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仲間。

 ははははははははははは。


 言われなくても薄々は分かってたよ。もしかして私って馬鹿なんじゃないかって。


 名前さえ書ければ入れるような高校に通ってたわけだし。


 本当はスポーツ推薦でも良かったんだ。でも馬鹿に紛れれば馬鹿が目立たないと思ったの。


 木を隠すなら森の中。


 馬鹿を隠すなら馬鹿の中。


 でも私は馬鹿オブ馬鹿だったんだ。


 キングオブ馬鹿。馬鹿トゥ馬鹿。馬鹿トゥヘブン。


 まさか名前を書けないどころか名前を忘れるなんて。


 死のう、死ぬしかない。


 やーだー!死ぬのこーわーい!


 こういう所も馬鹿たる由縁。


 一回落ち着こうね。


 まず、どうするの?


 結果は何も変わらないよね?


 時間は戻らないよね?


 馬鹿は治らないよね?


 馬鹿は死ななきゃ治らないよね?



         —————————



「朱里ちゃん! なんでそんな所に登ってるの!?」


「降りてきなさい! こら! ダメ! メッよ! 高い所登っちゃダメよ!」


 風はアゲインスト。意味は分からないけど。


 風速10メートルってとこかしら?よく分からないけど。


 さよなら。愛しのリルちゃん。


「ひええ! 朱里ちゃんが飛び降りちゃった!」


「あんた何やってんの!? うわあ、しょうげきですごい砂埃が立ってるよ」


 しまった。受け身取っちゃった。


「は? 受け身の練習だけど。なに? 文句あるの?」


(……無傷だよ)


(すっげーな)


「いや、ないよ、うん。とりあえず合格おめでとう!」


「朱里ちゃん、おめでとー!」


 ん?何が?馬鹿の試験にでも合格しちゃた?


「私ね、リルちゃんの時効まで最後まで戦い抜くから。そうだ! 河童の森でひっそり暮らしましょう。敵は私が殲滅するから安心してね」


「あのね、筆記のテストは名前さえ書ければ大丈夫なんだよ! みんな合格なんだって」


「スポンサーが無理矢理に始めたテストなんだ。慌てる必要はなかったみたいだよ」


「じゃあ私が名前を忘れて、字も忘れたのはバレてないのね! ひゃーー! 小っ恥ずかしー! 私ったら勘違いして飛び降りるなんて」


「今バレたけどね。一応は恥じらう心を持っていて安心したよ」


「私の家族って皆頭いいんだけどね。お父さんも、お母さんも双子の妹も。なんで私はこうなってしまったんだろう」


「突然変異ってあるんだね」


「何が突然変異だ。お前も私から見たら突然変異の化け物だわ。でも結構それを気にしてた時期もあってね。よく二階から飛び降りたものよ。全部無傷だったけど」

 

(そこまで思い詰めていたのね。勉強も少しずつ頑張ろうね)


「もう今日の事は忘れて、ご飯食べて元気出そう! 今日はもうおしまい!」


「え? 元気だけど? なんかあったっけ?」


(朱里ちゃんまじか)


(幸せな脳味噌してんな。コイツ)


 どうしたんだろう?私の事を、不思議な物を見るような眼差しで二人が見つめてくる。何かあったっけ?


 何があったのか忘れたけど、明日の対戦表が配られてたのでそれだけ貰ってホテルに戻ることにしました。


「最初はグループ分けして、複数人で一斉に戦うみたいだね。これは参加者が多いから仕方がないね」


「問題ないよ」


(昼間と大違いだ、安心感がすげえや)


「朱里ちゃん、大変! 武器ありだって」


「問題ないよ」


(こ、心強い)


「でもね、こういうのは強い人から狙われるから、ここで実力者が脱落なんて事も多いんだ」


「問題ないよ」


「朱里ちゃん」


「問題ないよ」


「犬」


「問題ないよ」


「えーと、いか!」


「問題ないよ」


「ゴリラ!(笑)」


「誰がゴリラだ、コラ」


(聞こえてるんかい)


「大丈夫だって! そりゃあ一人や、二人は強そうな人いたけど、油断してる訳じゃない。負けないよ」


(いざ戦いの事になると、朱里には何も口出しが出来ないな)


「朱里ちゃん」


 あれ?なんだろう?リルちゃんがすごい真剣な顔してるよ。


「リルちゃん? どうしたんだい?」


「朱里ちゃんに戦いの事で口出すのも申し訳ないんだけど」


「なに? 遠慮しないで言っていいんだよ」


「私もさっき気付いたんだけど、朱里ちゃんって魔術師と戦った事ないんじゃないかな?」


「言われてみれば確かにそうだ! これは思わぬ誤算かも知れない」


「私が戦った相手? 河童と1番槍でしょ。あとはアンデット(ポーションかけただけ)と他にいたっけ?」


「いないね」


「こんな事を言うのはおこがましいんだけど、いくら朱里ちゃんでも魔術師を初見で相手するのは少し厳しいかも」


「朱里って単純だから精神攻撃にめちゃくちゃ弱そうだしね」


「そんなに厳しそう? 確かに魔術師なんて相手にした経験なんてないけど」


「魔術師が一人なら勝てると思う。でも、一斉に狙い撃ちされたら苦労するかも」


「これは僕のミスだ。マネージャーとして対策しとくべきだった」


「別にクリスのせいとかじゃないでしょ。後、お前マネージャーでもなんでも無いだろ」


「決めた。わたしが朱里ちゃんの練習相手になる」


「リルちゃん!? 殺されちゃうよ!」


「んな訳ねえだろ。リルちゃんを相手にして、私が手出すと思ってんの?」


「魔術がどういうものか知ってるだけで全然違うと思うから」


「ありがとう! じゃあ早速始めよう!」


(朱里が防御するだけっていうなら安心か)


「うん、行こう! 今の時間ならビーチに人もいないし、好きなだけ練習できるよ!」




 リルちゃんが、私の練習相手を買って出てくれた。絶対怖いはずなのに。


 ありがとうリルちゃん。


 私は今まで、師匠としか鍛錬が出来なかったんだ。


 だからこういうの……すごい嬉しい。


 リルちゃんと、お銀さん。まあ、クリスと河童もか。


 私がムポポペサに来てから楽しくやれてるは、仲間達のおかげだ。


 これは期待に応えないと罰が当たっちゃうよ。

 

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