6章 第2話 レディーの嗜み
「2人とも準備はいい?」
「「おぉ~」」
僕の掛け声にやはり彼女たちはノリノリだ。よほど今回の旅が楽しみらしい。
まだまだ色気よりも食い気な年頃なのかな。ララはいいとして、リリはもう少し女性を意識した方がいいと思うよ?
「マオ、なんか言った?」
おっと、どうして僕の考えていることがわかった? 僕が不思議そうな顔を一瞬見せると
「私はもう立派なレディーですよ? 女の感ってやつよ」
って、こんなところは大人な女性らしい。まぁ、そういうことにしておこう。下手につこっむと僕にとって分が悪い気がする。
「それじゃ、聖王都の冒険者ギルドに行こうか。あそこから【幻の大陸】へ渡る転移門があるらしいからね」
「わかったわ、あとは打ち合わせ通りね?」
「そうだね、うまく行けばそのまま新大陸探索、無理なら一度戻って対策を考えよう」
そう、僕達は新大陸に向かうのに大きな壁があるのだ。
「お兄ちゃん、ララはどうしたらいいの? ワイちゃんで飛んでくの?」
「ララは気にしないでいいよ、僕と一緒に行けば問題ないから、ね!」
「うん、わかった。でもどうやっていくの?」
そうなのだ。僕とララは冒険者ではない。よってギルドからはAランク相当と思われていないのだ。もしかしたらララは今までの評判とかで行けるかもしれないけど、確証はない。
「それはね、」
とリリが打ち合わせの話を簡単にしてララに説明する。
「わかった、ありがとうお姉さん。ララはお兄ちゃんと待ってればいいんだね!」
「ララも納得したことだし、とりあえず聖王都の首都へ飛ぶよ」
僕はそう言うと聖王都から少し離れた場所を思い浮かべ【転移】を実行する。
視界が一瞬暗転したがすぐに街を囲む壁が目に映る。ここは以前一度来ていいるので問題なく街の中へと足を進める。
聖王都の首都は広い。街へ入るものも管理されており、門の場所は限られているので一見さんだと迷子になることもあるほどだ。
僕達はその後つつなく手続きを行い、街の中に入った。食事処が見えたのでここらで別行動の始まりだ。
「それじゃリリ、よろしくね。無理はしないように。ポーション(S)やテレポーションを飲んでるから万が一もないと思うけど、今回は本当に未知の領域だからね」
「心配しないで、私はこれでも一流の冒険者よ」
「そうだね、そうだよね。うん、任した!でも本当に無茶はダメだからね」
「わかってるわよ、とにか行ってくるからね。ちゃんとしててよね」
「うん、気を抜かずにいるから安心してよ」
そう言うとリリはもう一度行ってくるといい、ギルドへと移動した。
「さて、ララ。僕達はいったんここで飲み物でも飲みながら待機だ」
「うん、お兄ちゃん。そうだ、あれが飲みたいんだけど買ってもいい?」
なになに、『季節のフルーツジュース、クリームのせ』なんと、この異世界にもこんなものがあるとは思わなかった。実際今までは目にしてなかったしね。
さすがは都会。
「銅貨2枚だって、買っていい?」
「あぁ、い――」
銅貨2枚、2000円相当だよ。高すぎない?
まぁ、日本でも少し前にはポップコーンにこれぐらい出す人が大勢いたわけだし、流行ということならわからなくもないけど。僕はこういうのはちょっと苦手だ。
「うーん、ララの力で稼いだお金だからダメとは言わないけど――」
僕の言葉を最後まで聞くことなくララはレジに走っていった。
うん、流行を追うなんてララももうレディー、なのかな?
僕はそんなララを眺めつつ、ギルドことを思うのであった。
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