転職@マーダ神殿
2章のエピローグというか、扱いとしては3章までの間章になるのでしょうか。転職に関してのお話が2話程続きます。
勇者様達とわかれ僕はリリとララの3人で宿屋を探し翌日観光がてら神殿に向かうことにした。
ジカルの街は一言で言えば魔法の街である。街の規模で考えても現代日本人の僕からみても大きく感じる。文明としてはアッカクと同程度、中世ぐらいであろう。ただ一つ違うのはマジックアイテムと思われるものがアッカクよりも多く見られれる。
そしてその性能も最先端のものであるという。例えばアカックでみた街灯は確かに明かりを灯してくれるが薄暗いものであった。しかし昨日見たものはまるでLEDのように明るかった。またこれは宿屋で聞いた話であるが、このジカル、周辺諸国では一番の技術国らしい。
そんな街のほぼ中心部に位置するマーダ神殿に僕らは来ている。
「おはようございます、今日はどのようなご用件で?」
神殿の扉を開けるとすぐに受け付けらしき男が立っていた。その質素なローブを纏った男に尋ねられ僕は答える。
「転職をしたくこちらにまいりました、僕だけではなくこの2人もです。」
少し困惑下の様子で受付の男はいくつか確認をしてくる。 あれ? なにかおかしなこと言ったかな。まぁ、転職できるならいいか。
「まずは皆様LVは10以上ありますでしょうか?基本となる職に就くには最低で10のLVが必要となります。あとは、そうですね転職に関して一人金貨10枚となますので、こちらは先払いでお願いいたします。なにかご質問等あれば遠慮なさらず聞いてくださいませ。」
「条件に関しては問題ありません、LVもお金も満たしています。」
先程困惑した受付は今度は驚いた様子だ。
「ただ、転職の仕方に関してはまったくわかりません、そのあたりを教えていただけると助かります」
「そうですね。これは後程説明する予定でしたが、今質問がありましたので先にお答えしておきましょう。」
転職の方法に関しては簡単で、転職部屋と呼ばれる部屋に入り、中にある水晶に触れると今自分が選ぶことができる職業が目の前に浮かんでくる。その中の一つを選択すると説明がある場合は説明がありその下に転職をするかしないかの質問があるので、はい・いいえ、どちらかに触れる。説明がない場合はただ、はい・いいえ、が表示されるので選択する。それを繰り返しはいを選択すれば転職完了である。
受付から話を聞き僕はリリとララに再度説明する。特にララ。転職部屋には一人しか入れないので念入りに説明しておいた。そしてさりげなく二人のスキル(隠されている)に関連するようなものを取るようにうまいこと説明しておく。
「それでは、ご案内いたします。まずは神父様から祝福を授けてもらいその後お部屋にご案内いたします。それではこちらへ」
受付の後をついてわけのわからないお言葉を神父様からもらいいよいよ転職部屋、まずは僕から始める。
部屋に入るとそこは6畳ぐらいの空間がありその中心の台に一つの水晶が置いてある。部屋は薄暗く淡く光る水晶はどこか神秘的だ。
でも、えいっと。
≪名称≫ 転職の水晶
≪ランク≫ 伝説級(A)
≪効果≫ 特定条件になった者を転職させることが可能
ついでに作り方もメモしておいた。いつか役立つかもと思って。
鑑定も終わり僕は水晶へ手をかざすといくつかの職業が目の前に浮かぶ
【基本職】戦士・魔術師・治癒師・冒険者・商人・鍛冶師
うーんどれにしようかな、と迷っているふりをする僕の目の前にでかでかと、派手に飾られた文字がある。こんなの説明されてないけど・・・。そして問題の文字とは
【特殊職】ポーション師
である。なんかしょぼそうだけど、僕の能力に合っているのかな? これだけアピールしてくるし、まぁとりあえず一度選んで見ようと選択する。
【ポーション師】
:創造神になることを拒んだだけど、もしかしたらまたあのすごいアイテム作って今度は創造神になってくれんじゃないかな。そしたらこの世界の管理者の儂も出世間違いなしじゃ。どうだろうか?
普通に神様かのメッセージだった。いやいや、絶対にそんなものにはなりませんよ。僕は『いいえ』に手を伸ばすとシステム音がなり説明文が変化する
【ポーション師】
:嘘、嘘じゃ。このポーション師は既存のポーションを改良して別の性質をつけることができるのじゃ。例えばスピードアップの魔法をヒールポーションに加えるとそのポーションは体力回復とスピードアップの効果を持つことになる。どうじゃ、すごいだろ。
確かにそれは魅力的だ。これならサポート役に徹するのも簡単になるし、なにより今の僕の能力と相性がいい。けどなぁ、これで面倒なことに巻き込まれるのは嫌だしなぁ。と思いながらまた『いいえ』の方に手を伸ばすとまたシステム音とともに説明が変わる。
【ポーション師】
:本当に大丈夫なのじゃ。お主の選択に対し儂は強制権を使わないし、持ってもいない。だから、そのことはいったん忘れるのじゃ。ただ、魔王を倒すのにそなた以外ではつらいであろうから、その手助けをと思ったまでじゃ。これでも儂は創造神様の忠実な部下じゃ。
なるほどな。まぁ、わかった。とりあえず神様の言うことを信じてあげよう。と思い僕は『はい』を押す。
『転職の希望を確認しました。あなたは無職からポーション師へと職を変更いたしました。確認が必要な場合は神殿職員まで声をおかけください。それはこの部屋からの退出を願います。』
機械的な声に言われ僕は言われた通り部屋の外へと歩みを進める。それにしてもあのアイテム神様と話せるのか、いつか自分ように欲しいな、どこかで役立ちそうである。
「お兄ちゃんお帰り、どうだった?何になったの?」
「ただいま、ララ。それにリリ。それはまたみんなでお話しようね。よし次はリリの番だ。行っておいで」
元気に飛び出すリリ。こうして僕ら3人の転職は無事に終わっていくのあった。
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私のモチベーションとなります。
ご希望などなかったので2章の後はリリとララの番外編のお話にしました。
2人だけの冒険となります。
いつもより長めのお話で、3話仕立ての予定です。