6章 第9話 賢者の石を求め②
「リリ、ララ。予定を少し変えようと思うんだけど」
美味しいお肉を手に入れ、次は賢者の石だと洞窟まで行った僕は考え方を改めたのだ。2人の強化と賢者の石の入手を同時にしてしまおうと。
洞窟に出る魔物はSランク相当で今の二人には少し手に余るかもしれないが、ここは僕のポーションの活躍ポイントだ。
【名称】 サポーション(サポートポーション)
【ランク】 伝説級(A)
【効果】 能力上昇(極大) 効果は1日間
二人にはこのポーションを飲んでもらっているので、正直な話Sランク相当の魔物も余裕を持って倒せるはずだ。
「と、言うと? どういう事なのマオ?」
リリが少し怪訝そうな顔で僕を見る。その後ろにいるララも同様な目でこちらをみる。
「そんなに、怪しまないでよ。2人に渡す予定の賢者の石の在処がわかったら一緒に行こうって。そしたらLV上げも同時にできるしどうかな? って思ったんだよ」
僕の説明を聞いて納得して・・・・・・ないね。どうしたんだろ。魔物強さの心配をしてるのか?
「魔物もさっき見てきたけど安心していいよ。何故か知らないけど、そこの洞窟の魔物はあまり強くなくて、今の二人でも余裕を持って倒せるLVだったから」
本当なら魔物はSランクでかなり強敵なんだけどポーションの強化のおかげでここまで力関係が逆転する。これで安心したよね?
じぃぃぃぃぃぃぃぃ。
2人の視線がまだ痛いんだけど? 僕なにか悪いことしたかな? だれか教えてよ!
「お兄ちゃん? なにか大事なこと忘れてないかな?」
ララが一歩前に出てくる。先程はリリの体に隠れて見えなかったあるもが口元に見えた。それを見た僕は2人の怪しむような視線の答えがわかった。いや、僕の思い過ごしかもしれないし、しっかりと確認しないとね。
「二人とも、まさかLV上げよりも食べ物の心配してないかな?」
「お兄ちゃん? そのまさかだよー」
何故か知らないけど、ララは少しご立腹らしい。頬を膨らませ、プンプンという文字が目に見えてくる。そして、リリもうんうんと頷いている。
2人とも賢者の石よりもお肉の心配をしてんだね。
「マオ、低カロリーで美味しい食べ物なんて女の子にとっては夢の様な食事なんだよ」
「そうなんだよ、お兄ちゃん」
お年頃のリリはそういったこともやっぱり気になるんだよね。でもねララ、君はまだダイエットとか気にするお年頃ではないよね? ただ単に美味しいお肉が食べたいだけだよね?
「二人とも安心して、【ジュシー・バード】のお肉はちゃんとマジックリングに入ってるから。あとで食べよう。まずは・・・」
「「今食べる(わ)」」
僕の声を遮るように二人に声が重なり木霊する。
「わかったよ、そんな大きな声を出さなくてもいいよ。それじゃ、ちょっとキッチン借りて調理してくるから大人しく待っててね」
「「はーい」」
元気のいい返事をありがとう。
こうして僕は肝心な話(賢者の石や迷宮)をすることなく肉の調理をすることに。キッチンを借りることで宿の仕事の迷惑になるかと思ったけど、お肉を少しおすそ分けすると喜んで貸してくれた。
リリやララ、キッチンの件で「あぁ、食べ物の力は偉大だ」と思ったのである。
そして完成したお肉を食したお二人は僕に「また食べたい」と何度も何度も言うのであった。
まだ見ぬ【ジュシー・バード】よ、また何度もお肉貰うけどがんばってな。強く生きるんだぞ。なんて僕は思ってしまったのは二人には言わなかった。
鶏を絞めるのみたら唐揚げとか食べれなくなるでしょ?