出会いが予兆
☆☆☆
「転校生が来るんだって」
「しかも二人!」
「でもこの時期に転校してくるって可笑しくな〜い?」
「あ〜分かる〜!」
☆☆☆
「全く、人間てのはよく飽きねぇよなァ。他人の話で」
「まぁそれが人間の悪いとこでありいい所じゃないか、ボーグ」
「………はぁ、僕本っ当にお前と双子なのか怪しく思えてきた…」
「えぇ?酷いな…ボーグは…
正真正銘、俺と君は双子さ」
「証拠とかがねぇだろ…」
「ふふ、『証拠』なんて、まるで人間みたいじゃないか」
「ここじゃ僕らも人間だよっ!
ったく!なんで僕らがこんな任務に…」
「いいじゃないか、こちらからはナギさんも来てることだし…」
「ナギはお前側のやつだろ!?
あーあ、僕も連れてくればよかったー!」
「ボーグの所は連れてけないんだよね?」
「そーだよ!あいつら頑固なんだよ!!
ほんとに天使か!?あいつら!」
「声がでかいよ、ボーグ
ただでさえ目立つのにもっと目立っちゃうだろ?」
「うるせぇな…早く教室行くぞっ!チェル!」
「……はいはい、分かってるよ、ボーグ」
俺はボーグ、基ベロボーグの後を追った。
俺達はある依頼でここ、麻刈学園へ生徒として編入した。
なにやら、アサガク(と、通常ではそう呼ばれてるそうなので)の『特別学級2年2組』で可笑しな事件が起きているらしい。
まぁ簡単な話、それを調査して無くすだけ。
俺達にとってはとても簡単なものだと思ったんだけど…。
なんだか嫌な予感がする…。
これは大丈夫じゃないね!
☆☆☆
ふっふっふっ…
やはり今、この学校では転校生の噂が絶え間無く広まっていますね…。
僕は隣にいる親友、しゅうくんに話し掛けました。
「しゅうくん、しゅうくん。
聞きましたか?転校生の噂」
「朝からからお前にさんっざん言われてるから分かる」
「すみません、随分季節外れに来るものですから…」
「にしても、あやかは転校生の事について一昨日ぐらいから知ってたよな?
なんで知ってたん?」
「それは企業秘密、ですよ〜
後、僕を女の子みたいな名前で呼ばないでくださ〜い
僕は彩風蓮ですよ〜?」
「それを言ったら、俺だって伊集院宇治だ
しゅうって、どっから取ったの…」
「まぁどっちもどっちということで♪」
「はぁ……」
「……それにしても、先生遅いですね…」
「そろそろチャイム鳴るってのにな…
今日の日直は誰だったけ?」
「えっと……誰でしたっけ?」
この学校では日直の人が朝、HR前に先生を呼びに行く決まりがあるので
それまで先生は何もしませんし、来てもくれません。
「伊集院くん…」
すると、パステルカラーが特徴的な少女がしゅうくんに話しかけてきました。
彼女は春夏秋冬能美さん。
一応は一年生に含まれますが
この『特別学級』ではあまり意味がありません。
「あれ?どうしたの?春夏秋冬さん」
「今日、伊集院くん、日直だよ?」
「え?…………あっ!そうだった!」
「ちょっ!何してるんですか!?しゅうくん!
早く行かないと!」
「い、行ってくる!!」
そう言ってしゅうくんは足早に駆けていきました。
「……ねぇ、彩風くん。
今日転校生来るって言ってるよね、皆」
「はい〜♪
今はそれで話題が持ち切りですから〜」
「でも、どんな人だろうね、気になるね」
「そうですね…楽しみです!」
「ふふ、彩風くんはこういうの本当に好きだよね」
「はい!妖部部長として、こういうことには興味があるんですっ!」
「こういうことには……
あ、そろそろチャイム鳴りそう…じゃあまた後で」
「はい!」
さてさて…しゅうくんは間に合うでしょうか…♪
キーンコーンカーンコーン
キーンコーンカーンコーン
あら?鳴ってしまいましたね…
ガラッ
「はぁはぁ……セーフ?」
「アウトです!」
「クソ〜!」
「おら、お前ら座れ」
「「はーい」」
皆が席に座ると担任の宮下良一先生が気だるげに話し始めました
「あー、知ってるヤツらもいるだろうが、今日からここに転校生が二人来る
あんま変なこと起こさず、平和にやってくれや、入ってこい」
ガラガラ
転校生が入ってくる扉に全員の視線が飛んだ
二人の転校生
一人はまるで天使の様なふわふわな金髪で笑顔が眩しい長身の男の子でした。
もう一人はなんだか小悪魔っぽさが出る黒髪で下の方が赤いですね。
あ、でも背が低いのは僕と同じですね!
「適当に自己紹介してくれ」
と、宮下先生。
相変わらず投げやりですね、先生は…
「それじゃあ、俺からでいいかな?ボーグ」
「どっちでもいい」
「それじゃあ俺から…
初めまして、俺の名前はチェルノボーグと言います。
長いので、チェル、とでも呼んでください。
よろしくお願いします!」
おや?金髪くん…チェルノくんから言うんですね
彼、僕ってイメージでしたが俺、なんですね…
「僕はベロボーグ!ベロとか変な名前で呼んだらてめぇら地獄行きだかんな!」
おやおや…意外と可愛い子ですね…
なんだか親近感が湧きました♪
早速後で話しかけてみましょう!
☆☆☆
「あー、転校生に質問とかあったら適当にやっとけ〜んじゃ、気を付けて帰れよ」
ガラガラ
先生がいなくなったことで教室はとてもうるさくなりました。
でも、不思議ですね?
皆さん、彼らによりませんね?
「お二人さん、少しよろしいでしょうか?」
「あ、はい!えっと…」
「あぁ!紹介が遅れました!
僕の名前は彩風蓮と言います!超常現象部の部長を務めております。」
「彩風くん、だね!よろしく!」
「はい!よろしくお願いします〜!
で!折り入って頼みがあるんですがよろしいでしょうか!?」
「た、頼み?」
「めんどくさい事じゃなけりゃァいいぞ!」
「では!我ら超常現象部に来ませんか!?」
「はぁ!?ち、ちょっとあやか!?」
「なんですか?しゅうくん?素っ頓狂な声出して」
「いやいや!なんでそいつらを入れるの!?」
「なんだから超常現象の予感がしたからです!」
「何その勘みたいなの…」
「まぁ兎に角、どうですか!?ぜひ!我ら超常現象部へ!」
「……………いいよ」
「はぁ!?チェル、おまっ!何考えてんだよ!」
「俺らは学生だよ?誘ってくれてるのに断るのは良くないからね」
「けっ!んじゃあ僕は入らない!」
「そ、そんなぁ!!」
「すみません、ボーグってこういう所があって…!」
「なんだよ!チェル!僕が何しようが勝手だろ!?
お前は俺の兄貴か!?母親か!?」
「兄貴だよ!?」
「〜!!もういい!話しかけんな!」
ボーグくんは捨て台詞の様に投げ捨て教室を出て行ってしまいました
「すみません、ボーグってば本当はいい子なんですが
あぁいう所があって友達が出来ないんですよ
あんなやつでも、仲良くしてやってくれると嬉しいです…」
「勿論ですよ!
こちらも少々ストレート過ぎましたしね…反省します…」
「すまん、チェル
こいつ、すーぐテンション上がっちまうんだ、わりぃな」
「大丈夫ですよ!えっと……伊集院くん、ですよね?」
「そっ、俺は伊集院宇治、苗字じゃ呼びにくいだろ?
宇治でいいよ、チェル」
「あぁ、ありがとうございます!」
「敬語もやめろって!」
「そうですよ〜!僕ら!友達じゃないですか〜!」
「ふふ、そう、だね、
これからよろしく、蓮、宇治」