ちょっとした旅
人間って生きていくごとにたくさんの悩みを抱えていくと思います。
他人にとってささいな事でも、自分にとっては重要な事だったりするんです。
悩んで悩んで考えて人間は成長していくんです。
でも、私は色んな事に疲れてしまいました。 悩む事じたい疲れてしまいました。
私は旅にでます。
そうすればきっと私のこのモヤモヤもなくなるでしょう。
持っていくのは、ギターと煙草だけでいい。…言ってみたいですが、お金は持ってないといけません。すいません。小心者で。
準備は整ったので早速旅にでましょう まずは昔よく遊んだ公園に行きました
昼間なのでチビッ子達やそのママさん達がたくさんいます懐かしいですね。昔は私も砂場でお山を作って泥だらけになったもんです。
おや?あの土管はまだここにあったんですね。ドラえもんに出てくるような大きい土管。
久しぶりにあの中に入って寝てみましょう。
そっと入って横たわる。
気がつくと、もう空は暗く夕暮れ時の様でした。
長く寝すぎたようです。
よっこらせと土管をでると、一組の男女が土管の横で揉み合っていました。
「キャぁあぁ!!だ誰か助けてぇ!」
どうやら女の人は襲われている様です。でも私は知りませんよ。
残念ですが私は旅の途中なのです。
余計な真似はしてられません。
さっさと通り過ぎていく。
しかし、男にいきなり胸ぐらを捕まれ投げられました。
な、なんで私を投げるんですか?
野蛮な人ですね。
許しませんよ?
あなたなんかこうしてやります。
いきなりの飛びひざ蹴り。
男にクリーンヒット。
男は悲鳴を上げて倒れた。
私の旅の邪魔するからです。
もっと蹴ってやります。とりゃ。けりゃ。
「あ…、ありがとうございます!!ほ本当に助かりました!」
あーいたんですか。すいません、すっかりあなたの存在を忘れてました。
「あの…な何かお礼をさせてくれませんか?」
律儀な人ですね。別にいいですよ。私は旅の途中ですから
ぐぎゅ〜。
大変です。お腹がなりました。そろそろ晩御飯の時間です。
「お…お腹すいてらっしゃるんですか?良かったらご馳走させてくれませんか?家すぐそこなんですが…」
お腹なんてすいてません。しかし、そんなに言うならついていきます。
仕方がないですね。旅にゆきづまりはよくある事ですからね
彼女の家に行く途中色んな話しをしました。
さっきの男は同じ大学の人で随分前からつきまとわれていた事。本当にありがとうと繰り返す彼女にもういいです。と何回繰り返した事か。
食事をご馳走になり、彼女の家を出たころには、もう空は真っ黒でした。両手には彼女からもらった野菜がつまっている袋を抱えて歩いています。
いらないと言ったのに。あんまりヒツこいのでもらってしまいました。
でも、粘り強い人は嫌いじゃありませんよ。私は。
次は何処にいきましょうか?
行きたい所は山ほどあるけど、今日はもう疲れたので帰る事にしましょう。
空を見上げると満月でした。
綺麗ですね。悩みなんか吹き飛んでしまいそうですね。
はて?私はそういえば何を悩んでいたんでしょうか?
本当に吹き飛んでしまった様です。
そろそろ帰りましょう。そしてまた旅にでましょう。
その時もきっとこんな満月がでている事でしょう。
満月の光に照らされた翼をゆっくりとはためかせて一人私は空へ飛んで行った