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プロローグ 幸福の絶対量は常に少ない



~日暮れ時のある町近くの森の中にて~


「はぁ、今日も野宿かぁ。」

黒いコートを着た少年は森のど真ん中でそんなことを呟いた。

故郷の村をでて、(正確には追い出されて)早五年。後、五年でもう二十になるというのに、今だ帰る家どころか、帰る村も町も無いとは、悲しすぎる。

全く持って人生は不公平だ。金ならあるというのに、僕を泊めてくれる宿は存在しない。

何故なら・・・


しかしそこで思考をいったん中断することになる。

何やら騒がしい。最近この辺りでは盗賊がでると言う噂を聞いたが・・・とりあえず、現場に行ってみることにする。


「荷物を置いて去れ、命だけは助けてやる。」

馬車の周りを十五人ほどの男が取り囲んでいた。今、喋っている奴がおそらくリーダーなのだろう。あまり気が進まないのだが、僕は愛用の双剣を手に飛び出した。


「おい、盗賊ども今すぐ立ち去れ!」

自分でもびっくりするぐらい棒読みだ。

「何だ、小僧お前一人で何ができる?」

「いいから、切りかかってくるとか、何かしてくれないか。早く済ませたいんだ。」

「く、生意気なやっちまえ。」

その言葉とともに幾人かが飛び掛ってくる。

だが僕は避けようともしなかった。

目の前まで迫っていた、刀やら、斧やら、短剣やらは見えない障壁にはじかれ僕には届かなかった。

「お、お前まさか魔術師か?」

「残念、外れだ。」

少年はそこで始めて動きを見せた。双剣はいつの間にか電撃のようなものをまとっている。

少年に切りかかった者達は、反応も見せる間もなく倒されてしまった。

「相手は一人だ。落ち着いてあたれば勝てるぞ!」

男の声で浮き足立っていた盗賊たちは落ち着きを取り戻した。


「降参してくれないか?」

返答も無しに切り掛かって来た。どうやら降参する気は無いらしい。

僕は本日二度目のため息をつくと、すぐそこまで迫っていた盗賊Aの斬撃を受け止め、刀越しに電気を流す。

(まず一人っと、さてそろそろこっちから行くか。)

その場から横へ飛び退き、盗賊Bの斬撃を避ける。

左の剣で盗賊に触れ気絶させる。

(これでもまだ半分も残ってるのか、面倒だな。)

僕は双剣をしまう。


「どうした降参するのか?」

「いや、どうもめんどくさくなってね。」

その言葉とともにコートの袖に光が収束され始める。

「黒いコートに、光属性の魔法、ま、ま、まさかお前は」

皆まで言い終える間もなく光が瞬間的に伸びて盗賊たちを拘束する。

そしてそれと同時に盗賊たちは気絶させられた。

「ふう、これで終わりかな。」

青年は光の魔手を消しながら言った。

馬車の中を見ると三人の男たちが震えていた。

「あの」

男たちは驚きこっちを見た。

「大丈夫ですか。」

「俺たち助かったのか?」

「はあ、よかった。」

皆、安堵の顔をしている。


「お前が助けてくれたのか?」

「まあ、そうですけど」

「馬鹿な、まだ子供だろ。ありえない。」

(一応、もう十五だぞ)

「灰色の瞳・・・」

その言葉で皆が沈黙した。

(そうか、もう夜だからゴーグル外してたんだった。失敗したなぁ)

「ま、魔王、お前魔王なのか?」

つくづく運が無い、最初に刃弓の盗賊団を討伐してから、何故か僕はその仲間に間違えられて、その後度重なる不幸が続きいつの間にか魔王クロムハートフィルと呼ばれるにいたる。

早い話が国家に背く大犯罪者と言うわけで、町に行けば警備隊が出てきて即刻逮捕。もちろん故郷にも帰れない。

噂は幅広く浸透しているようで、そのお陰で現在進行形で僕は困っている。

「どうか命だけは、何でもしますから。」

(そもそも殺す気無いんだけど。)

「何でもしてくれるの?」

「はい、もちろんです。」

「じゃあ、一週間分の食料を頂戴・・・あと外の人たちの処理も頼むよ。」

「えっと、それだけですか。」

「何か不満かな?」

「いえ、とんでもない」

食料を受け取ると僕はその場を後にした。


小説初挑戦です。これから面白くなるはず。目標は超えろ二十話以上です。

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