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神紋を授かった俺はきっと助演男優賞  作者: 神楽坂雪蜘蛛
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第2話:選択

そんな話をしていると、ガラッとドアが開いて鷲ほどの大きさがある緑色の翼を持つ鳥が舞い込んできた。


その後から入ってきたのは、ボサボサな髪が目を隠すほど伸びている担任のルーノン先生である。


今入ってきた鳥はパートナーの【鴆】であるチンだ。名前と種族名が一緒とは、面倒くさがりの先生らしいと言えばらしい。


「あ〜、今日はお前らに生い立ちの記を書いてもらう。どんな人生を歩んできたのか、細かく書け。まぁ、たかが15、6年だが...。」


ルーノン先生は教卓の後ろに立って、そう言った。プリントが配られ、みんな友達と話したり、一人天井を見つめたりして、自分の人生を思い返している。


僕の人生か...何を書こうか...

僕の人生は他の人が歩んできた人生とは、明らかに違うんだよな



そんな事を思いつつ、僕も自分の人生を振り返る。


--------------------------------


極北にある極寒の山道を悠々と登る男と獣人。現地の人ですら近づかず、現地の言葉で「神の氷」と言われるその山は「エガス・ヌブ」。

その名の通りこの世界で最も天に近い場所である。


宙は暗く、黄金色の月が煌々と彼らを照らしている。彼らは、山頂付近で正座を組み、重々しく口を開いた。



まるで、死ぬことに抗うように...



「神よ…私の命はもう短い...。どうか、私にもう一度人生を送る機会をくれ。私の最後の願いをどうか叶えてくれ...。」


獣人は隣で静かに聞いている。男は話し終わるとその場で宙を見上げ、手を合わせた。そして、静かに目を閉じ、静かに息を引き取った。


---------------------------------


「おーい、そろそろ起きてよ」


そんな声で目を覚ました。目の前に少年が浮いている。え...?状況が理解できない。


「やあ、目覚めはどうだい?」


「うおっ!」


突然話しかけられて、ハッと我に返り、慌てて起き上がる。


なんだここは?


状況を把握しようとして、ぐるっと周りを見回しても、目に入るのは白ばかり。


上も下も右も左も、白、白、白。


自分が確かに座っているであろう床さえも認識出

来ない、そんな空間。


そこで、目の前の少年は浮いている。


どこだここは?なんで俺はここにいるんだ?


「何故って、君がお願いしたんじゃないか」


俺が願った?俺の願い...『もう一度人生を送りたい』...ということは、ここは死後の世界か?


「ピンポ〜ン、ご名答!ここは死後の世界。そして、僕は魂を司る神様です。

前世で活躍したあなたには、それに免じて第二の人生を歩むことを許します。その上で、あなたが歩む人生をあなたに選んで貰いま〜す。」


はぁ?人生を選ぶ?


「1つ目の人生は、努力して這い上がる人生。今までのあなたには無縁だったでしょ?」


俺は前の人生で神紋を授かって、九尾の狐を召喚した。あいつとは、結局死ぬまで一緒だった。

俺には、弱いパートナーや努力なんて、無縁だった。



「2つ目の人生は、強いパートナーを連れて生きる人生。今までと同じように生きていく。」


「さぁ、どっちを選ぶ?」



そんなの前者一択だろう。


こんなクソみたいな世界じゃ強いパートナーなんていらなかったー


「アハハ。そりゃそうだよね。じゃあ、第2の人生に栄光の幸がありますように。いってらっしゃ〜い」


少年がそういった途端、俺の体から光の玉がポワポワと浮かび、それに包まれた瞬間、時空がグニャリと歪み、俺は気を失った。

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