表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/10

孤島

この作品は千羽稲穂さんによる「#物書きによる魔女集会」参加作品です。


詳細や参加作品に興味ある方は、ツイッターでこのハッシュタグを検索してみてください。

 碧色の海に小島が二つ、南北に隣接して浮かぶ。


 南の島には人家が散在する一方、北の島にはうら寂れたほこらが一つ。それは潮風になぶられ、海鳥の糞尿にまみれていた。



 この島の住民は十五歳を迎える年に、北の島へ渡る。


 晩秋の干潮時に二つの島を白く繋ぐ、堆積した珊瑚の細道。一生に一度だけ、このわだちを踏みしめて祠を訪れる通過儀礼イニシエーション


 そして、水底に眠る二枚貝の如く口を閉ざす代償として、誰しもが満ち足りた生を享受する。



 温暖な気候に恵まれ、アルキナティアの花が朱く咲き乱れる絶海の孤島。


 入り江を望む緩やかな傾斜を舐める様に白壁の民家が散在し、それらを繋ぐ石畳は雨に濡れると潮を柔らかく香らせる。


 それがオレの生まれ故郷。



 島の村長を歴任する家系に生まれ、黄昏時に吹き抜ける穏やかな海風の延長線上に日々は続くと信じていた。


 それがオレの幼少期の記憶。



 この世に「魔女」が本当に存在するなんて、信じてなかった。


 それこそが、オレの唯一にして生涯最大の罪。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ