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大横綱・穂羅伊損丸

 私イカって大好き!屋台のイカも好きだし、イカ飯もお刺身も好き!これこそ似ても焼いても良し!


 正に無脊椎動物界のバイプレイヤー!


 で、でもまさかダイオウホウズキイカを釣るなんて、聞いてないよ~!一体全体どうなっちゃうの!?


 でもそんな巨大なイカも食べたらきっと美味しんだろうな♡そんな事を物思いに耽っていた時!えっ!?ちょっと持って河童が釣れた!?……河童って美味しいの?


 次回!炎のクッキングファイター朱里!!


 イカに恋する乙女!種族の壁を超えた愛はイカんともし難い!来週も絶対見てね!



         —————————



「いってえ。これ血出てない? ねえ」


「さっ! 気を取り直してイカを釣らなきゃね」

 

「おい。聞いてんのか。せめて針は抜けや」


「そうだね! 日銭を稼ぐのも一苦労だよ」


「ちょっと場所変えようか、なんかカッパの鳴き声みたいな耳鳴りがするよ。モスキート音は10代の私には効果的面だよ」


「僕はこの前聴力検査したら少し高音が聴き取り辛くて参ったよ」


「おい、お前ら。耳だけじゃなくて目もおかしいから今から眼科行ってこい。なんでこのパッションピンクの裸体が目に入らないんだよ。金が無いなら初診料ぐらい出してやるから行ってこい。俺を病院に連れて行くついでに眼科に行ってこい」


 うるさ。早口のねちっこい汚らしい河童だな。皿に刺さった釣り針なんて最先端のファッション位に思っとけばいいのに。ていうか皿の軟骨ってなんだよ。


「私、河童嫌いなので。失礼します。クリス行くよ」


「お前失礼にも程があるぞ。初対面の河童にそんな事を言う奴いる? 俺じゃなかったら皿割れてんぞ。せめて針抜けや」


「そうだね朱里。せめて釣り針位ないてあげでいいんじゃ無いかな? 青い血も出てるし」


「河童ってさ、口を開けば胡瓜くれ、胡瓜美味いって(苦笑)ギネスにも載るくらいカロリーの低いもんばっか食ってどうやって生命活動維持してるのかも謎だし、なんだっけ? 尻子玉(失笑)? 食べるのそれ(嘲笑)」


「泣いていい?」

 

「……何が君をそこまで河童を忌み嫌う原因を作ったんだい? 朱里、良かったら僕に話してくれないか(ワクワク)」


「私が『恋☆どす』の熱烈なファンだという事はもうご存知だよね? 記念すべきゲーム第1作目のエンディングストーリー『井太利亜の海、千秋楽に散る』を確認してもらえれば分かると思うんだけど」


「聞いといてなんだけど、長くなりそうだからサクッと説明お願いしていいかな?」


「ミシシッピ場所の千秋楽の前日に、大横綱・穂羅伊損丸の息子でライバルの餅詰まらせ山に勝つ為に、井太利亜の海様は師匠の河童に修行つけてもらう事になったの」


(ダメだ。スイッチ入ってる。こうなった朱里は誰にもその歩みを止める事は出来ないっ!)


「そこで井太利亜の海様は、その優しさから今一つ勝ちきれない心の弱さをつかれ、立派な尻子玉を河童に抜かれてしまったのよ」


「それ死んじゃうんじゃない?」


「いえ。勝負に徹する非情の心だけを残してその甘さという名の尻子玉を激痛に耐え、そして……抜き取ったの」


「そっそれで?(ドキドキ)それで?(ワクワク)」


「どうでもいいから早よ針抜いて」


「しかし井太利亜の海はその優しさ故に強い心を持っていたのね。そして悲劇が起こるわ。行事の声がかかったその刹那。ライバルの餅詰まらせ山の猫騙しで意識を失い、立ち合いの勢いのままに土俵に前のめりに倒れたのよ」


「そ、そんな(泣)」


「だから河童は嫌なのよ」


「納得だよ。もしかしたら井太利亜の海は努力せずに力を得る事が出来ないという事を、その身体をもって僕達に教えてくれたのかも知れないね」


 涙!?朱里の目にあんなに綺麗な涙が!?


「ふふ、ごめんね。湿っぽくなっちゃったね! さあ、ダイオウホウズキイカを釣って皆んなで食べましょう!」


「食べるんじゃなくてギルドに納品だろ? おっちょこちょいだな朱里は」


「あちゃー! またやってしまいました! コツン、ペロ!」


 あははははははははははははははははは。


 


 河童が少し生臭いから鼻声で話してたのは秘密だゾ☆

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