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主演女優賞ノミネート作品。

 わっしょい!わっしょい!そいや!せいや!


 どっこい!どっこい!どっこいそりゃ!


 三度の飯より神輿が大好き!


 粋でいなせな美少女、朱里ちゃんここに見参!シャキーン!!  


 私って小さい頃に山車の太鼓を一撃で破壊してからお祭りに夢中なの!今だって一人で御神輿担いでるんだよ!


 ……でもね、私こんな性格だけど学校ではすごい大人しいんだ。圧倒的身体能力と、馬鹿がバレるといけないから、そんなに喋らないし、目立たないようにしてるの。


 普段から完璧に気配は消してるし、窓際で外を眺めるフリをして目を開けながら全部の授業寝てるから、そよ風でいつも眼球がパリッパリ!


 だけどね、気付く人も中にはいるの。三日に一回は下駄箱の中に果し合いの手紙が入ってるの。


 やはり強者は強者を見抜くのね。でも天獄無作為流の免許皆伝を持つ者として素人と拳を交える事は出来ない。


 だからお決まりのように指定される校舎裏の桜の木の下には行かない事にしてるの。


 なんでも願いが叶う桜の木らしいけど、信じるのは己の拳のみ、そうでしょ?


 みんなもハートのついてる手紙が下駄箱に入ってたら注意してね!


 それは心臓を正拳突きで止めてやるっていう相手からの挑発だから!



        —————————


 

「弟子って言っても付きっきりで稽古できないし、強くなれるとも限らないよ」


「構いません! いつかオイラのミドリムシの様な実力が、ミジンコ並になったらもう一度勝負してください!」


「分かった。その時は全力で相手してあげるよ」


(ミドリムシからミジンコになっても結果はさほど変わらないんじゃ。河童さんは同じ過ちを繰り返すのが好きだね)


「あ、そうそう河童さ、呪いを解くアイテムの事ってなんか知ってたりする?」


「解呪のアイテムなら、河童一族の里で祀られているのがありますよ」


「河童さん、それ教えてもらってもいいですか!? 私、今お父さんの呪いを解く為にそのアイテムを探してるんです!」


「なんだって? それは大変だ。オイラの知ってる事なら喜んで教えようじゃないか」


 そして、河童は静かに語り出した。自分の故郷に祀られている品がまさしく解呪のアイテムだという事を。


 これはすぐにでも河童の故郷に行って確認した方が良さそうだね。


「私、今からでも河童さんの故郷に行きたい!」


「もちろんさ! リルちゃんのお父さんの為に河童さんの故郷に向かうとしようじゃないか」


「クリスちゃん、ありがとう」


「じゃあ、私達の目標は河童の故郷に決まりだね!」


「そうと決まれば早速ギルドで報酬の換金をしよう。旅をするにはお金は必要不可欠だよ」


 私達はギルドに向かい、魔石収集の報酬を受け取りに行った。


 その際、クリスが大量のアンデットが成仏した時の光景をギルドで映像投影し、盗賊団は殲滅したと説明した。


 その悪魔の所業と阿鼻叫喚の地獄絵図を見たギルドの職員と冒険者達は絶句し、顔が青ざめていたと後でリルちゃんに聞いた。そうだったんだ、全然気づかなかったよ。


「こ、これが報酬金です。どうぞ納めくださいませ」


「わお、結構いい額になったね! これでしばらくはお金に困ることは無さそう!」


「まさか盗賊団の討伐報酬も貰えるなんてね。人を助けようとした美しい心が大量の報酬として形になったんだ。やっぱりいい事はするものだよ」


 ざわざわざわ。


 ん?なんか騒がしいな。


「おい! 勇者一行の一番槍がパーティーから脱退したらしいぞ! あいつの極悪非道な振る舞いに、高額な懸賞金が全大陸魔物冒険者組合から出てるはずだぞ」



「なんでも森の中で顔面が捻りめり込み、首に索条跡をつけ、木に縛られてたらしい。報酬に目もくれずただ捕らえるなんて一体誰が?」


「一番槍って私が吹っ飛ばした奴じゃない?」


「懸賞金だって!? いっけー! 必殺! 映・像・投・影! ビカーーーーー」


 (クリスちゃんがさっきより張り切って光線を出してる!)


 『今から上映される映像を盗撮するなどの行為は著作権侵害にあたります。くれぐれもお手元の映像機器での盗撮行為等はお控え下さい。尚、本映像はご来場されている沢山のお客さまがご観覧されております。周りの方に配慮し、お静かにご覧下さい。では皆様の素敵な週末ライフに一輪の華を添える、今巷で噂の話題作「一番槍の生涯ライフ。~顔面が捻りめり込むその日まで~をお楽しみ下さい』


(ナレーションまで!クリスちゃんすごいや!)


 それは私が一番槍を吹き飛ばし、木に縛る際のお約束までの流れが記録されたもので、悪意のある編集がされた映像だった。


「流石オイラの師匠だ! ギルド内の猛者達を圧倒的なそのお姿で黙らせるなんて」


「虫の息の一番槍にお約束をかますなんて」(クリス)


「それよりも、その前の技の威力! 何故あの細腕で大木が次々と薙ぎ倒されるほどの高火力が出せるんだ?」(クリス)


「カッコつけて話している途中に躊躇なく技を繰り出す容赦の無さも侮れない。もしあれが一般人だったらどうするつもりだったのか?」(クリス)


 クリスのやつ、どよめきと民衆に紛れながらコソコソ移動しながら好き勝手言ってやがる。


「わあ、皆が大興奮して宴を開かれそうだよ!」


「朱里ちゃんが民衆の心をあっと言う間に掌握したね!」


「後でオイラが海の上を跳ね飛んだ映像も見せてもらおう」


 また祀られたように御供物が目の前に並ぶんじゃないだろうな?


 ま、その時は三つ星シェフ朱里ちゃんのスペシャリテを皆んなに振る舞うだけだけどね!

 

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