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屋根裏ネコとネズミのお嫁さん

作者: 黒楓

『なろうラジオ大賞4』参加作品です。






<その時>

許せないと思った。

命を繋ぐ為では無く、ただの遊びでネズミに爪を牙を掛け転がすコイツらを!!


僕もあちこちやられたがそれよりもっと深い傷を負った4匹は散り散りに逃げ去って僕の足元には小さく震える毛玉がひとつ。


なんて僕は愚かなんだ!! この子の命が消えようとしているのに!!

僕は母にしてもらったようにこの子をふんわりと咥え、屋根裏に連れ帰った。


<そして>

目が覚めると私はネコさんの腕の中にいた。その“温かな毛布”からそっと抜け出すと体中にネコさんの匂いがして…私はネコさんに救われたのだと知った。

だから私は…少し舌を覗かせて寝入っているネコさんにキスをして囁いた。


「素敵な王子様!あなたの名前を教えてください。そして名も無い私にどうか名前を付けてやって下さい」って


<かわいい>

はなちゃんが僕を起こす時はおひげの先で鼻をくすぐり、くしゃみでぴょこぴょこ動いた僕の耳にトクトク脈打つ胸を押し当てるんだ。

「起きて起きて起きて」って囁きながら



<愛しの>

バトラ様の右瞼には私を守ってくれた時に付けられた爪痕が残っている。

それが切なくて私は傷跡に何度もキスするのだけど…ツレナイ彼はちっとも起きてくれない。

私はイジケ虫を発動させて彼の鼻先を悪戯し、早鐘打つこの胸を耳に押し当てる。

「早く起きて私と遊んで!私にはあなたほどの時間はないの!!」と


<花が大好きな>

はなちゃんがこの頃僕を表に誘わない。

一日中僕の懐に抱かれて一日中僕とお昼寝をしている。

そう言えば最近押し当てられる胸の音が「トクントクン」になって来た…


<死から>

私を救い出し惜しみない愛を注いでくれたあなたにわがままを言います。

どうかその牙で…私に甘い死をお与えください。

どうか私を平らげて

私をあなたの一部にして

ずっとずっと一緒に居させて下さい。



<はなちゃんの願いを>

僕は聞く事ができなかった。

僕は彼女をふんわり咥えて、彼女が好きだったお庭に掘られた穴に降り立ち、更に深く手堀りして彼女をそっとおさめた。



<夢の中なら>

彼女の鼓動を聞けたから、僕はずっと屋根裏に居た。

季節は廻り、屋根裏を訪れた桜の花びらが僕の鼻先をくすぐる。

外を見ると“彼女の上”は満開の桜だった。



<どうかどうか>

僕が死んだら

桜の木の下に埋めて下さい。

そしたら僕達はひとつの桜の精となり

あなたの窓辺に

毎年毎年幸せをお届けします。







真夜中に突然頭の中に降って来て…

起き抜けに歯磨きしながらお話を育てていたらドンドン膨らんで来て

グシュグシュ(T_T)になりながら書きました。


1000字に詰めるのが辛かった(/_;)


およそ童話の文体ではございませんが…

童話のテイストなのでこちらでアップいたしました。



ご感想、レビュー、ブクマ、ご評価、いいね 切に切にお待ちしています!!<m(__)m>

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― 新着の感想 ―
[良い点] 涙が、でました(/へ\) ページをめくっていくようなお話の組み立てが、 今までにない形で好きです。 [一言] 心に残る物語を 拝読させていただきありがとうございました。
[一言] イイハナシダナー ( ;∀;)
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