6章 第10話 賢者の石を求め③
さて、いろいろあったけれどやっと3人で迷宮まで来れた。
予定より遅れてしまったが許容範囲だ。なんで遅れたかは、聞かないで上げてほしい。ジュシーバードがあまりに美味しくて二人とも時間を忘れて食べてしまったのだ。
「マオ、なんか変なこと考えてない?」
ギクゥ!!
これが女の感ってやつなのか?
「いや、そんなことないよ。リリの気のせいじゃないかな?ここの魔物は強いみたいだし、きっと緊張していろいろなことが気になるんじゃないのかな?」
「ホントに?」
じと目で見られ、内心はドキドキだが顔はクール。大人をなめちゃいけません。いかに女の感とは言えリリはまだ子どもだしね。
「まぁ、いいわ」
納得してくれたリリの言葉を聞き安心からため息をつくと、違うところから攻撃、いや口撃がきた。
「お兄ちゃん、女性にたくさん食べるね、なんて言ったらダメだよ?」
うん、ララ君は心を読む能力でもあるのかな??いや、最近のララはたまに大人ぶりたい、背伸びをしたい時があるみたいでこういういかにも大人の女性が言うセリフを真似することが多い。今回のもそれだよね?
「ララ、そうだね。ララの言う通りだよ」
僕が同意してあげるとピョンピョン跳ねながら飛びまわる。やっぱりララはまだ子どもだ。
「さて、おふざけもこのあたりにして早速探索を始めよう。前に言った通りここで2人のLV上げと賢者の石を手に入れるのが目標だ。結論から言うとひたすら迷宮を攻略してボスを倒せばOKだよ」
「「はーい」」
元気があってよろしい。いや、Sランクの魔物が蔓延る迷宮に向かうテンションとしては間違っているのか?? 気にしたらダメだ。
「二人は今でも十分に強いけど念のためこれを飲んでおいて。僕特性の栄養ドリンクだ」
僕がサポーションだとは内緒にして二人に瓶を渡すと、ごくごくと飲み干す。
先に渡した効力はまだ続くけど、万が一があるから新しく付加しなおしておきたいかったのだ。二人が飲み干したのを見て僕は号令をかける。
「よし、改めて出発だ!」
「「おぉー」」
改め言うけど、このテンションでいのか?
元気のいい掛け声のもと僕らは迷宮をひたすら突き進む。出てくる魔物は、すべてLV100オーバー、街がいなくのSランクであり戦闘は激しいものであった。
主に魔物が派手にぶっ飛んでいるだけだけどね。
構造も思ったよりは単純で迷うことも少なかった。あれよあれよと、これといって特記することもないまま最下層まで辿り着いてしまった。
「感知してみたけど、この階が最下層かな。さくっとボスを倒してまた地上からやり直しだ」
「手ごたえないわね、幻の大陸の迷宮てこんなものなのかしら?」
うぅぅ。気づいちゃったかな? ばれたらダメだということはないけど、下手に今の状態の力に酔う可能性も捨てておきたい。
いつでも僕頼りってわけにはいかないからね。ってここまで感がえてしまうのは僕が過保護すぎるのだろうか。
「どうだろ? たまたま、弱かった・・・・・・」
うん? あれは?
僕達の行く手に人影が見えた。僕は二人に目で合図をし、警戒を一段上げさせる。
「女の子だ、どうしてこんなところに」
距離が近づいてその姿を確認すると、リリとララが走りだす。
「ちょっと待って、2人とも」
あの子が危険人物だとまずいと考えた僕は焦って鑑定を使おうしたが、
「マオ、この怪我してる・・・」
鑑定なんて質る場合じゃないか。1人の少女が目の前で傷ついているのなら男がやることは一つだ。
こうして僕は迷宮で不思議な少女と出会うのだった。