6章 第15話 魔王達②
と、まぁこんなわけで元魔王と思われる少女の姿をした何かと向かいうことになった。
僕はなんだかんだと自分が転移してきてからここに至るまでの話をダイジェストでしてやった。もちろんいろいろ端折ったけど。
「とまぁ、こんなわけでって言われてもツッコミどころが多すぎて困るのじゃ。まず、人間に宣戦布告をした魔王はわらわではない。わらわはどちらかというと争いを避けたいと思っておった。その宣戦布告をした新魔王はお主にやられおったのなら戦火が街を覆うことはないだろう。それにしても管理人、お主のいうところの神だな、あいつと知り合いとはな。お主のでたらめな能力も納得だ」
「えっ? 僕は神様からはポーション作る能力しかもらってないよ?」
「はっ? 何を馬鹿なことを。お主の魔力、時空間を操る魔法、全てが尋常じゃない力だぞ? わかっておるのか?」
「えぇ、なんとなくは。でも本当にポーション作る能力しかなかったんだよ、最初は街のチンピラにも勝てなかったし・・・。でもすごいポーションが――」
「いや、もういい。経過はどうであれ結果はこの通りだ。それで? お主はわらわをどうする? 他の2体の魔王同様にわらわを殺すか? それとも2体の魔王をテイムするのか? 最後の魔王のわらわはレア度も高いんじゃろ?」
「いやぁ、殺しはしないし・・・・・・」
ちょっと待て、最後の魔王!? 僕は魔王に関連する記憶をもう一度思い起こす。
まずは勇者様達と一緒の時に出会った竜魔王
そして次に出会った国を乗っ取ろうとしていた魔王は、真なる魔王ではなく、なんちゃって魔王だったはず。
そして、テイムした妖魔王。
「ごめん、僕が殺した魔王って竜魔王だけなんだけど、1体増えてない?」
「いや、間違いなくお主が対処した真なる魔王は3体じゃよ。竜魔王に獣魔王、そして妖魔王のな」
「獣魔王って?」
「どこかの国の宝である真実の鏡を保管してある洞窟で気配が消えたが、心当たりはないかの?」
たしか、勇者様のお手伝いでそんな洞窟に潜って・・・・・・。
最後のやつなんかごちゃごちゃ言ってた気がするし、今思えば普通に考えたらありえないぐらい強そうな気がしなかっとこともない・・・・・。
「過去のことは置いておきましょう!」
「いきなり話をそらしおったの。まぁ、いいだろう。それでどうする?」
さっきから思っていたのだが、この子は自分の死が怖くないのだろうか? 魔王と人間、決して合い入れないものだと考えるのが普通だ。そんな自分を殺せる人間がこうして目の前にいるのに、どうして平気で声を聞けるのだろうか?
きっと聞いたら答えてくれるだろうけど、それが真実かどうかなんて僕にはわからない。考えても無駄だ、と思考を切り替え僕は元魔王を鑑定する。
≪名前・LV≫ ジュジュ LV 132
≪種族・性別≫ 魔王(元) なし(女)
≪状態≫ 邪神の祝福(封印状態)
≪称号≫ 奪われし者
鑑定結果からジュジュはいつ魔王に戻ってもおかしくない、きっとなにかきっかけがあれば簡単に魔王に持どってしまうだろう。
奪われた力がどのようにして戻るかなど想像もつかないが、状態としてなくなったわけではなく、封印として邪神の祝福があるのだから。
「君をこのまま放置するってのはなしかな。いつ真なる魔王に戻るかわからないし、正直お互い知ってしまったからね。できたら君には僕の下に付いて欲しい。そしたら自由だ。元魔王としてのプライドもあるかも――」
「よかろう。わらわもあいつといっしょお主の下につこう」
あ、あぁ。
こうして結局なんだかんだで僕が真なる魔王をすべて対処してしまったわけだ。
「それじゃ、テイムされて。あと、いつでも内に来なよ。前あった女の子二人が冒険者やってるからいっしょにやってもいいし。僕は僕でお店があるからそっちを手伝ってくれてもいいし」
「考えておくさ」
僕は最後にテレポーションを渡し、ジュジュの元を去った。
まぁ、すぐに会えそうな気がするけどね!
次はリリとララの迷宮攻略のお話です。
それが終わってからのことはなにも考えていません。
候補としては
①〆の話を書いて完結 ②テイストを変え新章へ ③同じように続ける
①に関しては別の話が書きたいな、と思ってます。
②に関しては感想で生産やお店の話がという声があったので、新しい話で試すよりはここで書いてみるのもいいかなと思ってます。
③これはもう惰性ですね。