作戦会議の風景
しばらくするとリリ達が戻ってきた。僕は特にすることもなかったので料理店で商店の構想をねっていた。まぁ、簡単に言えば妄想だ。
「あ、マオ。帰ってきたんだね。どうだった、アカックは?」
「うん、いろいろやりたいことができたよ。帰ったら二人に見せたいものがあるんだ、楽しみにしててね」
「え、なーに? 今教えてよー。もう、お兄ちゃんのいじわる」
「我慢したらその分楽しみも増えるからね」
ほほを膨らますララの頭を撫でながら優しく言う。それで納得したかはわからないけれどとりあえず追及は終わった。
「それで、どうしたの? 私たちを待っていた感じがしたけど」
「うん、なんかね勇者様が予定より早く来たみたいで、ここで3人で待っててだってさ」
勇者様という言葉に敏感に反応するリリ。その方がわずかだがあがったのを僕は見逃さない。
「そうなのね、わかったわ。ララもね、ここでなにか食べながら待ちましょう」
3人で席に座ると僕らはそれぞれアカックでの出来事、村や迷宮での出来事などお互いの行動についての報告をする。
リリとララはアリーシャの話に少しびっくりしたみたいだけど、大きくは反対もされなかった。リリ達はあのあと周辺の探索と迷宮ももう一度行ったみたいだがやはり【真実の鏡】らしきものは見つからなかったらしい。
「ま、ま、マオさんそれに二人も、ご無事でしかた? 」
唐突に後ろから声がしたと思ったらなんと勇者様だった。そのそばにはいつぞや見た仲間がいた。
僕が簡単に応えると4人が僕達と同じテーブルにつく。その後僕達と別れた後の話をしてくれた。
魔王や魔人に関することである。
「一度、最奥まで行きましたけど、そんな危ないやつはいなかったですよ。途中階層主がいましたけどいリリとララの二人で倒してしまいましたし。まさかあれが魔王ってわけではないと思います」
「そうですね、さすがにお二人で倒せるようなLVではないと思いますので。とりあえず、みなさんが無事でよかったです。聖女様に話を聞いた時は顔面蒼白になってしまいましたよ」
苦笑いが止まらない勇者様。あ、そう言えば最奥にしゃべる魔物いたけど、鑑定もしてないしから正体もわかんないや。これは報告しないでいいかな。とこのことは僕の胸の奥にしまわれる。
「そういえば、勇者様。僕達の心配をしてくれるのはうれしいのですが、肝心の鏡、迷宮では鏡らしきものが見つからずこうして戻ってきました。けれど代わりにこんなものが」
と、僕は賢者の石を勇者様に渡す。もちろん知らない風を装う。僕の能力はなるべく隠したいからね。リリとララは特別だよ!!
「これは?」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、ええっ!? 」
勇者様の仲間の、確か、えっと、治癒師のマナだ。マナが叫び声を上げる。
「ど、どうされました。これはなにか危ないものなのでしょうか?」
「マナ、僕に説明して欲しい。」
僕と勇者様に質問されたマナは言葉を続ける。
「幸い周りに人はいませんわね」
声を落としマナは言葉を続ける。
「これはですね、かの有名な賢者の石です。効果はいくつかあるのですが、一つは見方のHP全回復、もう一つはLVの上限を上げることです」
「っえ。」
勇者様が驚く、やはりAランクでも相当珍しいらしい。まぁ、伝説級だし、伝説なんだろう。僕には必要ないので、勇者様にあげるという旨を伝えた。すると勇者様は、相当悩んだ末受け取ってくれた。マナの表情も少し複雑だ。嬉しさ半分、驚き半分といったところか。
それと、以前のポーションの時もそうだったけど、またお礼をしてくれるらしい。こちらはありがたくいただいておく。
勇者様は多くの魔王を倒すのだから、強くならないとね、僕はできるだけ近づきたくないんだよ、王とかがつく者とは。人生は自由に、これに限る。
まだまだ続く勇者様とお話。