酒場の風景
「もう少しで僕が拠点にしている宿屋につきます」
あの夜の襲撃以降も僕は警戒を続けていたのだが結局アカックにつくまで何も起きなかった。まぁ、警戒が無駄に終わること自体はいいことだし文句はないんだけど。
と僕は新しく考えた戦闘方法を試すことができずもやもやしてします。って僕、商人だったよね。いつの間にか戦闘狂になってないかな!?
「いらっしゃいませ、ってあれ!? マオさん!? もうお帰りでしたか。あっ、そういえば、先程マオさんを訪ねてきた方がいましたけど、今はいないとお伝えしたらまた来るって言ってましたよ。その方、今日はここで宿をお取りになるので夜までまっていれば会えるかと思いますが。」
「ありがとう、アリーシャさん。残念ながら目的地に着く前にいろいろありまして帰ってきました。リリやララはどうしてます?」
「あの子たちは今日は戻らないですね。迷宮で探索するからと、帰るのは明日の予定と聞いてますよ。」
あいかわらず看板娘のアリーシャさんはかわいい。
「全然関係ないんですけど、僕がお店持ったらお店版してくれませんか?」
「えっ?考えておきますね、ふふふ」
顔色を見るにまだチャンスはありそうだ。これは早くお店をもってアリーシャンさんに声をもう一度かけなれば。そうと決まれば早速
「あのぉ、マオさん?」
ふと後ろ向くとそこには何やらもの言いた気な姫と騎士がいた。
「あぁ、やだな。わかってますよ、とりあえず夜まで待ちましょう。幸いもう夕飯の時間ですし、ここのご飯美味しいですよ!!僕を訪ねてきたのは勇者様達だと思うので、それまではね。」
「まぁ、現状頼れるのはあなただけですからね、姫様もそれでよろしいですか?」
などとやりとりをしつつ食堂へ向かう。
夕食の最中はあたりさわりの話をしていた。聖王国の素晴らしいところ、美味しい食べ物や国の成り方。話題はいろいろな方向へ飛んだが決してあの魔人の話にはならない。
僕は直接聞きたくないし、姫様達もあまり言いたくないみたいなので必然その話題にはならない。
「あ、マオさん。こんばんわ」
と自分の分の食事がなくなるぐらいに不意に声をかけられる。
「勇者様!!」
「えっ?どうして姫様がこんなところに!? 」
勇者様の姿をみた姫様が声をあげ、そこで勇者様もその姿に気が付いたようである。
「勇者様実は・・・・・・。ここでは少し、今夜お時間よろしいでしょうか? どうか勇者様にお聞きになってほしいお話があります」
魔人の話でもするんだろうか?それとも聖王国でなにかあったとか?と、勇者様と目が合った。
「えっと、マオさん」
「大丈夫ですよ、勇者様。アイテムは既にもっていますので」
と僕は勇者様の続く声を待たず、マジックリングから袋に詰めたポーション各種(A)を勇者様に渡す。空気の読める男なのです。
「お代はいつでも結構ですので、と僕はそろそろお暇させてもらいましょうか。僕の今回の目的はこのお二人を勇者様の元へお連れすることでしたので」
「マオさん、本当に商人だったんですね。ここまでずっと信じれなかったですよ。と、すみません本当に勇者様の元へ連れてきてもらい。たいしたお礼もできませんが、いつかお渡ししますので」
「気にしないでください、メリッサさん。僕はあたりまえのことをしただけですよ。そうですね、僕も商人ですのでもし機会があればうちをご贔屓にしてもらえたら(笑)」
「本当にありがとうございました。その時には是非とも。姫としてできる限りはいたしますので」
お二人から感謝の言葉をもらい、僕はその場を立ち去る。
さてさて、どうしようかな。アカックまで戻ってきたのに、またすぐに出発するのはなんかもったいし。
ブクマ・評価・感想お待ちしております。
私のモチベーションをあげてください(笑)