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目指せ!ポーションで理想の生活 IN 異世界  作者: ペンギン
第3章 番外編 リリとララの冒険
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リリとララの冒険(中)

2人の少女、リリとララの目的は迷宮での探索である。2人のLV、パーティー、装備、アイテムを考えると4階層が安全に行けるボーダーラインである。実際とある商人は2人に行っていいのは4階層までと言った。そして、素直な少女たちは疑うことなく、大きく頷いたのである。


 もちろん、2人が迷宮でそれを忘れないかどうかというのは別のお話しであるが。


 話を戻そう、なぜ4階層までと言われたのか、迷宮の最奥には迷宮の主であるボスがいるというのはすでに知っていると思うが、実は区切りのいい階層には中ボスと呼ばれる強めの魔物が現れるのである。踏破難易度は手前までの階層よりも大きく上がるので、調子にのった冒険者が勢いのまま中ボスに挑み、その命を散らしたというのはよく聞く話である。


 2人は今迷宮2階層で探索を行っている。今回の目標はララが魔物をテイムすること、リリは自身と魔術のLV上げである。


 1階層では数回の戦闘を、2階層に入ってからは10回程度の戦いを終えている。相手は低LVの魔物とはいえ、2人のパーティーである少女2人は少々つらいものである。


 疲れも溜まり、休もうか、それとも3階層への階段を見つけるまでまで粘ろうか、姉のリリが考えていると、横から


 ぐぅぅうう。と幼女のお腹から音がする。


 「もう、ララってばお腹がすいたのね。食いしん坊なんだから、あはは。」


 「もう、お姉ちゃんの意地悪!だってお腹」


 ぐぅぅぅぅぅ。と響く別のお腹の音。


 「なんだ、お姉ちゃんもララといっしょじゃん。」


 「ち、ちがうわよ。私じゃないって、音が聞こえたのララの下のほう・・・」


 2人の少女が視線を落とすと、そこにいるライムが少し赤くなっているように見えなくもない。


 「もう、2人とも。わかったわ、あの岩場のあたりでお昼にしましょう。それで食べながら予定を考えましょう」


 「わーい」


 「ピィー」


 2人と1匹のパーティーのリーダーであるリリの号令でメンバーは岩場へと駆けだす。もちろん、ララは少し駆け足である。どうやら早く岩場に着きたいらしい。


 2人は駆け出しの冒険者、どこかの商人との旅の時とは違い便利なマジックリングはもっていない。とうぜん、食事も自分たちで運んでいるので持ち運びに優れたものになる。


 「お姉ちゃん、お兄ちゃんがお昼は楽しみにしてろって言ってたけど、何を作ってくれたの?」


 リリはララを制しながら、商人から渡された袋を手にし、包みをほどいていく。


 「一体なんだろうね? そう言えば、マオが料理するのって、実はあまり見たことがないわ」


 「でも期待してろって言ってたよ? 絶対美味しい物だよ!」


 ララの期待が高まるのが止まらいなか、リリがその包みをほどき終わると、そこから香る匂いは食欲をそそるいい匂い。見た目はパンで野菜やお肉を挟んで、ふだん、肉に使われるソースが、全体にパンも野菜に、もちろん肉にもかけられている。 使われているパンは大きく、2人の少女が片手で持つには大きい。それに伴って挟まれている具材も大きく、多くなり、それが空腹のお腹をさらに刺激するのだ。


 また、このサンドイッチはこの世界には似たような物もなく、2人には目新しかったようだ。


 「初めてみる食べ物だわね。このままかぶりつけばいいのかしら?」


 「そんなの気にしないでとにかく食べようよー、お姉ちゃん。ララ、お腹すいて我慢できないよ。」


 「ピィー、ピィー。」


 2人はその口いっぱいにサンドイッチを詰め込むと、幸せそうな顔で美味しいと連発する。その下ではどうやって食べたわからないが、ライムが嬉しそうに体を揺らしている。透明な体の中にサンドイッチが見えたら嫌だと思うがそんなことはないので安心して欲しい。


 「こんな簡単そうな料理がこんなにも美味しいなんて、マオはすごいのね。帰ったらもっとたくさん作ってもらわないとね」


 「うん!」 「ピィー」


 2人と1匹がサンドイッチを絶賛していいる。昨日とある商人が「うーん、マヨネーズを作るのは難しいか、作り方は簡単なのに材料がない。まぁ、とりあえずこれで妥協しておくか」などとつぶやいていたとは夢にも思うまい。


 肉のサンドイッチを食べ、次は魚を使ったものを食べ、最後に口直しにフルーツを口にして昼食を終えた。


 この時2人が2人とも夕食用にもらった包みを思い浮かべたのは内緒だ。いくら子供とは言えレディーですので。


 食事を終えると少女たちは再び3階層への階段を探し始める。この迷宮において通路や部屋という概念はあまりない。1階層そのものが草原であり、岩や木々など、まるで迷宮にいることを感じさせない。魔法苔によって常に明るいため下手をすると迷宮の外での狩りよりも快適である。


 事前の情報からすると、もうしばらく歩くと階段が見えてくるはずであったが、その後もいっこうに2人の前には広がる草原しかない。疑問に思いながらも、その歩みを戻すことなくひたすら進むであった。


 1時間もしたぐらいでとうとう自分たちは間違えたとリリが認識し正しい道へと舵を切ることにする。もちろん、ここに至ってはどちらが正しいかなどわかるはずもないので、とりあえず戻ることにする。


 ここまで迷うということからおわかりかと思うが、実はリリは方向音痴であった。本人はもちろん自覚しておらず、ララにとっては頼れるお姉ちゃん、ライムはまぁ魔物である。だれもその行く先を修正するように諭すものはいなかったである。


 この迷宮の上層部で迷うというのは珍しいほど、道は単純なのである。迷うのは事前に情報取集すらしてない冒険者未満のものぐらいであると言われるほどに。


 そんな2人と1匹が彷徨うことさらに数十分、目の前に大きな岩がいくつも見える場所にたどり着いた。やぶれかぶれのリリは岩々の間からさらに前にへ進む。それに従う妹とスライム。子ども1人がやっと通れる細い岩の間をなんとか抜けると、リリ達の前には見渡す限り岩の山が見えた。


 彼女たちが立っている場所は草原であるが、その四方は大きな岩の山で囲まれている。囲まれた空間はスポーツをするドームよりもやや広いと言ったぐらいであり、RPGをしたことがあるものがもしマップでこの場所を見たらなにかイベントがあると判断するだろう、いかにもって感じの場所だ。


 しかし、そんなRPGを知らない者にとってはただの空間。リリもララもなんら考えることなく草原の中心へと向かう。このまま最短距離で岩の山々を抜けるつもりである。


 中心に近づくと2人の目の前にリリよりと少し幼いぐらいの少女が現れる。身に纏う服は緑を基調に自然の木々もあしらわられており、ひざ丈まであるスカートが清楚なイメージを与える。そして、手には杖を携えており、その少女を見たリリは木の妖精のみたいだと思ったのであったが、みたいではなく、この少女は本物の木の妖精、ドリアードである。


 「こんにちわ」 


 ドリアードが声をかける。本来であれば少女が軽装備でこんな場所にいるのはおかしく、普通の冒険者であれば警戒をするのであるが、肝心の冒険者も今回は少女である。そこに違和感を覚えるのは少し難しかった。


 「こんにちわ、すみませんけど3階層への道はこっちであってますか?よければ教えてほしいのですが・・・。」


 「へっ? 下への道はまったく反対だけど。それよりもあなた達、私のことが気にならないの?」


 てっきり、相手から自分のことを探ってくると思いこんでいたドリアードはびっくして自分から逆に聞いてしまった。


 「あ、いえ。特には。冒険者同士あまりお互いのことを聞くのはよくないですし。」


 「緑のお姉ちゃん、妖精みたい! かわいいよー。ララも妖精みたいになりたい!」


 「そう、そう私は妖精なのよ、ドリアードのドリューと言うの、よろしくね」


 「そうなんですねー。こんなところで妖精に会えるなんて感激です。物語みたいにこう、冒険者に何かすごい物を授けてくれたりするんですか?」


 リリは子のちょっとイタイ子だなぁ、と思ったけど優しいお姉ちゃんのリリはドリューの妖精さんごっこに付き合ってあげることにしたのだ。まぁ、急いでいるわけじゃないし、暇だし。ララも楽しそうだしいっかと、彼女は判断した。


 「そうね、私の主、神様から神になりうる者の助けをするように言われているから、何かすごい力を授けてあげないこともないわ」


 話し方もそうだが、神様とかその力とか、小さい子はいちいち表現が大げさだな。勇者様のお話にでも影響されたのかな? などと目の前にいる本物のドリアードを完全にイタイ子、しかも幼女扱いである。しかし、その勘違いのおかげか、せいなのか、話はスムーズに進んでします。


 「やたぁー、じゃララは強い仲間が欲しいな、ライム一人じゃかわいそうなの。」


 「そしたら私はすごい魔術使いになりたいな。」


 2人からお願いされたドリューはそれを敬われていると思い込み、気分をよくする。もちろん、リリからはイタイ子、ララはお友達と思われている。


 「そんなことでいいの? わかったわ。そしたら私と契約をしましょう。2人とも名前をおしえてくれないかしら」


 「私はリリアーネ、こっちは妹のララよ。」


 すると、ドリューは杖を両手に持ち、空へと掲げる。


 「我は森の妖精ドリアードがドリュー、契約によりてリリアーネへ魔の力を、ララへ忠実な僕を授けん。我らが道に緑の祝福を。」


 とりあえず妖精ごっこは終わったと思い、リリはドリューに別れの挨拶をしようとするが


 「ねぇ、ライムにも祝福してあげてー」


 と、ララはもう少しこの遊びに付き合いたそうである。その言葉を受けドリューがライムに目を向けるとその表情がゆがむ。ドリューの不自然な動きのせいでララがもしかしたらドリューにはしてくれないのかなと思い、もう一度お願いをする。


 「あ、あ、ごめんなさい。そうね、はい祝福をー。これでいいわ」


 「ありがとう」


 もし、魔力を力の流れに敏感な者がみたら最初のリリとララの祝福の時には尋常でない力がながれを感じ、ライムの時は何も感じられなかただろう。しかし二人はまだまだ駆け出し冒険者、そんなのわかるはずがない。どこまでいってもそれは彼女たちにとっては3人でのごっこ遊びであった。


 「そしたら私たちは出発するわ、あなたも気をつけてね。」


 「私は妖精よ、強いんだから問題ないわ。でも心配ありがとう。」


 最後の最後までお互い話が噛み合ってなかった。けれど、お互い問題がなさそうなので結果オーライだろう。


 リリ達が立ち去った後ドリューの


 「神気、てっきりあの一大きい方の女から感じたと思ったけど、まさかスライムからだったとはね。これは間違えちゃったなか。まぁ、大した力も与えてないし、いっかな。本命なら問題ないし、間違いならまた本物に力貸せばいいし、そうね。私天才。」


 なんて声が聞こえたとしてもだ。


 なんだかんだでマオに力を貸そうとしてくれる神様(管理者)であったがそれが正しく届かないのは彼のせいか、はたまた彼の部下がちょっと緑だけに天然だからわからない。それでもきっと商人は困ってないし、少女達は知らない間に力を得てびっくるするかもだけど、きっとそれは魔王打倒への手助けになるはずだ。なんせやる気は彼女たちの保護者の商人よりもあるのだから。


 

 2人の現在のステータス


 ≪名前・LV・職業≫  リリアーネ 13歳  LV 15  魔術師

 ≪種族・性別≫     人族  女

 ≪スキル≫       エンチャント(全属性)

 ≪ギルドランク≫    冒険者 ビギナー(E)

 ≪アビリティ≫     生活魔法【LV13】・全属性魔術【LV99】

 ≪状態≫        ・リバイバル(6)・テレポーション(3)

 ≪称号≫        ・妖精女王(森)の加護 



 ≪名前・LV・職業≫  ララ 5歳  LV 13  調教師

 ≪種族・性別≫     人族  女

 ≪スキル≫        テイム

 ≪配下≫         ・ライム ・スラきち ・ワイちゃん 

 ≪ギルドランク≫    未所属

 ≪アビリティ≫     ・調教 ・配下召喚

 ≪状態≫        ・リバイバル(6)・テレポーション(3)

 ≪称号≫        ・妖精女王(森)の加護 


 NEW 

 エンチャント(全属性):武器・武具に全属性付与が可能

 全属性魔術【LV99】:全ての魔術をLV99で使いこなす

 配下召喚:自身の配下を召喚できる。もとの場所へ戻すことも可能。

 妖精女王(森)の加護: 森の妖精女王の加護によりLVの限界突破可能(MAX=125)。


 スラきち:伝説のスライム LV99  

 ワイちゃん:ちょっと強いワイバーン LV50 

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