異世界で初トラブル?
商業ギルドで初心者教本をもらってから4週間程が経ち、僕のこの世界への常識もある程度培われ、手持ちのポーションも多くなった。もちろん、アリーシャとは普通に話すようになったよ。まだまだ店員とお客さんの関係だけど。そして今現在の僕の状態はこれだ。
≪名前・LV・職業≫ マオ 15歳 LV 1 無職
≪スキル≫ ・ポーション生成 ・鑑定|(全) ・ランクアップ
≪状態≫ リバイバル
≪所持アイテム≫ ・ヒールポーション|(S) 3本 ・マジックポーション|(S) 3本
・キュアポーション|(S) 3本 ・マジックリング|(F) 1つ
・ヒールポーション|(D) 5本 ・ヒールポーション|(E) 5本
≪所持金≫ 金貨 73枚 銀貨 5枚 銅貨 3枚
となっている。そしてこれまでにわかったことで言いたいことがある、それは各ポーションのSランクは他のポーションと味が違う。ヒールポーションはカルピス、マジックポーションは炭酸、キュアポーションはメロン、そして昨日僕は気づいてしまった。これ混ぜたらカルピスメロンソーダ作れるんじゃないかと?どうしてここまでジュースにこだわるのか、それは初日街に甘味がないと言ったが、その後も街の隅々調べてもほとんどなかった。気持ち程度にあったが、とても美味しいとは言えない、薄い砂糖水のようなものしかなかった。元の世界で別に僕はスイーツ男子と言われるものではなかったがやはり時折口が、体が糖分を甘味を求めるのだ。その欲望に忠実になり、今夜僕はカルピスメロンソーダを完成させるつもりだ。
熱く語ってしまったが、想像してみてほしい。甘いものがない世界を。甘いもの好きでなくてもきついと思う。そして、このカルピスメロンソーダ作り、実は難しい。昨日一度試してみたのだが、それぞれが神級のポーションだからか少し配分を間違うと味が大きく変わる、元の世界で作るのとはわけが違うだ。だが、こんや僕は成し遂げるつもりだ、材料も各種3本用意した、やったるぞ。
すみません、冷静になります。と、熱く語ったものの実行に移すのは夜だ、今日も朝食を食べたらまずは商業ギルドに行くつもりだ。
そして僕はいつものように商業いギルドのいつもおじさんのとこへ行く。カウンターに向かう途中男の怒鳴り声が聞こえてきた。
「おい、おっさん。俺様の作ったポーションがCランクってどういうことだ。これはもうBランクで間違いないだろう。すばらしいものを不当に安く奪うなんて商業ギルドもおちたもんだな、ええぇ。」
「そうだぞ、おっさん。この稀代の錬金術師、マーク様が作られた渾身の傑作。国宝級のポポーションだ。おとなしく光金貨をだせばいいんだよ。そしたらこれを置いていってやるって仰ってるんだ、ありがたく思えよ。思えなんかがこのすばらしいポーションを見られるんだから。」
買い取りに文句をつけてるのか、辺りからあの人確か大きな商会の息子で錬金術師としても腕があるのよね。人格は破たんしてるけど腕は確からしいわ、たしか親から勘当されて、もしかして職員が不正してるのか?、ぼんくら息子がまた、などと声が聞こえる。近くまでくると僕は【鑑定】をマークの持っているポーションに使う。
≪名称≫ ヒールポーション
≪ランク≫ 超一流品|(C)
≪効果≫ 体力をものすごく回復
なるほど、確かに腕はあるみたいだ。おおかたあまり出回らないCランクのポーションができたからそれを使って無理やり稼ごうという魂胆だったのか。職員も脅したらどうにかなると思ったのだろうか。
「おまえらが、俺の鑑定に文句があるなら買い取りはこちらからお断りだ。それにもし、お前たちが力に訴えるならどうなるかわかるよな?」
おじさんの顔が怖い、優しいとわかっていても僕の足は震えそうだ。おじさんがにらみを利かせるとマークたちはギルドから出ていった。僕はおじさんのもとに駆け寄り
「おじさん大丈夫?おっかない連中だったけど。」
「おぉ、マオじゃねーか。あれぐらい大したことないぜ。まだまだかわいい連中だ。俺自身も戦えるし、最悪商業ギルドには冒険者ギルドがついてるからな。ん、そんで今日も買い取りか?」
「はい、ヒールポーション3本お願いします」
それにしてもあいつらがかわいいって、商業ギルドの職員になるのは大変そうだな。っておじさんやっぱり戦えるんだね。うんそこは驚かないよ。そして、実は冒険者ギルドと商業ギルドはつながっている。冒険者ギルドは戦力を商業ギルドに、商業ギルドは安くアイテムを冒険者ギルドに売ることでお互いが利益を得ているのだ。これも教本に書いてあったので常識だ。商売をするにしても戦力が必要とかさすが異世界だな。
「ランクはEランクだな。ほら、銀貨3枚だ。あいつら、まだこのあたりにいると思うから気を付けろよ、おまえさん戦いは得意じゃないだろ」
「あははは、LV1です。ってこれ秘密ですよ」
LVを他人に教えるのは基本しない、教えても家族や親しい人間、パーティーぐらいだ。相手に強さがばれるということは対策を取られるということだから。まぁでもおじさんには世話になってるしね。気にしない。
「そうか、予想通りだよ。なんにせよ、大通りを歩いて今日は宿に戻っちまいな。へんな因縁つけられも面白くないだろ」
おじさんと話を終え特にすることのない俺は宿へと向かうことにする。道中広場周辺で食べ物を買い食べながら宿に向かうと、路地裏から女の子の悲鳴が聞こえてきた。さすがに無視できず声のする方へ駆けていく。入り組んだ路地を少し走るとそこには少女と3人の男がいた。男はさっきいちゃもんをつけていたマーク達だ。少女の方は姿からそう予想するに10.11歳のスラム街の子だろうか、きれいな格好とは言えない。それにしても、まったくなにしてるんだよ、あいつらはこんなところでまで。
「おい、お前。お前がぶつかって来たせいで俺様のポーションが台無しになったじゃないか、どうしてくれるんだ、おい。しかるべきところに行けば金貨1枚にもなるランクDのものだぞ。」
「えぇ、でもぶつかってきたのはそっちで、私なにも・・・・。」
難癖つけるマークに震える少女、詳しく聞かなくても悪ものはマーク達だよな。ぶつかって骨が折れたから金出せってやつ、もとの世界じゃ都市伝説だよ。そして、言葉を切らした少女に腹がたったのかマークの取り巻きが少女に掴みかかる。
「ちょっと待った。」
俺は場に飛び出し取り巻きの腕を掴みそのまま押し返す。そうそのつもりでかなり力を入れた。
が、男の腕はビクともしない。
「あぁ、お前なんだ?こいつの知り合いか?」
男は俺が力を入れたことに気づいていないのか、そのまま話しを進める。俺の力は虫と一緒かよ。武道の経験があっただけに強気で出てきてしまったがこれはまずいな。勝てそうにない。と僕は内心かなり焦る。
「そ、そうですね。そんなようなものです。してどうなさいましたか?」
「こいつがマーク様のポーションを台無しにしやがったんだ、それでその弁償代金貨5枚を請求してたとこさ。無理ならこいつを売ってもいいんだぜ」
「ひぃぃ」
少女が悲鳴を漏らす。脅すなよな、それにさっきより金額が増えてるじゃないか。内心毒を吐きながらも僕は最初と違いできるだけ丁寧に対応する。力で勝てないとわかった以上こちらが不利だ。
「金貨5枚ということはDランクを5本ということでしょうか?」
「そうだ、でどうするんだ?こいつ売るのか?それもあんたが払うのか。」
「生憎と現金はもっておらず、現物でお渡しします。」
本当は持ってるけど、こんなやつに現金を持っているといられるときっといいことはない。僕はDランクのヒールポーションを5本、マジックリングから取り出す。が、この時いかにも鞄から取り出したように見せこいつらに渡すことにした。悔しいが今は物で解決する、これが最善だ。そう言い聞かせて自分の心をだます。男は満足そうに受け取ると
「は、これでそのガキを許してやるよ。お前はそんなガキ助けてどうすんだか。お人よしか、あぁぁ」
「それではマーク様行きましょう」
別の男が促すとマーク達はそのまま大通りへ姿を消していく。
まだまだ戦闘力は低いのです。 何と言ってもLV1
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