決戦の風景①
予定ですがあと2話ぐらいで本編が終わりその後数話エピローグ的なものがあって4章が終わる予定です!!予定です。
それでは本編どうぞ
鐘が鳴るのを待っていると昼を伝える鐘の音が辺りに響く。僕は勇者様達のことを思いながら城の方を見つる。すると後ろから大きな音が聞こえてきた。そう城からではなく街の方からだ。
びっくりして目をそちらに移すとそこには数十、いや100を超える騎士の姿と先頭には勇者様とその仲間の姿があった。一瞬、なんで? とも思ったが考えてみれば当たり前だ魔人の強さは一般の騎士がたち迎えるLVではない。ならば一体に対しチームで攻めるはず。そして城にはそんな魔人が何体もいるのだ。これぐらいの人数でなくては返り討ちにされてしまうだろう。
それにこんな人数の騎士が城の前で集まっていたら相手も不審に思うはず、だからぎりぎり前ばらけて街に潜伏し合図に合わせ一斉に攻めこむ作戦だったのだろう。
勇者様が城へ架かる橋の前にくると、一瞬こちらを向いたがすぐにその顔を後ろに控える騎士達に向け声高々に叫ぶ。
「今から作戦を開始する。さぁ、僕達の手でこの国の平和と希望を取り戻そう。そのために皆の力を僕に貸してほしい。敵は強大だ、だが僕達の正義の心はもっと強い。さぁ、行こう、平和を僕らの手に、希望を僕らのもとへ」
そう言うと勇者様率いる軍団は城の中へとなだれこんでいく。僕はここで待機だ。
しばらくすると先程聞こえた、行進時の音よりも激しい音が城中から響き渡る。音だけではなく城の壁が吹っ飛んだり、人が、魔人までもが飛んでいる。
結構やばいんじゃないかな、あの飛んでいった人絶対に致命傷だよね、堀も結構深いし・・・・・・。
「ララ、お願いがあるんだけどいいかな?」
「うんいいよ。それでなあに、そのお願いって?」
素直なララ、いい子だ、こんど何か買ってあげよう。とそんなことよりも、
「僕がため込んでるポーションをライムに渡して危なそうな騎士さん達に使ってあげてほしいだ。僕達はここは離れられないし、ダメかな?」
「うん、大丈夫だよ。ライムー、きてー」
「ピィィ」
そうララが言うとライムが来た。今のがスキル【配下召喚】ってやつか。目の前で観るのは初めてだな、そう言えば。
「ライム、これを危ない状況の人間に使ってあげて。わかる?」
「ピィ」
相変わらず賢いスライムだ。それじゃお願いしよう。僕はマジックリングがBランク以下のポーションをすべて別のマジックリングに入れてライムに渡す。
スライムがマジックリング使えるとか冗談だろ!? と初めて試したときはびっくりしたけど。もうライムはスライムじゃなくてライムっていう種族だと思うことにしたんだよ。あ、スラきちもね。
ライムはマジックリングを受け取ると文字通り目にも止まらぬ速さで堀の中へと飛んでいった。
さて、僕が騎士さん達の助けをしようとしている間もここに残っている騎士は動かない。薄情かと思ったが、皆がそれだけ今回の作戦に真剣なんだろう。それこそ本当に命をかけるほどに。それをわかっているからここの騎士も仲間の救助よりもここの守護を優先したのだ。味方を助けている間に魔人がここを通れば次に犠牲になるのは市民であり、またここで魔人を残せば後に脅威を残すことになる。
すごいなと思うと同時に、僕には理解できない感情であった。国のために自信が犠牲になるなんて。だから、というわけじゃないけど僕はできるだけ助けたいと思ってしまった。
国のために己の命を犠牲にする、戦時中の日本、特攻隊ににたようなもの。それとはぎゃくに大きな目的にために個を捨てきれないのも同じ日本、平和になれた現代日本人の感覚だ。となんとはなく思った。
それはそうと、ライムがものすごく活躍してくれている。一方僕達はというと、ひたすら城の入り口を見ているだけだ。1時間ぐらいは経ったかと思うが一体の魔人も来ない。
もちろん来ないに越したことはないのだが、中であんなに頑張っている姿を想像すると、なんかいたたまれなくなってくるんだよね。
1人で考えると騎士Aから
「これも重要な任務ですから」
と言われた。君はエスパーか。僕はただひたすら待つことしかできない。
フラグとかじゃないんだからね、出てこなくていいからね。
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