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その11


 その日の昼休み。クピトは相変わらずたくさんの女子に囲まれている。


  ――確かに、正体を知らなきゃ、あいつ、超絶イケメンなんだよなぁ・・・

 その様子を見て、つばさが心の中で呟く。



「ねえ、ねえ、九尾堂(くびどう)くん、これ食べて、おいしいよ。はい、あ~~ん」

「えっ? いいんですかぁ? いただきます。今日ぼく、お弁当ないんで」

「そうなの? じゃあ、私のあげる!」

「私のも」

「私のも食べて! 今日のは私、自分で作ったんだよ!」

「いやぁ~、そんな、みなさん。悪いですよ。それに、そんなにたくさん食べられないですよ~、えへへへ・・・」



 ――ふん!! 何よ~~、「私のこと守る」、だなんて、調子のいい事言っちゃってさ! ちょっと顔がいいからって、ただ女の子にチヤホヤされたいだけじゃない!!



  ****



 教室を出ると、つばさは一人で、朝の武藤先生の呼び出し通り職員室に向った。すると先生は不在で、他の先生から、国語科準備室に来るようにとの伝言を聞いた。


 つばさが準備室のドアをノックすると、中から返事をする武藤先生の声が聞こえた。

「失礼します」

 ドアを開けて中に入ると、先生は奥の窓際でこちらに背を向けて立っていた。


「よかった。凍蝶(いてちょう)、来てくれたか」

「あの、先生、話って。もしかして・・・」

「ああ、そうだ。昨日の件だ。考えてもらえただろうか・・・」

 そう言って武藤先生はゆっくりと振り向いた。完全に眼が()ってしまっている。


「そんな、先生、考えるも何も、私たち先生と生徒だし・・・」

「そんなことは…、もう…、かんけい、ないんだぁ!!~~」


 叫んで武藤先生がつばさに駆け寄った。ひらりとつばさが身を()けると、勢い余って先生は部屋の出入り口の戸にド~ンとぶつかった。

 しかし、そのままゆっくり振り返り、にやりと妖しく笑うと、静かに後ろ手でカチャリと部屋の内鍵を掛けた。


 ――えっ? なに? 閉じ込められた? 私・・・


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