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特集。

『朝から家系食べ行っちゃう!?』メインDJの朱里ちゃん!ここに推参!シャッキーン!!


 最近当ラジオにはお悩み相談がとても多いのです。朱里ちゃーん、聞いて!ってね。


 分かる、分かるよ。学校の悩み、仕事の悩み、人間関係の悩み、そして忘れちゃいけない恋の悩み。人は常に悩みを抱える生き物なの、大なり小なりね。


 あたい、答える。皆のお悩み解決しちゃう!いっえーい!


 じゃあ早速だけど、お悩み第一号。ラジオネーム「どう板橋区、隣は豊島区池袋」さんからのお葉書です。


          〜〜〜


 朱里さん、いつもラジオ楽しく聴いてます!今日は悩みを聞いてほしくて初めてハガキ出しました。相談に乗ってくれたら嬉しいです。


 今僕は社会人として働き始めたばかりなのですが、もう会社に行きたくありません。


 そうなんです。いわゆる五月病ってやつです。


 学生気分が抜けないというのもあると思うのですが、緊張の1ヶ月目が過ぎて少しだけあった連休。このタイミングで見事に発病しました。


 とにかく仕事に行きたくないです。行けばなんとかなると思い、朝頑張って起きるのですが、やっぱりダメなんです。


 一体どうしたらいいでしょうか?これは僕がただ怠けているだけなのでしょうか?

 

 つまらない悩みですいません。


          〜〜〜


 まずは一つ言わせてね。つまらない悩みなんて無いの。こんな悩み相談しても仕方がないなんて思わないで。


 それが永遠にループして負の精神が大きくなっていく。


 これじゃあ健康な心は育たないわ。


 だめよ、だめ。いけないわ。そんな貴方にはイエローカードを差し上げます。ぴぴー。


 仕事を覚えて、認められて、周りから頼られて、後輩ができて、責任を持って。


 そうやって社会人として少しずつ成長していけばいいじゃない。


 でもね、決して無理はしないで。たまには逃げたっていいんだから。


 そして五月病から六月病、七月病と成長していけばいいじゃない!


 それでいいと思う。


 うん。


 ねえ、最後に聞かせてもらってもいいかな?


 五月病って、なに?


 ……?


 ……また来週!



        —————————



「それでは今日はここまで。皆様、また明日の熱戦、激戦を期待いたしましょう。さようなら」


「はい、カットでーす!」


「お疲れ様でしたー!」


「それにしてもリルさんが応援サポーターだなんて勿体無い! 解説が板についてましたよ」


「いえいえ、そんな事ないです。河村さんの振り方が上手だから答えやすかったです。ありがとうございました」


(とってもいい子だなあ。うちの息子を紹介したいよ)


「お疲れ様でした。ゆっくり休んで下さい」


「はーい。クリスちゃん帰ろー! 朱里ちゃんにおめでとうって言わなきゃ」


「そうだね! ところでリルちゃん。一体君の才能は一体いくつあるんだい?」


「な、なに。急に」


「いや、将来有望だなって」


「何か企んでる時の目してる」


「何を言ってるんだい? この目は生まれつきだよ? さあ、行こう」


 私達が解説を終えて会場の外に出ると、既に辺りは真っ暗だった。


 でも会場の周りは屋台も出てるし、人も大勢残っている。


 提灯の灯りが色とりどりでとっても綺麗!


 ちなみにクリスちゃんはバレると大変だからと、私にサングラスとマスクと帽子を被せてきました。


 なんか逆に目立ちそう。


「朱里ちゃんは先にホテル戻ってるよね? ふふ、もう寝てそうだね」


「どうだろうね? でも流石の朱里も疲れただろうからね」


「……ねえ、クリスちゃん? 昨日の夜中の事なんだけど、朱里ちゃんの寝言聞いた?」


「うん。僕も聞こえたよ」


「あ、やっぱり聞こえてた?」


「なんか魔獣が出現とか、先輩に本気になっていいですかとか、色々言ってたね」


「うん。寝てたのかな?」


「分からない、寝てなかったのかも」


「そんなに魔法少女になりたいのかな?」


「まあ、女の子らしさには憧れてるのかもね」


「クリスちゃん、褒めてあげればいいのに。朱里ちゃん気付いてないだけで可愛いじゃん」


「僕が言っても悪ふざけだと思われる可能性大だよ」


(確かに。否定は出来ないよ)


「でもホテルに着いて朱里に会ったらもう元気だと思うよ」


「なんで? 勝てて嬉しいから?」


「リルちゃんはまだ特集見てないでしょ?」


「特集? なにそれ?」


「実はね、各ステージを勝ち上がった人の特集をニュースでやってたんだ」


「うん。それとなんの関係が?」


「紹介の仕方がねベタ褒めなんだよ。最強の美少女現る、とか可愛くて強いって紹介されてたんだよね」


「すごい! それが全世界に!?」


「インタビューなんて全員言っていたよ。可愛くて強い! 肌綺麗! 美人! 髪綺麗! etc!ってね」

  

「すごいじゃん! 朱里ちゃんきっと喜んでるよ!」


「調子に乗ってないかな?」


「そんな事は……いや、でも、ううーん。読めないなぁ」


「だよね。僕は乗ってるに一票! イカ串を賭けるよ」


「わたしは乗ってないにイカ串賭ける! 多分あまり気にしてないと思うんだけどな。テレビすら観てないかもよ?」


「ふふふ、楽しみだねリルちゃん。イカ串は僕が頂くよ!」


 クリスちゃんとあーだこーだ言いながら歩いてたら、あっという間にホテルに着いた。


 二人で朱里ちゃんの噂をしてたから、くしゃみで窓が吹き飛んでないか心配だったけど、窓はちゃんとあったから安心しました。


「朱里ちゃーん! おめでとー!」


「朱里! おめでとう!」


「ありがとう!」


「ねえ、ねえ。テレビ観た?」


「観たよ。魔物目線で可愛いとか逆に悪口だろがい! お前の差し金か!?」


(キレてる!?そう来たか!)


「それ本当に誉められてるんだよ!」


「はい? 私が、褒められてる? ……ワタシガホメラレテル?」


「なんかロボみたいになっちゃった。おーい! 戻ってこーい!」


「頭から煙が出てるよ。恥ずかしいのかな?」


 


 その後、正気に戻らない朱里ちゃんはクリスちゃんの熱々あんかけポーションを頭からぶち撒けられました。


 熱さで転げ回った後にクリスちゃんを蹴り飛ばしていたので、とりあえず正気には戻ったみたいで私は一安心しました。

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