49
※今回もかなり短めです。本日二度目の更新です。
バレンタインデーと言えば、ホワイトデー。期末テストを控えているのに、またもや鳳海学園の生徒たちは浮足立っていた。
「……チョコ、ありがとう。その、うまかった。それでその、お、俺と付き合って下さい」
なーんていう光景がちらほら見られたりする。まぁ、私には全く関係ない世界だけどね!
私が席に座っていると、ようやくお返しをくばり終えたらしい、前川と赤田がふらふらしながら教室に入ってきた。前川達は意外と律義に毎年お返しをするのだ。そのせいで、よけい人気がでて、貰うチョコレートの数は右肩上がりなのだが、本人たちはそのことに気づいていない。
「お疲れ様です、前川様、赤田様」
「ああ、ありがとう道脇さん」
「……疲れた」
前川に至っては、零子ちゃん宛の物も大量に貰っていたから、例年よりかなり多いのお返しが必要だったのだろう。
――と。
「その、トリュフうまかった。……ありがとう」
そう言って、私の机に小瓶を置いた。品の良い小瓶の中にはカラフルな飴が詰まっている。もしかして、ホワイトデーのお返しだろうか。
「こちらこそ、ありがとうございます」
正直言って私に、前川からお返しがあると思っていなかったので、少し嬉しい。私がそういうと、前川はああ、と生返事をしながらふらふらと赤田と共に自分の席に戻っていった。あれは、かなり疲れているな。大丈夫だろうか?
■ □ ■
さて、そろそろ期末テストも近いが、そうなると、終業式や卒業式も近いわけで。生徒会は大忙しである。
「三年生に送る造花の用意できた!?」
「まだあと40個足りません」
「急いで作って!」
みたいな感じだ。私と赤田はまだ一年生なので、造花を作る係だ。ちなみに前川は、不器用すぎて速攻で造花を作る係から別の係にとばされた。
そんな感じで、放課後は過ぎていった。
■ □ ■
家に帰ると、自室の前で淳お兄様が待っていた。もしかして、ホワイトデーのお返しだろうか? なーんて、自分に都合のいいことを考えながら自室に向かう。
私に気づくと、淳お兄様はお帰り、と挨拶をしてくれたので、それにただいまと答える。
「これ、ホワイトデーのお返し」
やっぱりそうだった! わーい。飴が入った瓶は小物入れに使おう。後に残るものがあるから嬉しいな、と私がひそかに喜んでいると、
「……飴」
「え?」
私がもう片方の手に持っている飴の入った小瓶に気づいた淳お兄様は微妙そうな顔をした。
「ああ、これは前川様から貰ったんですよ」
友チョコのお返しだけどね! けれど、私がそういうと、淳お兄様はもっと微妙そうな顔をした。一体どうしたんだろう。もしかして、前川と被ったのを気にしているのだろうか。私は、淳お兄様から貰えるだけですごく嬉しいんだけど。
「淳お兄様……?」
「……ううん、何でもないよ」
何でもない、という割にはとても元気がない。どうしたんですか、と追及したかったんだけど、淳お兄様は
そのまま隣の自室に戻ってしまった。
「???」
一体どうしたんだろう。