転生します。
…目の前に猫がいる。
ふと自分の目を疑った海野は目を閉じる。
《あれっなにこれっ!》
半ばパニックになりつつもう一度目を開ける。
やっぱり猫がいる。しかも立ってる
後ろ足二本でではなく、しっぽで立っているのである。しっぽは三本ある。三又というのかとにかく
その三本のしっぽでバランス良くたっているのである。
『やぁ、目が覚めたかにゃっ?』
猫がしゃべった?!
『なにがどうなったらこうなる。』
なかば投げやりに海野は答える。
『にゃ~、混乱してる所悪いけど簡単に説明させてもらうにゃ!!』
言いたいことは、あるがまずは話しを聞こうと思い頷く。どうせ夢だろうと思い…
『まず一つ、君は死んだにゃ!
そしてここは私の家にゃ!』
ふむふむと頷く海野
『良くできた夢だな!
それでそれでっ?』
『君の体はキレイにしておいたから安心するにゃっ!』
『んっ?キレイにしたってどういう事?』
ふと疑問に持ち三又の猫に尋ねる
かたわら周りを見渡す。
猫がたくさんいる。
まるで猫喫茶の様な雰囲気である。
『にゃ~詳しい事は話せないけど
例えるなら、海野ダムが決壊
したにゃっ!そう海野君、君の
ダムがっw』
『海野君も聞いているはずだよ、
ダムが決壊する音をw』
海野はそっと目をそらす。そう彼自身うすうすは気づいていたのである。
意識を失う時に聞いたあの悪魔の音色を…
『ま…まぁ仮にそうだとしても、そんな事で死ぬのか?』
『にゃんだかダムが決壊したときに君の魂も一緒にでてきちゃった
みたいにゃ。』
勢いあまって一緒にでてきちゃったみたいな言い方をされるが、これ以上
掘り下げる気になれず、下を向いてこれは夢だよなと思い返す。
夢ならなんでもありだもんなと自分に言い聞かせて話しを進める事にする。
『それでなんで俺はここにいるんだ?』
待ってましたとばかりに猫は話しを
進める。
『にゃ~本当はあそこで君の人生は終わっていたんだけど、それにはさすがのボクも同情してしまってね、
救済措置をとらせてもらったにゃっ!ボクの可愛い猫ちゃんにも優しくしてくれてたみたいだしね。』
あ~あのイワシ猫の事だなと妙に納得する海野であった。
『それで、これからの話しにゃんだけど君には第二の人生をプレゼントするにゃ!今まで君が過ごしてきた世界とは違う世界での人生を!』
んっ?これはまさかの異世界転生おち
かなと思い尋ねる。
『転生ってやつか?その世界には魔物とか魔法とかあるのか?』
『もちろん存在するにゃっ!!』
『よっしゃ~!!』
『にゃっにゃにゃっ!!
喜んでもらえたようでよかったにゃっ。』
海野は声高らかによろこんでいた。
何故かというと、彼もまた異世界転生に、憧れる一人であったからだ。
海野は4人兄弟の末っ子であったが
血がつながっていなかった。
幼い頃に両親は離婚し、母親と二人で生活していたが、海野が15才の時に
再婚して父親側に連れ子が3人いたのだ。全員男の子である。
だが、仲良くもなれずマンガや小説等を読み、よく現実逃避していた。
そこへやってきた異世界転生の話である。喜ばないわけがなかった。
いまだに夢だという想いはあるが
それでも海野はよろこんでいた。
『それでなんだけどにゃ、丁度良い器があるのでそれに移ってもらおうとおもうにゃっ。』
『もちろん!』
早く異世界にいってみたいという欲に
負け深く考えずに返事をした。
『じゃあっ最後になるけど、君には
僕の加護を授けようと思うにゃ。
猫に殺されてしまった君への罪滅ぼしをさせてほしいにゃっ。』
海野は深く考えずに頷く。
『じゃあ吸うにゃ。』
そういうと、三又の猫は前足を器用に使い胸の辺りをまさぐりだした。
そしてでてきた左乳首!!
『えっ?どういうことっ?』
『にゃっ?左はお気に召さなかったかにゃっ?しょうがないにゃ~じゃあ』
といってだされた右乳首!!
『いやっそうじゃなくて加護を授かるのに吸わなきゃいけないのっ?』
なかばあきれ気味に問いただす。
『そうだにゃ!直接吸わなきゃ意味がないにゃっ!さぁっ!』
と言われて出てきた右と左の両方の乳首!
『わかった吸うからっ!
頼むから片方にしてくれっ!。』
乳首に口を近づける海野
海野の口が近づくにつれ恥じらいをみせる三又の猫。
もうどうにでもなれと勢い良く左乳首に吸い付いた。ちゅ~っと吸う音が
響く。
『にゃふん!』
三又の猫が恍惚の表情で海野をみている。
目を合わせてはいけない気がして目を閉じる。そしてさらに吸い込みを激しくした。 ダイソン顔負けの吸引力をみせる。
『も…もうだめにゃっ!充分だにゃ。』
海野は目を合わせないないようにして乳首から口をはなす。
『さっっ!さぁ飲み込むにゃ!』
覚悟を決めてミルクらしきものを飲み込む。
カツオ節の味がしたっ。
もぅ何でもいいやっと諦め、
早くこの場所から動きたいと願った。
『さっこれでボクの加護がいったね。
っとこれでやることは終わりにゃ』
『よし、今すぐ転生させてくれ
さぁ早くっ』
早くこのおかしな空間から脱出しなければとはやる気持ちが全面にでていた。
『わ…わかったにゃ
そんな焦ることないのに…。』
『まぁボクはここから君のこと見守ってるから。
第二の人生、よき人生になるといいにゃ。
ではいってらっしゃ~い。
あっちなみにボクの名前は、‥さんまた…にゃ!』
そのまんまかい!!
と薄れゆく意識の中で思わず突っ込んでいた。