捜索
さて、とりあえず街の中はリリ達に任せて僕は街の入り口まで行き、門番の男に事情を説明すると、
「あぁ、そういえば昨日の朝早くに、見たことのない男と一緒に馬に乗ってここを通っていたぞ。冒険者でもないアリーシャさんが外に行くなんて何しにくんだろ、と不思議に思っていたから記憶に残っている。知らない男と一緒だから、とかじゃないかな」
なんで最期照れるんだ! もしかしてこいつもアリーシャさんを狙ってたのか。
「どこに行くとか言ってました? もしくは推測できそうですか?」
「うん? どうした、何かあったのか」
僕はアリーシャさんの雇い主で、ここ数日彼女が無断欠勤していることを、誘拐やなにか事件性のある可能性があると伝えると、門番は何か考えるように手を口に当てて僕にそのt器のことを伝えてくれる。
「俺が見た感じだと特に、アリーシャさんに危機があるような雰囲気はなかったが、まぁ、門を通る時だけ演技しろとでも言えば簡単に通り過ぎることができるからな。そうだ、はっきりとは思いだせんが、転職がどうのとか言っていたからきっとジカルにでも向かったんじゃないか?」
手がかりは【ジカル】だけか。
お店の方はどうにもならないか。少し他っておいてもいいからまずはアリーシャさんを助けに行かないと!
こんな緊急時だけど、僕はお姫様を救いだすヒーローの様な気分になっていた。不謹慎だとは思ったが今の自分と物語の勇者の姿を重ねてしまっただ。
ひとまず、僕は万屋に戻りリリ達を待つことにする。その間にまた旅の準備をする。
「ただいま、街の中にはいなかったし、目撃情報も得られなかったよ。そっちはどうだった?」
「僕の方は手掛りが見つかったよ。それで、また聖王国に行かないと行けないんだけど、その間はお店は休みかな。ただ、人が訪ねてくるからお留守番はお願いしたいから、よろしくね」
「わかったわ、あともしよければ知り合いを呼んでお店開こうかと思うんだけどどうかな? 無理のない範囲でという条件だけど。」
あれ? てっきり冒険にでるとかいうかなと思ったけどどうやら違うようだ。まぁやりたいのなら願ったり叶ったりだ。
「実はね、孤児院にいた時の友達で、冒険者になる力もほかの能力もないから、どうにか助けてあげたいの。私たちにとってのマオみたいに私なりたくて。孤児の子はだめ?」
「問題ないよ。ただ、2人は事務の細かいところがまだできないから、自分たちでできる範囲で。その子? 子たち? には1日銀貨1枚を渡してあげなよ」
「え、そんなにも!! いいの?」
普通の一般的な大人を丸一日雇おうと思うと大体銀貨1枚が必要になる。能力があれば2枚もらえる人もいる、反対に能力の低い者や子どもはもっと安く時には銅貨数枚の時もある。
「まぁ、相場よりも高いのはわかっているけど、リリ達の友達なんでしょ。だから特別だよ。それに万屋の人手正直足りてないから、それをモチベーションに仕事を頑張ってくれると助かるし、さらにがしっかりできるようだった雇ってあげることもできるしね。」
「ホントに!!?」
「もちろん、お友達は仕事が。万屋は人手が。とWIN-WINの関係になれるんだから、嘘なんてつかないよ」
「やったー、みんな喜ぶよ。」
リリがものすごく喜ぶ姿を見ると僕も心が暖かくなる。ここ最近の一番の笑顔、それが自分のためのじゃなくて友達のためのことで見られるなんて。
ホントにいい子だ。
「そのためにもしっかりと二人が仕事を教えるんだよ。さぼってるような子は雇わないからね」
僕が冗談ぽくいうとリリはほっぺを膨らましながら、
「もう、そんな悪い友達いませんよー。見てて、マオがびっくりするぐらいできる仕事人にしちゃんだから」
「あはははは、よろしくね。それじゃ、お店のことは基本的に任せるよ、お金やアイテムも好きに使っていいから。使っちゃいけないアイテムはは僕が持っていくね。Aランクとかね、売ったらえらいことになるからね」
リリはかつての勇者様達との冒険を思い出してか苦笑いをしてる。
こうして僕はアリーシャさん助けに行く準備をした。明日の朝にはジカルに出発だ。
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ストックが切れました、と言ってから毎回ぎりぎりで書いています。
面白く書こうと思うほど筆が進みません。
難しいものですね。
そんなわけで応援お願いいたします。