勇者様とする旅の風景
「魔王を倒すのが今回の僕達の目的です」
「えっ!?」
「驚くのも無理有りません、魔王ですからね。その力は他の魔物を圧倒し、数多の魔物を統べる、そんな存在を相手にすると言っているのですから」
「はぁぁ」
馬車で移動を始めてしばらくすると勇者様から唐突に話が始まる。そして僕の驚きの種類を勘違いしてか勇者様が言葉を続ける。
「でも安心してください、マオさん達にやって欲しいことは魔王との戦いではありません。実はこの魔王が今の聖王国、国王に変化しており国を混乱に導こうとしているのです。国王が偽物と証明しようにも安易に偽物の恐れがありますので鑑定を、などと公の場で言えば不敬罪だの、なんだのと躱されてしまうのです。それに鑑定を仮にかけれたとしてもそれが本当であると証明できません」
「はぁ」
だから、僕が不安に思っているのはそこではない。
勇者様達で魔王を倒せるかということである。
「そこで、聖王国に伝わる【真実の鏡】をマオさん達に取ってきてほしいのです。この鏡は映しだした者の真実の姿を表すそうです。それでその鏡は長いこと使われことがなくなり、その保管場所に魔物が住み着いてしまったみたいです。それ以外にも国王の祖先が残したトラップがあるそうですが、難度はそこまで高くないはずです。Bランクパーティー程度の力があれば可能かと」
「はぁ」
適当に返事をしながら勇者様を鑑定してみる。
アルス: LV75 勇者の卵 冒険者ランクS HP 923 MP 208
「なら国の者や冒険者に頼めばいいと言われるかもしれませんが、現状誰が見方で誰が敵か、それがはっきりできないのですので。その点マオさん達は敵でないと断言できますし、彼女たちの活躍も聞いていますので。お願いできますかね?もちろんお礼はさせてもらいます」
おっ、流石勇者様、LVはAランク相当なのにちゃっかりSランクになってる。急激にLVUPしたのは勇者としての能力か、それとも無茶でもしたのかな。前回いろいろと思うところがあったはずだし。とそろそろちゃんと返事しないと
「えぇ、僕は大丈夫ですけど。リリはどうかな?」
「ぜ、ぜひやらせてください。勇者様のために頑張ります!!」
リリはやる気十分だ、ララはまぁ、付いてくるだろうから聞かなくていいか。
「それで、勇者様。以前一緒にいらしたお仲間は? 魔王を相手にするとのことですが、同いった魔王なのか、またお仲間の強さなど差支えなければ教えてください。私が心配することではないと思うのですが」
とりあえず僕もあと3体の魔王を倒さないといけないみたいだし。それに勇者様も強くなったといえさすがに真の魔王とやりあうにはまだ力が足りない。情報はあるだけ欲しい。
「仲間達も皆僕と同程度のLVまでなっている。以前の屈辱を晴らすためにもみんな強くなろうと必死だったので。今なら並みの魔物なら相手にもなりませんよ」
笑顔でいう勇者様。嫌味に聞こえないのは勇者様の爽やかさが原因か、それとも僕の方が強いからか。
「そうなのですね。」
「マオさんから上質のポーションを買うことができるようになったので以前より無茶ができるようになりましたよ、本当にありがとうございます」
「そういってもらえると僕も光栄です。それで魔人の種族はわかるのですか?」
『僕のおかげで強くなれた』と、それを聞くと嬉しいけど、言い換えれば、『僕のせいで地獄を見ることになった』、とも言えるよね。勇者様の仲間から恨まれてないことを祈ろう。
「実は鑑定(人物)を使える者が城にいる人物を手あたり次第鑑定してみたのですが、多くの者のステータス欄に人間以外の種族が見られ、それは皆【魔人】とありました。その鑑定した者の中に魔王を見つけることができなかったらしいのですが、これだけ魔人が多いことから今回の王は魔人の王で間違いないでと考えられます。なぜ魔王と断定するかといいますと魔王という例外の他で魔物が大規模な統率をとることはないからです」
神様(管理者)から聞いた魔王ではないから僕にはあまり関係ないか。
「そうだ、勇者様これ新しく作ったオリジナルのポーションなんですど飲んでみてもらってもいいですか?性能というよりも味について意見をお願いしたくて」
いきなり話を変えてしまったけど。勇者様怒ってないよね?
こうして聖王国首都につくまで僕達は馬車に揺られ旅を続ける。
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