朝の風景
新章が始まりました。
今回は少し長くなる予定です。
「おはよう、リリにララ。今日の目標はどこまでいくの?」
「うーん、今日は10階層の中ボスの手前まで行く予定かな、マオは?」
「僕はあの水晶の材量を集めたいからひたすら探索かな。冒険者ギルドからの情報が正しければ常夜の迷宮の中層から深層にあるみたいだから。見つかるまでしばらく帰らないかもしれないかな」
リリとララの初めての冒険から数カ月、僕達はそれぞれの目標のために動き始めていた。まずは僕はエンチャントを覚えたリリにお願いしてその技を磨いてもらっている。それと同時に神様(管理者)と話せる転職の水晶を作るためその素材と作り方を調べていた。
なぜか? それは商売が少し軌道に乗り生活に余裕がでてきたら今度は急に日本での生活の便利さが恋しくなってしまったのだ。これはどうにかしたいと思って、それなら相談だと思ったものの神様と連絡をとるにも手段がない。それで水晶思い出して、神殿へ何回も行くぐらいなら作ってしまおうと思ったのだ。日本と異世界を比べた時に到底僕の相談が1回や2回で終わると思わなかったである。
「そうなんだ、会えなくなるのは寂しいけど、頑張ってきてね、マオ。できたら出発する前に私たちのお弁当をたくさん作っておいてね。」
「おねがーい、お兄ちゃん。お兄ちゃんのサンドイッチすっごい美味しいの。迷宮で食べるのいつも楽しみなんだ」
「わかった、わかった。期待のルーキー様達に頼まれた断れないからね!」
「「わーーーい!」」
リリまた、は冒険者のランクを上げるためあれから草原の迷宮を少しずつララ達と探索している。ララはそんな姉と一緒にいらればいいと言ってリリについていく。そういえば、話し忘れていたかもしれないが、初めて二人が迷宮へ足を運んだあの日、僕は帰ってきた二人を鑑定してそれはびっくりした。なんせ、リリは魔術が飛んでもなくLVが上がりエンチャントも覚えていたし、ララは配下に2匹普通ではない魔物が増えていた。リリのエンチャントが生活に余裕を与えたといっても過言ではない。属性付きの武器はその性能が多少低くても飛ぶように売れてるのだ。
「ライムとスラきちには別のものを用意しておくからちゃんとそれをあげてね。」
「それってララが食べても」
「だめだよ、欲しかったまた2人にも作ってあげるから。」
リリ達は新しく増えたララの配下のスラきちをパーティーに加え、前衛がスライム2匹、後衛が少女と幼女という素適なビジュアルのパーティーを組んでいる。始めこそ他の冒険者になめられていたけど、徐々にリリの魔術の威力やスライムたちの異常な能力、そして彼女たちの移動手段であるワイバーンのワイちゃん、これらの噂や実際の現場をみた冒険者たちは彼女たちを期待のルーキーとして扱うようになっていた。
もちろん、なかにはそれが気に食わないやつもいたが、万が一ちょっかいでもかけようものなら別の冒険者やスライム達が黙っていなかった。期待のルーキー、裏では冒険者たちのアイドルだ。まさか異世界のアイドルも低年齢化してるのか?
「はーい」
残念そうな声で返事をするララは少し不満気味だが、これはしょうがない。そして僕はさらに釘をさす。
「知らない人からもらった物も食べちゃダメだよ。2人はかわいいから悪いことを考えてる人もいるんだから。」
「はーい」
単調な返事だなぁ、ちゃんとわかってるのか心配になる。
「リリ、お姉ちゃんとしてしっかりね。」
「まかせて、マオ。こっちのことは心配しないで、マオは早くサンドイッチを作って。」
自信満々に言うリリ、頼もしく感じるがこちらも最後は食べ物のことか。まぁ、まだ子どもだししょうがないか、自分自身を納得させる。
そういってリリとララは迷宮探索のための準備を始める、装備にアイテムに確認することはたくさんある。たとえ初心者用であっても、上層であっても迷宮はどこまでいっても迷宮であり油断は禁物なのだ。このことは何度も何度も二人には口をすっぱくして言っている。
僕はそんな2人を見ながらサンドイッチに使う卵とお肉を焼き始める。
「うん、美味しそうだ。」
2人にマオはちゃんと準備してるの? と聞かれないようにしないと(笑)
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私のやる気となります。
今回の章は1回あたりの文章量は減らして更新頻度をあげようかと思っています。
これから4章終了までは毎日更新でがんばりたいです。
ただ、GWは不定期でお願いします。