その11
その日の昼休み。クピトは相変わらずたくさんの女子に囲まれている。
――確かに、正体を知らなきゃ、あいつ、超絶イケメンなんだよなぁ・・・
その様子を見て、つばさが心の中で呟く。
「ねえ、ねえ、九尾堂くん、これ食べて、おいしいよ。はい、あ~~ん」
「えっ? いいんですかぁ? いただきます。今日ぼく、お弁当ないんで」
「そうなの? じゃあ、私のあげる!」
「私のも」
「私のも食べて! 今日のは私、自分で作ったんだよ!」
「いやぁ~、そんな、みなさん。悪いですよ。それに、そんなにたくさん食べられないですよ~、えへへへ・・・」
――ふん!! 何よ~~、「私のこと守る」、だなんて、調子のいい事言っちゃってさ! ちょっと顔がいいからって、ただ女の子にチヤホヤされたいだけじゃない!!
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教室を出ると、つばさは一人で、朝の武藤先生の呼び出し通り職員室に向った。すると先生は不在で、他の先生から、国語科準備室に来るようにとの伝言を聞いた。
つばさが準備室のドアをノックすると、中から返事をする武藤先生の声が聞こえた。
「失礼します」
ドアを開けて中に入ると、先生は奥の窓際でこちらに背を向けて立っていた。
「よかった。凍蝶、来てくれたか」
「あの、先生、話って。もしかして・・・」
「ああ、そうだ。昨日の件だ。考えてもらえただろうか・・・」
そう言って武藤先生はゆっくりと振り向いた。完全に眼が逝ってしまっている。
「そんな、先生、考えるも何も、私たち先生と生徒だし・・・」
「そんなことは…、もう…、かんけい、ないんだぁ!!~~」
叫んで武藤先生がつばさに駆け寄った。ひらりとつばさが身を避けると、勢い余って先生は部屋の出入り口の戸にド~ンとぶつかった。
しかし、そのままゆっくり振り返り、にやりと妖しく笑うと、静かに後ろ手でカチャリと部屋の内鍵を掛けた。
――えっ? なに? 閉じ込められた? 私・・・




