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目指せ!ポーションで理想の生活 IN 異世界  作者: ペンギン
第6章 幻の大陸
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6章 第12話  賢者の石を求め⑤ 迷宮の主

ジュジュを出口まで送った後に僕は2人のもとへ戻った。2人はホントにジュジュは大丈夫なのか心配したが、本人が言うぐらいなので大丈夫だろう、それにこの大陸にいる時点で見た目どおりの力しかなはずはないと。僕はリリとララを指さして言ってやった。


 「あはは、確かに。ララなんて少女というよりも幼女だし、これじゃスライムにだって負けてもおかしくないのに、実際は・・・・・・」


 「わかってくれたみたいでよかったよ。まぁ、でもそうやって他の人のことを考えてあげられる2

人は素晴らしいと思うよ。2人のお兄ちゃんとして鼻が高い」


 「マオはいつの間に私のお兄ちゃんになったかな?」


 「え、お兄ちゃんはお兄ちゃんじゃないの?」


 2人の反応が全く異なるが、伝わってくる雰囲気は同じ、暖かいものだ。


 「まぁ、なんにせよ、サクッとこの迷宮をクリアしちゃお! 目的の物を手に入れるのにどんだけボスを倒さないといけないかわからないからね」


 「話をそらしたわね。まぁ、いいわ。とりあえず先へ進みましょう」


 僕達は気持ちを切り変えて迷宮を進む。


 最下層は単純な作りで、上階へ続く階段から最後の間へ続く道は一本道だ。ジュジュと出会った場所はちょうどその中間あたりであったので僕達はそれほど時間をかけずに最後の間の前に立ちふさがる大きな扉の前まで辿り着くことができた。


 門は赤黒く、材質は鉄の様な印象を受ける。重く強固な扉、否が応でも最終決戦を連想させる。


 ごくり。


 リリとララの息を飲む音が聞こえる。さすがに緊張しているのだろう。今までも強敵を相手に戦闘を幾度も行っているけれど、こういった雰囲気は初めてだと思う。


 この空気に飲まれて力を発揮できない、なんてことがないように願いたい。と、そこまでを少女・幼女に求めるのは酷な話だろうか。


 僕の助けもあってか、2人は今や相当な実力の持ち主だ。だが、死線というものをほとんど知らないだろう、危機的な、絶体絶命な状況を乗り切る、そんな生きるための力を養う経験がほかの冒険者と比べても少ないと思う。

 

 いや、わかってはいたのだけど、僕が甘やかしているからだと。今回のサポーションもそうだ。本当の意味で鍛えるなら、僕がフォローに徹すればそんなものに頼らなくてもいいのだ。


 わかってはいるけどできない。

 

 僕自身も強くないな。と、扉を前に物思いにふけってしまった。


 「マオ。行かないの? 行かないなら私たち2人でボスを倒しちゃうわよ」


 言葉とは裏腹に顔も声色も若干強張っている。とりあえず、その強がりが言えるならまぁ、大丈夫だろ。ララは話す気分になれないようだ。まぁ、こっちは幼女だし、しょうがないよ。


 「2人とも、最後は2人だけっで頑張ってみようか? これからのためにLVだけではなく、技術や心の強さも重要になってくる。もちろん、危ないと思ったら僕も助けに入るから、ね?」


 「わかったわ。マオはゆっくりしてるといいわ」


 「それじゃ、ゆっくりさせてもらおうかな。とりあえず、ある情報筋から手にいれたこの迷宮のボスは樹に由来するものらしい。姿は人型、大きさは人よりも少し大きい程度かな。ただ、変身能力を持ち、その姿を変えることも可能だ。あっ、変身後の姿は秘密にしておこうか。と、突入する前にこれをもとに作戦を立てててもいいよ、これも訓練になるからね」


 2人はあれでもない、これでもないと作戦を練っている。


 ちなみに神様から聞いたこの迷宮のボスは


 ≪名前・LV≫      フォレスト・ドラゴン LV 125

 ≪種族・性別≫      樹竜  男

 ≪称号≫         迷宮の主      

 

 である。通常は人型をとっており(なぜか、高位の竜は人の姿をとりたがる者が多いらしい)、状況に応じてその姿を竜へと変える。竜としての格は最上位であり、並ぶものがいないほどの強者である。ここ幻の大陸ではその強さも若干霞んでしまうかもしれないが、最強の魔物である。


 「さて、そろそろ準備はできたかな? いくよ」


 2人が無言でうなずくと僕は思い扉を押す。


 見た目と反し、その扉は軽々と開くことができた。まるで、来るもの拒まず。いや、歓迎すると言いたげなほどに、なかば自動でギィィという嫌な音を出しながらそのを重く強固な扉を開く。


 まず、目の前に現れたの暗闇。


何も見えない、どこかに敵が潜んでいるのか?


 「ララ、敵の反応はないわ。警戒しながら進むよ」


 「はい、お姉ちゃんララは上と後方を警戒するね」


 2人はそれぞれの役割を分担してyゆっくりと歩みを進める。


 ララの判断と同じように、今のところ僕の警戒網にもなにも反応がない。


 が、突如、火が勢いよく音がする。慌ててそちらに意識をうつすと、壁に取りつけられた無数のランプに順番に、すごい速度で次々に火が灯る。あっという間に広間を囲うように明かりがつけられた。


 ゲームかよ! って叫びたくなるような演出だ。

 

 「ララ、あっち」


 リリが指さした方向、ランプとは反対側の広間の中央に意識を向けるとそこには1人の男が立っていた。


 騎士の様な鎧を纏い、見た目も屈強な男。だけど、人間ではない。兜をつけていない頭に深緑に輝く角が見える。


 こいつが、迷宮の主、ボスだ。


 「さぁ、2人とも気をつけて。大丈夫だとは思うけど、油断しないように」


 と、声を駆け観戦モードに入った僕はすぐに驚愕することになった。なぜか、それは鑑定結果が示している。


 男の鑑定結果はこうあった。


 ≪名前・LV≫       キング オブ フォレストドラゴン   LV 162  

 ≪種族・性別≫      樹竜(希少種)  男

 ≪称号≫         奪いし者  高みを上る者 反逆者          



 そして、男は静かにこう呟く


 「あいつは、どこだ。あの裏切り者は」 と。

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