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本性。

「ちょっとクリス、レフ板無いの? 光源が足りないじゃない。ああ、いけない! 二人ともこっちに来て。前髪が乱れてるわ」


「ちょっと待ってね、メイク台出すから。はい、二人共ここに座ってね」


「やだー、すっごい可愛い! そうだ、この際だからユニット組んで歌とか歌っちゃえば!? 絶対人気出るよ!」


「ユニット? わたしが歌って踊れる皆のアイドル、フェルリルに!?」


「朱里、たまにはいい事言うじゃないか! 二人ならかなりいい線行くと思うよ。その手の客が大量に押し寄せてきそうだね!」


「も、もう! 二人共すぐ調子に乗るんだから。わたしはともかく、まずはライカちゃんに許可を得ないとダメでしょう?」


「確かにそうだったね、失念していたよ。リルちゃんはどうせノリノリだからいいとして、ライカには承諾を得ないとね。ギャランティー含め、そこら辺を煮詰めて行こうか」


 いいなぁ、こういう服が似合う子が本当に羨ましいよ。……ちょっと待てよ。私もさっき火の玉出せたし、もしかしたら魔法少女になれるかも!?


 なれるよね!?あんな高威力の魔法使えたんだ!才能はあるはずだよ!


 ……だが、果たしてあんなに殺傷能力の高い魔法を扱う少女なんて人気が出るのだろうか?


 しかも火属性って、なんかなぁ。いや火属性を馬鹿にしてる訳じゃないよ?


 だけど私的には光とかでキラキラしてる感じとか、闇を纏う少し影のある感じとか?そういうのも憧れるんだよね!


 でも仕方がないね。……ん、まてよ?火属性って事はイメージカラーは赤だよね?


 て事はセンターやん。


 赤って真ん中じゃん。戦隊モノならリーダーじゃん。


 ア、アタイがセンター!?


 火力ゴリ押しの魔法少女戦隊のセンターか。ふふ、悪くないかもね!


「ちょっと、朱里。ニヤニヤしないでよ、気持ち悪いな。またしょうもない事考えてるんでしょ」


「お前、どこの美少女とっ捕まえて気持ち悪いとかほざいてんだ? 『蟻地獄』の砂を全部口に突っ込まれたいの?」


「ふざけるのも大概にして!」


 この声はライカ!?しゃ、喋った?


「私は勇者と同盟を組む為の手土産として『オアシス』を一刻も早く陥落させなきゃならないんだから!」


「なんだって!? 竜の魔王と勇者が同盟を?」


「は、しまった!」


「ライカって喋るとそんな感じなんだね。脳内に直接話しかけてくる時と全然テンション違うからビックリしちゃった」


「ち、違う! 喋るとボロが出るから喋らなかったんじゃないからね!」


 なるほど、そんな感じなんだね。しかしロンドと腹中黒が?アイツらが同盟って何企んでるんだ?


 ……聞いてみるのが早いかな?


「ねえ、ライカ? なんで二人は同盟を組むの?」


「ふん、そんな事言える訳ないじゃない。同盟を組んで勇者の目的を手助けするなんて」


「手助けを? 勇者の目的ってなんだい?」


「そりゃあ、ムポポペサ統一でしょ。ロンド様と勇者でムポポペサを統治するのよ」


「ライカちゃん、なんで『オアシス』が手土産になるの?」


「アンタねぇ、そんな事少し考えれば分かるでしょ? 『オアシス』の神である福禄寿。そして悪魔の蠍、色欲の蠍が狙いに決まってるでしょ!」


 めっちゃ喋るな、この子。しかも口が軽いし。


「その為にも絶対に私は負けられないの!」


「なるほどね。福禄寿は長寿を捧げる神、色欲の蠍はその名の通りか。欲に塗れた勇者が喜びそうだね」


「な、なんでその事を!? はっ!」


「朱里ちゃん、朱里ちゃん。ライカちゃん泣きそうじゃない?」


「しっ! リルちゃんだめよ。そっとしておいてあげなきゃ」


「……ゆ、許さない。言葉巧みに私の事を乗せたわね?」


「ライカは喋らない方が頭良く見えるし、神々しさすらあったのに。変身して口を開いた途端、残念な感じになっちゃうんだね!」


「こら、クリス! 気にしてるかもしれないんだからそういう事言わないの!」


「あ、ごめん」


 あーあ、言わんこっちゃない。今にも涙が溢れそうだよ。クリスは本当にデリカシーが無いんだから。


 ん、あれ?なんか風が強くなってきた?


「なんだ急に!? いたたたたた! 目に砂が!」


「すごい砂嵐! なんでいきなり突風が?」


「……クリス、リルちゃん。急いで逃げた方がいいよ、これ」


 砂嵐もだけど、あのでかいのって竜巻だよね?それも何本も!?さっきまであんなに天気良かったのに!


「……もう、許さない。私は神の使いの末裔にして、風を司る神鹿。アンタ達なんて一瞬で仕留められるんだからね」


「朱里ちゃん、クリスちゃんは下がってて! ここはわたしが止めるから!」


「どどどどっちに!? どっち行けば下がった事になるの!? 目が開かないから分からないよ! うわっ口にも砂が、おえええ」


「おえええ、じゃねえよ! お前は本当に世話の焼けるやつだな!」


「はははは! 無駄、無駄! 私の魔法は止められない! 竜巻によって加速した砂は、幾重もの鋭い刃と成りてアンタ達を切り刻むって、あれ? うわわわわわー!」


「ええー! ライカちゃん、自分の竜巻で飛んでっちゃった!」


「あんなに高く吹き飛ばされたの!?」


「なんか魔力が暴走したっぽいよ。普段から魔術使ってないんじゃないかな?」


「お、落ちる! 怖いー! 助けてー!」


 あらら、助け求めちゃってるよ。流石にあの高さから落ちたら魔法少女もひとたまりもないって事ね。


 怪我したら大変だし、助けてあげなきゃ!


「よいしょっと」


「え、なに? なんで僕を掴むの? ちょっと待って、目が開かないから余計に怖いんですけど!?」


「クリス、お前って奴は美少女のお尻に二度も敷かれるなんて本当に役得だな。羨ましいよ」


「そんな役得いらないから! せめてゆっくり投げてね!?」


「分かったよ、うるさいなぁ。いくよー! いち、にの、さーん!」


「あわわわわわ、バカ朱里! ゆっくりって言ったじゃーーーん!」


「おおー! クリスちゃんが丁度ライカちゃんの真下に」


「よし、ピッタリだね!」


「ほら見て! ライカちゃんがバウンドして見事に着地したよ!」


「ありゃ、でもすぐに倒れちゃったね。落下の恐怖で気絶しちゃったかな?」


「飛竜達も落下地点に集まっていくよ。心配だったのかな?」


 いや、あれは心配してるってよりも……


「やばい、ライカとクリスが回収された! 逃げられる!」


「クリスちゃん『蟻地獄』に来てからついてなさすぎない!?」


「クリスの事はほっといてもいいとして、ライカに逃げられると腹中黒と天音の情報が聞けなくなる!」


 この距離を今からダッシュしたとして、間に合うかな!?やばい、ギリギリかも!


「朱里様! 僕の事をあの飛竜の群れに向けて投げてくれませんか!?」


「ニャンジ!? アンタ今までどこにいたの!?」


「どこに? そりゃあリルさんの帽子の中にって、そんな事より! 僕がライカの跡をつけます! なのであの飛竜の群れにぶん投げて下さい!」


「任せて大丈夫なの!? 危険かもしれないんだよ」


「これは諜報部隊長の僕にピッタリの仕事です! さあ、早く!」


「……ニャンジ、出来たらクリスの事もお願いしていい? 情報掴めたら無理しないでアイツと一緒に脱出して!」


「任されました!」


「じゃあ、投げるよ! せーの、よいしょー!」


「ニャンジちゃん、頑張ってねー!」


 よっしゃ、飛竜の群れに届いた!あとは頼んだぞ、ニャンジ!


 ……ん?


「ええ! 朱里ちゃん、大変! ニャンジちゃんが飛竜に食べられた!」


「ニャ、ニャンジー! マジで言ってんの!? どどど、どうしよう!?」


「朱里ちゃん、わたし達が追うしかないよ!」


「でも流石にあの高さまでは届かないよ!?」


「わたしのホウキで追いかける! 朱里ちゃん、後ろに乗って!」





 ホウキに乗るですって!?


 リルちゃん、前に魔法少女じゃないって言ってたけど、もうそれってまんま魔法少女だからね!?


 は、そうだ!


 どうせホウキに乗るなら、私も魔法少女の衣装に着替えちゃおうかな?


 よーし!迎撃目標は飛竜の群れ!


 救出対象はニャンジとクリス!


 魔法少女・朱里、初のお仕事張り切っちゃうぞ!

最新話まで読み進めて下さっている皆様、更新ペースが遅れてしまいすいません。


出来る限り早く更新しますので気長に待っていただけると幸いです。



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