6章 第11話 賢者の石を求め④ 不思議な少女
少女のけがは酷く、歩く足取りもたどたどしかった。目に見える範囲でも至るところが傷だらけで、片足を引き綴るように歩いている姿からもしかしたら骨もやられているのかもしれない。
僕はすぐに手持ちのポーションの一つを少女にかけ、別のポーションを少女の口に含ませる。
2つのポーションは通常であれば部位欠損ですら癒すポーションなのだが、今回はなぜかわからないが少女の傷を癒すに至ってない。
それでも、多少はましになったみたいで顔に生気を取り戻す。
「お主らは? なぜこのような場所に? それよりも、わらわの傷、礼を言う」
年の頃14.5の少女にしては話し方が少しおかしい。
まぁ、異世界だし、そんなこともあるか。
「僕達は冒険者だよ。ここにあるとあるアイテムを求めて来たのだけど、その道中で君を見つけたわけだ。ポーションのことは気にしないで、腐るほどあるから」
「ねぇ、ねぇ、名前はなんて言うの? 私はララだよ。こっちはお姉ちゃんのリリ」
「わらわはジュジュじゃ」
僕が話しているとララが割りこんできた。わりと真剣な話してるんだけどな。でもこの子、のとってはララが話した方が緊張もしないのかな。
「ジュジュちゃん、どうしてこんなところにいるのかな?」
リリとララがここにいるから馴染んでしまって違和感がないように思ってしまうが、ここはSランクの魔物が蔓延る迷宮だ。普通の少女がいること自体おかしい。
「そうじゃな、わらわは同朋達から生贄としてここに連れ来られた、と言えばいいのだろうか。なんにせよ、ここでわらわは殺されるはずだったのじゃが、いろいろと幸運がかさなり逃げのびた、というこよじゃな」
「ジュジュちゃん、かわいそう」
「マオ、どうにかしてあげてよ!」
少女と幼女に上目づかいでお願いされる。うん、この大陸にきて、この子達は新たな武器を見つけたようだ、女性という。
まぁ、まだ僕にその効果はないのだが。それでも、困っている人を見捨てるのは気持ちが悪い。
「もちろんだよ。それでジュジュちゃんは、どこに行くのがいいと思う? 行くあてがあるのならそこまで送るけど」
まぁ、味方から生贄にされるぐらいだがそれも難しいのか?
「そんなものはないな」
冷静にジュジュは言う。捨てられたもの同然なのに、悲しくないのかな? ここまで気丈にふるまえるなんて強い子だ。
「そしたら、うちにくる? こことは別の大陸にあるから知っている人はいないと思うけど」
「いや遠慮しておこう。他の奴に目をつけらると厄介なことにしかならないからな。傷を治してくれただけで十分じゃ。わらわもこの地にはなれておる、油断せねばどうとでもなるのじゃ。見た目がはこんなだが、それなりに力はあるさ」
確かに、ララがここにいるぐらいだからそれよりお姉さんのジュジュなら大丈夫、なのか?
まぁ、この子も少しと特殊なんだろうね。
「うーん、でもこのままじゃさすがに危ないよね。そうだ、せめて入り口まで送るよ」
「いや、本当にいいのじゃ、ここから入り口まで戻ってはお主らの時間を無駄にしてしまう。気持ちだけでも――――――」
「大丈夫、すぐだから。でもこれから起きることは内緒ね!」
「リリ、ララ。少し待っててすぐに戻ってくるから」
「「はーい」」
少しうろたえたジュジュに僕は手を触れ転移を行う。
目の前に景色が洞窟から開い風景に変わる。
「それじゃ、本当に気をつけてね。僕は戻るから。あっ、この力は内緒ね!!」
僕はそういい残し転移し2人の元に戻る。
「その力、お主はいったい!! #$%#%$%・・・・・・」
そんな声が聞こえた気がした。後半は何を言っているのかまったくわからなかったけど。