにね?そしたらアイツの金盗れるのに・・・」
姉を悪く言わないと気が済まない、どうせあの体型だ、淫乱ビッチでしょ?夜の仕事は多分そういう仕事だと面白いかも。
「お姉ちゃん、本当は大切にしたいんじゃね?」
だがその不良は煩く悟ってきた。
「んなわけ無いよ、もうとっくに愛想尽きてるよ・・・じゃなかったら今頃お姉ちゃん大好きだもん」
優しくて包み込んでくれるような慈愛の眼差し、何でもこなせて私の事を一番に想ってくれてたのに・・・歳は重ねる度に心が変わってしまったんだろうか。
そんな下らない妄想に耽り、つまらない授業を聞き、また帰る。
そして次の日になるまで両親と姉と喧嘩する。
それが毎日のルーティン。