マール仲間になる。
『んっ!?あれっ?あたし生きてる?…って、きゃあっ!!』
妖精が目を覚ました。向かい合わせで
見ていたので、ビックリさせてしまった様である。
『あぁごめんごめん。驚かせてしまったね。敵意はないよ、ほら!』
そういって両手を広げるトミー。
怖がらせ無いように笑顔をたやさず
話しかける。
『君がクモの魔物に襲われてる所に
たまたまでくわしてね、助けさせてもらったよ。そして傷ついて
いたから回復しといたよ。』
自分のせいで、瀕死の状態にしたこと
は、墓まで持っていこうと決め、
全てはクモの魔物のせいにしようと
思いいたる。
『あんたが何者かはこの際いいわ!
ホントに助けてもらったみたいだし、…もう駄目かと思ったわ。
ありがとぅ!!
それとさっきの魔物はヴェノムンチュラという魔物よ!あれはまだ子供だったわ!親が近くにいるはず
よ、気をつけて!!』
あれで子供か?という疑問を持ちながら探知機を発動して周りを警戒する
と、500m程離れた場所に複数の
反応があった。
『あぁ500m先に魔物の気配があるぞ。30ほどの反応で一つはでかい ぞ!』
『えっっ??なんでわかるの?
とにかく近くにいるって事ね
となるとここも危ないわ。
離れましょ。』
とにもかくにも、移動することにして
ヴェノムンチュラのいる反対へ
歩きだす。
『で?あんた名前は?』
とトミーの顔の横を飛んでいる妖精が
話しかけてくる。
『ん?あぁ、トミーだよ。君は?』
『アタシはマールよ!!
ふ~んトミーね!!人族なの?』
見た目は人族なのでしょうがないな
と思いながら
『いや、海人族という種族さ!!
といっても俺しかいないかもだけどね。
よろしくねマール!君は妖精族だね?』
尋ねるとステータスが浮かぶ。
LV12
種族 フェアリー
HP 110/110
MP 200/250
攻撃力 35
防御力 45
素早さ 190
『そうよ!
海人族?聞いた事ないわね
人族じゃないのね!道理で変な
格好をしてると思ったわ!
…んもうっ!ヴェノムンチュラの
糸がまとわりついてて飛びづらいわね~ちょっとトミー、なんか良い魔法ないかしら?』
まだあって間もないのに図々しいなと
思いながらクリーニングを思いつく
『ん?あぁ、あるよ!
ほいっ!クリーニング!』
丸い水の球体がマールを包みこむ。
ワシャワシャと音を立ててマールが
洗われていく。マールは水の中で、
何やらもがいていた。ゴボゴボと
口から泡をだしながら…
クリーニングが終わるとそこには
キレイになったマールがおったそうな。マールはどうやら鼻に水が
入った様で鼻をフン!フン!とやっていた。そして落ち着くなり、俺をみてキッと睨みつけピュンと風切り
音をだして顔に近づいてきた。
『ちょっ!?いきなりやんないでよねっ!ウォーターサイクロン!!』
と文句をいってきた。そして最後に魔法を発動したみたいでマールの
指先から水が竜巻の様にでてきた。
小っさ!と微笑ましく眺めていると
急にスピードを増して俺の顔に向かってきた。まぁこんな小っさい
魔法じゃたいした事ないだろうと
腹をくくる。
そして、大量の水が俺の鼻の穴をアッパー気味に突き上げてきた。
『ちょっっ!!ぁぁぁぁぁあ~!』
魔法が消えると、そこには先ほどの
マールと同じように鼻をフン!フン!とやっているトミーがいた。
『フン!!どう?わかったでしょ?
アタシの辛さが!!やるなら先にいいなさいよね!』
ジト目でマールを見つめるトミーがいた。
『あ~、悪かった!』
と潔くマールをたてる。
『それであんたはこの森で何をしてたの?』
『いやっ、何をと言われても俺は
人族の国にいくためにこの森を
通っていただけなんだけど!?
君は…えっとマールはこの森で
何をしていたんだい??』
『人族の国?っと言うことは…
あぁコロライドの町の事ね!!
アタシ?アタシはあそこに家を
作ってたのよ!周りには食糧が
たっくさんあったからね!!』
えっ??あんな所に家を??
むちゃくちゃだなぁと思いつつ
『家かぁ。故郷はどこなの?
他にも妖精がいるんでしょ?
わざわざこんな危ない所に家を
作らなくても…。』
『なくなったのよっ!!』
マールが涙目になりながら叫ぶ。
『アタシの故郷は、魔族に襲われて
なくなったのよ!!その生き残り
なのっ!!』
そう叫ぶように言葉を吐くと下をむく
『アタシの友達や家族も皆いなく
なっちゃったの……。』
叫ぶように発せられていた言葉が
とても弱々しく感じられた。
あちゃ~地雷踏んでしまったなぁ
と反省し、沈黙が続く。
『ごめん!!余計な事をきいて!』
俯いていたマールがチラッとトミーを
みる。
『本当に悪いと思ってるの??』
ジト目でトミーを見てくる。
『あぁ!すまなかった!ズケズケ
とマールの傷口に触ってしまって!!お詫びに俺に協力できる
事ならさせてもらうからさ。』
瞬間ギラッとマールの目が光った様な気がした。釣りをしていて魚が
かかった時の釣り人のキタァの
時の目のような…。
『ホントニィ?ドウセクチダケデショ?』
『あぁホントにホントだっ!!』
『はい!!頂きました~!!』
勢いよく顔をあげたマールは満面の
笑みであった。なんだなんだ
泣いてたと思ったら笑顔になるし
妖精って忙しいなと思いつつ
『えっっ?なにが?』
マールは、ニヤリとし
『そうと決まれば契約よ!』
えっ?契約?と疑問に思っていると
魔方陣があらわれる。
『いい!内容は上下の関係はなし
通信、現在地、相互共有ね!
はい!手を魔方陣にあてて
我ものぞむって言ってね!』
最後の方が良く聞こえなかったが
先日にギーズと契約した内容だと
思い手を魔方陣にあてる。
『我ものぞむ!』
魔方陣がパァッ!と光り消滅した。
『よっし!どれどれ!契約成功ね!
おほ~!トミー!!あんた凄いじゃない。見たことない魔法ばっかり持ってるじゃない!え~と
さっきのやつは~探知機!!』
とマールが俺の作った魔法を唱える。
無理でしょと思っているとそれは
発動した。
『なっっ!??』
『ふーむふむ、なるほどね~この赤い点が生物の反応なのね~。
中々つかえそうね。』
マールは探知機の画面を指差して
ブツブツと言っていた。
『どういうこと?』
とトミーがマールにたずねると、
『契約よ契約!相互共有ってあった
でしょ?トミーとアタシの魔法を
お互いに共有して使える様にする
契約なのよ。まぁ適性が足りない
魔法はアタシにも使えないけど
この探知機は使えたわね!』
と、先ほどまでの悲しそうな顔は
どこへやら、どこかに忘れてきて
しまったんじゃないかというぐらい
無邪気な笑顔でマールは語った。
『え~~なにその契約??
俺のオリジナルの魔法なのに!』
『うるさいわね~トミーにもプラスになるわよ!なんせアタシの魔法
が使えるんだからね!!みてみなさい。』
なんかいいくるめられてる様な気がしたがマールはどんな魔法を持って
いるのか気になり魔法を確認する。
ウォーターサイクロン
フェアリースマイル
フェアリーゴールデンボンバー
契約
『えっ?これだけ?』
トミーはー盛大に肩を落としていた。
たいした魔法ではなさそうな気がした。
『そうよ!!魔法ってのはね覚える
のが大変なのよ!!アタシの知ってる魔法が得意な妖精でも10個だったわね。それにしてもトミー
あんた何者なのよ!これだけの
魔法の数を覚えるのには途方も
ない時間が必要なはずよ!!』
とマールは俺を指差す。
『えっ?魔法って覚えるのそんな
に大変なの?』
『当たり前じゃない!!
アンタそんなことも知らないの?』
と呆れた顔をするマール
『いい!基本的なことよ!
まず、初級魔法一つ覚えるのに
1年、中級魔法で3年、上級魔法に
なると10年といわれてるわ。』
長っ!!とトミーは驚きの顔をする。
『しかも、覚えられるのはあくまで一つずつ、途中で別な魔法を覚えようとすると浮気とみなされて
始めに覚えようとしていた魔法は
二度と覚えられなくなるの!』
トミーはう~んと唸る、浮気??
『その魔法を覚える方法は?』
『これよっ!!』
そういって懐からグロテスクな模様を
した卵をとりだす。
『この卵のなかに自分が今までみたなかから魔法を選び願いを込めるの
見たことない魔法は覚えられないわ。そして時期がくると卵が割れて中から魔法が生まれるの!』
と一呼吸おき
『そして何故か生まれた時から卵を
手にしてるの!また卵が割れると
すぐに新しい卵が出現するわ。
その謎は未だに解明されてないわ。』
なんだこの世界は??困惑した顔をするトミーであった。
『浮気は?』
『それはね別な魔法を覚えたいと強く願うともう一つ卵がててくるの
でもすぐに卵を割れば浮気になら
ずにすむわ。』
不思議卵ちゃんだなぁと思っていると
『トミーあんたのステータスをみせてちょうだい!』
『んっ?俺のステータス?見えるでしょ?開かなくても!』
『見えないわよ!もうあんたホント
色々おかしいわね!さっだして!』
え~?っと思いながらステータスを
ひらく。
LV30
種族 海人
HP 350/380
MP 365/420
攻撃力 175
防御力 220
素早さ 190
スキル
エラ呼吸
加護
猫神…言語翻訳、魔法創造、
毒神…毒耐性、毒使役、毒生成
状態…
契約者
ギーズ、マール
せかせかしながらマールがみていると
突然声をあげる。
『ちょっ!!トミー加護持ちじゃ
ないのっ?しかも2つも!
なになに?あ~これね魔法創造
ってやつね。だいぶ反則だわね。
この毒も色々とヤバいわね!』
というと、大きく息を吸いふぅっ
と吐き出し、
『で?トミー!あんたは何者なの?』
『えっ?だから海人族って…』
『それは分かったわよ!そうじゃなくてもっと隠してることがあるんでしょ?吐きなさい!!』
うっ!とトミーは言葉につまり
黙ってしまう。マールはそれをみて
まるで子供をあやすように語りかける。
『いい!ここでトミーと出会ったの
も何かの縁なんだから、それに
これから一緒に行動していくん
だから隠し事はなしにしなきゃね。』
『えっ?一緒に行動するの?
マールはこの森で暮らさないの?』
『あんたねぇ…こんな森で暮らせる
訳ないでしょ。かよわいアタシを
置き去りにしていくつもり?
アタシに死ねっていうの?』
たたみかけるように言われて
トミーも反論する言葉が見つからなかった。まぁでも、それも悪く
ないなと俺も一人ぼっちだったから
なと一人ウンウンと頷く。
『わかった!俺も一人でいて心細かったし、この世界の事を知っている
マールがいるなら心強いよ。
よろしくマール!!』
といいトミーは自分の生い立ちを
語る。転生者であること、猫神に
拾われての事、半魚人のギーズとの
出会いと、マールに出会うまでの
事を語った。
マールは黙って頷きながら俺の話しを
聞き、時にはえっ?と顔をしながら
最後まで聞いてくれた。
『これで全部ね?』
『あぁ全部だよ。』
『よし!ならアタシから言うことは
特にないわ転生者にはビックリしたけど!まぁ別に悪いこと
してる訳じゃないからね!
あんたも大変ね!
ふふふっ!それにしても良い契約
をしたわ。これなら妖精初の賢者
も夢じゃないわねっ。』
なにか企んでるみたいだが悪意が
見られないのでそっとしておく。
と、探知機を発動したマールが
『ちょっとトミー大変よ!!
囲まれてるわ!私たちを中心に
400mくらい離れて円状に赤い反応!おそらくこの数は
ヴェノムンチュラよ!!』
逃げきったと思っていたが、そうでは
なかったようだ。
『ふん!!トミー迎え撃つわよ
パワーアップした私達を見せて
あげましょ!!』
と、自信満々にマールがいう。
私達じゃなく君がでしょと
トミーは思うが頷くだけにしておく。