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巫女姫と神子くんと神様と

次は隠世ノ国へ向かいます。その道中ヒロインの神子服が切り裂かれていたり、ヒロインが身につけていたヒロインの世界の首飾りが何者かに盗まれたりと何かと騒がしく移動したのだった…


やっと、隠世ノ国に着いた…そう思った時には私は妖しげな薬を嗅がされて眠りに付いた。目を覚ますと目の前には白髪の柔らかい髪にちょこんと可愛らしい角生えた額…こぼれ落ちそうなほど大きな紅色の瞳。

「グスッ…巫女姫さまぁ!!僕を助けて下さい!」

「み、こ…ひめ?」

何の影響かまともに喋ることが出来ません…これは何事ですか?


白髪の可愛らしい角を生やした少年は酒呑童子の御郷というらしい…彼は泣いていた。どうしたのかと思い聞いて見ると抱きつかれた。時折嘔吐く彼の背中を摩っていると落ち着いて来たのか段々と私を抱きしめる力が弱々しくなっていく。

どうやら、彼を供物として神に差し出すために彼を女性で釣ろうとしたらしいがその女性が彼の愛らしい容姿を痛く気に入って彼に無体を働かれたすぐ後らしい。なんとも彼は不憫な少年だ。

「グスッ…酒呑童子だからって僕を神様に差し出しても何ともならないよぉ…それに女の人が好きな訳じゃ無いんだよぉ…グスッ…グスッ…」

そんな事を語りながらしゃくりあげる彼に絆されたのか段々と彼が愛おしくなっていくのは否めない。母性って奴だろうか?


ぼぉーっとしていると月詠様が現れた。どうやら私が放りこまれた部屋は神殿らしい。


「御琴!!久々だね、何度も御琴に会いたいと要求したんだけど…聞きいれて貰えなくてね。全く私を誰だと思ってるんだろね?」

いや、月詠様はなんで私に会いたがってるの?ヒロインちゃんを愛してあげて!?ゲームのシナリオからだいぶズレてるよ?あっ、ちなみにゲームでは妖が安倍様の連れていたヒロインを攫って神殿に放り込むシナリオは有るよ。ただ、攫われたのはヒロインじゃなくて私だったけど。

「あれ?そこの子は?可愛いね、こっちにおいで…」

にこやかな笑を浮かべ酒呑童子を手招きする。彼は惚けた様子で私の巫女服の裾をキュッと握りしめていた。あぁ!もう!!何でこんなに可愛いんだろうか。

「彼は御郷です。コチラの方は月詠様だよ。」

「あの…グスッ…み…さと…です…僕の命と引換に…月を…グスッ…昇らせて下さい…」

今にも泣きそうな御郷を痛々しく見つめる月詠様…彼は神への貢物として育てられている。と言うのもこの隠世ノ国には古くから人身御供の習慣があり天変地異がある度に神へ…あるいは3大貴族である酒呑童子、鞍馬天狗、九尾の狐へ幼子を差し出す習慣が有るのだ。そのため神に差し出すためにも3大貴族の二男以降は穢を知らずにそして、神に差し出された時には命を捨てる様にと言い含められて育つ。神様は心が綺麗な人を好むからだ。なんでこんな事知っているかって?そんなの、ヒロインに教える為に勉強したからだよ?

「あぁ…この国はまだこんなつまらない風習が続いているのか…」

ヒンヤリと空気が冷たくなった。ヤバイです月詠様の前なので傀儡は現れませんが多分街中では傀儡が大暴れしています。それを察したのか酒呑童子が素早く月詠様の前に踊り出ました。形式通りの美しい最敬礼をした後床に座り込み自分の喉元に持っていた短刀を添わせた。この国ではそれが神へ自身を差し出すための儀式なのだろう。ぎょっとした月詠様が慌てて止めに入った。それと同時にヒンヤリとした空気が和らいだのだ。

「グスッ…僕は…身も心も月詠様の物に御座います。僕はどうなろうと構いませんので…どうか、この国を…」


死ぬ事への恐怖から硬い声色で彼は続けた。

「この国は醜くい妖どもが大半を占める国ですが心はどの妖しも他国の人間に負けないほど優しいものばかりです…どうか…この国をお守りください。」

元来妖は夜と…夜を統べる神である月詠様と共にあったのだ。この国がどの国よりも月詠様の御加護が強いのも事実。実際この国は月こそ昇らないが星々は明るく輝いていた。

「神子様を呼んでまいります…」

私では何ともならなさそうだと思い早々に戦線離脱することにした。後はヒロインが御郷を落ち着かせ月詠様の寵愛を受けるのを待った方が良さそうだ。此処でヒロインが月詠様の寵愛を受けてくれると今後の国での祈りはさっさと終わるどころか、早く上ノ国に来いと急かされるレベルなので此処でヒロインに頑張って欲しい。


逃げ出そうと思ったのだが…御郷が私の服の裾を離さない。それどころかその愛らしい顔に不安そうな表情を浮かべて私を見つめた。

「グスッ…みことぉ…僕を置いてかないでぇ?お願いだから…僕を捨てないで!!」

うっ…罪悪感が…ヒロインちゃん…何やってるの!?ヒロインちゃんのお仕事でしょ!?

「ふふ…可愛らしい神子くんに免じてこの国に月を昇らせてあげよう!!だから、泣かないで?」

御郷の顔がパッと明るく輝いた。でもその顔は長くは続かずふと彼の顔に影が射した。

「御琴…彼を連れて僕の所へおいで。上ノ国で待っているよ。」

だーかーらその台詞を言われるのはヒロインちゃんでしょうに!?

「なぜ…私なのですか…?私などに…」

月詠様は麗しい顔を忌々しげに歪めて持っていた鏡を私に差し出した。そこには純粋で純潔でなければならないヒロインちゃんが沢山の男性に愛されている姿が映っていた。彼女を取り巻く異性達の中に安倍様や御影さんが混じっている。

「彼女…妖しげな術を使っているのか彼女に口付けされた者が皆正気を失っている…月の神子は彼女では無く御琴だよ。ほら、体の何処かに花弁の形の字は無い?」

どうも、御郷にはあるらしく彼はじっと自分の腹部を見つめていた…

「ふふ…御郷には腹部に有るんだね、見せてご覧?」

ぺろんと捲りあげられた服の下に見事に桜を模した花が描かれていた。それこそ、絵師が書き上げたとしか思えないレベルの…

そして、似たような字が本当に小さくだが自分の右肩にあった事を思い出した。思い出した途端にじんわりと右肩が暖かくなった。服の袖を捲りあげると以前では気が付かない程に薄かった字がハッキリと桜色に色付いていた。これは神子の印だったのか…

「僕の不機嫌の理由は彼女が現われる事を予知していたから。それと、最後の神子である御琴が見つからなかったからだよ。」

ふんわりと微笑んだ月詠様の笑顔となにやらよく分からない状況にクラりときた…

なんか、よく分かんなくなってきたよ(๑>؂•̀๑)テヘペロ

もうちょいで終わる予定です。

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