戦闘風景②
「お言葉に甘えて少し本気を出させてもらおうか、後悔するなよ」
ジンの持つ剣に膨大な魔力が流れるのがわかる、一瞬ただの強化かと思ったがすぐにその考えが間違いであると認識する。
剣の周りには炎がいくつかの帯状になり、あるものは剣に纏わりつき、またあるものその端をさらに外で漂わせている。
「これは火傷に気をつけないといけないですね。」
「ふん、火傷だけですむといいな」
僕が笑顔で言うとジンも笑顔で返す。お互いにこやかなのは表面だけである。
兆発はこれぐらいにして実際、僕が双剣で今のジンと打ち合うと、必然的に僕の体は炎で焼かれてしまう。それにあの炎の帯、ただの飾りとは思えない。まずはそれを確かめないといけない。
僕は魔技で右腕を入念に強化する。なにか感じ取ったのかジンが一瞬そこを見た気がするが、まぁ、たとえばれていても問題ない。
今度は僕から接近する、ジンへ向かって少し左へ向かい回り込むように駆ける。と、まだ剣の魔間合いではないのに、ジンが剣を大きく振りかぶる。すると、剣に纏っていた炎が鞭のようしなり僕へと向かう。もちろん、そんなことは予想済みである。炎がこちらに向かった次の瞬間僕はジンの後ろへ飛ぶ、そして攻撃モーションに移りやったと思った。
その瞬間、右手にチクリとした痛みが襲う。と言っても注射を刺されたぐらいであった。右腕強化しておいてよかった。生身で受けたらもう少し痛かったはず。
「やっと、一撃はいったか。にしても、防御力も大したものだ、本当にお前は何ものなのだ」
「たった一撃ですよ、しかも微々たるダメージ。商人相手にこれでは魔人の名もすたるのでは?」
「言うな、小僧。それにお前が商人だと? 馬鹿も休み休みに言え。我と対等に戦える商人などいるもんか。そもそも人族にここまでにやつがいることすら謎だ」
機嫌がいいのか悪いのかわかんが、ジンは饒舌に話す。もともとそういう性格なのか。僕と言う存在に興味をもったのかわかんないけど。
「あなたの世界はずいぶん狭いみたいですね、僕みたいな人間きっとたくさんいますよ」
「ふん、まあいい。それで、どうだ? これでおまえ攻撃は完全に塞いだぞ。双剣で攻撃しようにも我が炎がそれを阻む。それに貴様は攻撃魔術が使えないであろう?もしくは使えたとしても低LVのみ。」
確かにそうなんだよな、やつの言う通り僕は完全に手詰まりになった。とはいえ、そろそろ訓練もこのあたりでいいだろう。双剣とテレポートのコンビネーションにも慣れてきたし、今みたいな弱点も認識できたし。それにしてもこの弱点はどうしたものか・・・・・・。
また誰かに相談するしかないかな?冒険者達はどうしてるんだろう?
「どうした、そんな顔をして。ついにあきらめたか?」
僕が考え事をしている真剣な顔を見てジンが言う、そして続けて
「この状況になっては希望もないであろう。それにしても、惜しい人材だな。どうだマオ、我の配下にならんか? 誓約はあるが命は助けてやるぞ。」
的外れだよ。と思いながらもういいや、とりあえずこれ終わらそうと訓練終了のチャイムがなる
キーンコーン カーンーコン。 もちろん僕のここの中で(笑)
「お断りします。それでは僕の本当の全力をみせてあげます」
そう言うと僕は双剣を両手に持つとそれを全力でジンへ向けて投げつける。
「血迷ったか、そんな攻撃で、なっっ」
僕の投げた双剣は突如その姿を消す。早すぎて見えない、というわけではない。
文字通り消えたのだ。
そして、次の瞬間にはジンは静かにその体を地面へと倒すのであった。そして完全にその命の灯が消えたジンの胸からは銀色に光る刃が2つ見える。
その刃の向く先は僕の方である。柄姿は外から確認できない。
しかし、その刃は確実にジンの魔石を貫いた。
そう、これが魔石を直接抜き取るの次に考えた必殺技である。投げた双剣を勢いはそのままで体内へテレポートさせたのだ。もちろん、弱点である魔石の位置を探ってからだ。
この方法、逆を言えば相手を殺さずに制することもできる。テレポート先を手足など生命に直接危険が迫りにくい場所を狙うことで制圧も可能である。まぁ、きっとめっちゃ痛いとは思うけど。
あたりを見渡し危険がないことを確認すると、僕は双剣をテレポートで戻し、2人の待つテントへと戻るのだった。
ブクマ・感想・指摘お願いします。
やる気維持のためにも!!!!!