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秘技。

 やった、追いついた!やっぱり速度を出した方が安定するかも。


「速すぎますよ! 途中で振り落とされるかと思いましたよ!」


「ごめんね、でも私に繊細な力のコントロールを求めるのは諦めた方がいいよ」


「そこは諦めないで下さいよ。だけど肝に銘じておきますね。あ、朱里様! あそこにライカがいますよ!」


 本当だ、良かった。リルちゃんもクリスもいるし、三人共無事みたい。だけどなんでライカだけ飛竜と戦ってるの?なんにしろ私も加勢しなきゃ。この高さなら飛竜を撃ち落としても平気だよね?


「ニャンジ、飛竜ってさ弱点とか無いの!? 出来れば殺したりとかしたくないんだよ」


「弱点ですか……見る限りライカは先ほどから閃光弾で飛竜達を気絶をさせているようですが」


「てことは、目眩し的な事が有効なのか。ライカと協力した方が早いかもしれないね」


「それならば、まずは目の前の飛竜達を掻い潜っていかなければなりませんね」


「そうなんだよね。さっきからコイツら容赦無く攻撃してきやがって! こっちは手加減してやってるのに!」


 もう、邪魔ばっかりして来て!ロイドがそういう命令出してるって事でしょ。あいつってマジで性格悪いよね、絶対に友達いないだろ!


「何故朱里様は攻撃をなさらないのですか? スキルや魔術を駆使すれば簡単に切り抜けられるように思うのですが」


「だってそんな事したら死んじゃうじゃん! ここならまだしも、さっきの高さから落ちたら無事じゃ済まないだろうし、空中だと手加減が難しいよ!」


 ああ、しつこい!まるでこっちから攻撃されないって分かってるみたい。まさかコイツら死ぬ事すら恐れてない?


 いくら飛竜達が知能が低いとはいえ、私との力の差くらい分かりそうなもんだけどね。私より知能低いんじゃないの?だとしたら相当ヤバいからね?竜族には義務教育すら無いっていうの!?


 そんなんじゃこの先の生存競争は生き残れないよ!?


「朱里様、これはもう只の戦いではありません! ここで弱みを見せるとつけ込まれます!」


「そんな事言ったって!」


「小竜王は目的の為に非情に徹しています。この飛竜達が全滅してもライカを殺せればそれでいいのです! 甘さを見せるとこちらが不利に!」


 甘さって言われても!ニャンジもなんか非情じゃね!?何か他に方法ないの!?……待てよ。ライカの閃光弾、さっきから破裂する度に大きな音がしてる。て事は飛竜は音にも弱い?


「ニャンジ、ちょっと試したい事がある。だから耳塞いでて。近距離だと鼓膜破れちゃうかもしれないから」


「こ、鼓膜が!?」


 私はライカみたいに魔術で光弾を破裂される事なんて出来ないし、目眩しも出来ない。だけど、一つだけ試せる技がある!


 井太利亜の海様が、ミシシッピ場所の千秋楽で餅詰まらせ山に食らった技が!


 そう、必殺の猫騙しが!


 でも愛しの井太利亜の海様が千秋楽で散った憎きこの技を、まさか私が使う事になるなんて。そんな事、私に出来るの?


「な、なんか涙が出て来ちゃった。ぐすん」


「いけない! 突っ込んできた!」


 ダメよ、朱里。泣いてる場合じゃないよ。井太利亜の海様もあの敗戦から成長して、ヌルヌル一本橋相撲大会で優勝したじゃない!


 ふふふ、懐かしいな。あの時、井太利亜の海様は猫騙しで気絶しそうな所を自らの舌を噛み切って正気を保ち、そしてその痛みで気絶したんだっけ。


 だけど餅詰まらせ山が自ら放った猫騙しの爆音で気絶して、先にヌルヌル一本橋から落下したのよね。


「……ん? て事は私も耳栓しなきゃやばくない?」


「朱里様! 前、前!」


 なっ!?いつの間にか目の前に飛竜が!?こうなったら迷ってる暇はない。憎きあんちくしょうの技だからって躊躇してたら私がやられちゃう!


「ギリギリまで引きつけてっ……! えいっ!」


 ……う、うるさぁ。自分でやっといてなんだけど、うるさっ!だけど成功だ!飛竜は閃光と爆音に弱いんだ。これなら私も戦える!


「ニャンジ、どんどん行くよ! ……あれ?」


 飛竜がリルちゃん達の所に落ちてっちゃった!やばい、リルちゃん気づいてなくない!?


「み、耳が! 全然聞こえない! な、なんで!?」


 ニャンジ!?やべ、やりすぎた!?


「ねえ、この高さなら降りれるよね? 下まで飛び降りてリルちゃん達を避難させて。私は今からコイツらを墜落させるから」


「……は、はい!?」


 ……聞こえてない。一旦降りるか?でもライカの事ほっとけないし、どうしよう!


「朱里、キャッチして!」


「ど、どわあ!! クリス!? あ、危ないよアンタ! 危うく敵襲と勘違いして撃ち落とす所だよ!」


「僕はキャッチされずに墜落する事を心配してたんですけど? 物騒な事言わないでくれる!?」


「なんでわざわざ危ない所に来るんだよ。リルちゃん一人にさせたら危ないだろ!」


「そんなタマじゃないでしょ。そこでアタフタしてるニャンジの方が僕は心配だけどね」


 ……アタフタしてるのは私のせいだって事は黙っとこう。


「そんな事よりもライカが危ないんだよ。恐らく命を削って魔術を繰り出してる」


「な、なんでそんな事してんの? 


「本人から聞いた方が早いかもよ。なんか意地張ってるみたいだから。さっきまで僕達拘束されてたんだから」


「拘束? 何にしても早く止めなきゃ! クリスさ、ニャンジの事預かってくれない!?」


「そのつもりで来たんだよ。早く口の中に入れて!」


「え、クリスさん? なんで口開けてるの? 僕なんて食べても美味しく無いですよ!? う、うわああ!」


 あ、そっか。ニャンジはクリスの収納能力の事知らないのか。はは、すっげえ怯えてたな。


「よし、じゃあ戻っていいよ! あ、飛竜がボタボタ落ちてくると思うから少し離れてて」


「言われなくてもそうするよ。あんま心配してないけど、気をつけてね」


「はいよ、とりあえずライカを止めてくる!」




 

 なんでまたライカは命を削ってまで魔術を使ってるの?


 もしかしてムポポペサって命の価値が軽いとか?さっきニャンジも甘さを捨てろって言ってたし、それが当たり前なの?


 あー、なんかモヤモヤする。


 ……これが終わったらおじいちゃんに相談してみようかな。


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