魔王の最期
目の前の男、竜魔王は合ったこともないのに僕にそう言った。
「我が宿敵よ。」 と。
「僕はあなたみたいな人会ったことも聞いたことないんですけど、説明してもらってもいいですか?」
神威を手に入れたあと今までどんな魔物と対峙しても感じられんかったプレッシャーが僕を襲うけれど、ここで恐怖に駆られてはなにもできない。内心震えながら情報を得るため少しでもあがく。
「なんだ、我のことをあ奴から聞いておらんのか。それでは、お主のその力、神の力は一体どこで手に入れのだ。まさかあ奴も力だけ渡すようなことはしまい。」
神威のことをいっているのだろうか、そうだとしても竜魔王に知られて困ることはないのか、いやまだ情報がたりない。
「あ奴ってのは一体誰なんですか?それがわからないと僕は答えようがありませんよ。」
「あぁ、そうだな。我が言うてるのは神のことだ。」
「神? いえ僕は神様から神の力を授かったことはありませんよ。」
僕が神様からもらったのはポーションを作る能力だけだ。そもそも
「ふむ、それでは一体なにが・・・。まぁ、よい。とりあえずお前はここで潰しておく。我らの邪魔にしかならん存在だ。神の力を持つものは等しく我らが敵、故に滅びよ。」
あー、戦闘回避は無理だったみたいだ。とりあえず切り抜けるしかないのか。神威を得て脅威たりえる相手、最初から本気で行かしてもらう。
そう言うと魔王が空を駆け、上空へと距離を取る。僕はエアステップで追いかけようかと思うが罠を警戒しその場に留まる。正直僕は遠距離攻撃を持っていないので距離を取られると痛いが不用意なことはできない。魔王がその動きを止めると、詠唱を始める。
「させるかぁー」
僕も空を駆けながら手にした双剣の一つを全力で投げつける。ありえない速度で魔王目掛けて飛ぶ双剣。だがあと少しでその刃が魔王へと突き刺さるという距離まで行くと急にその速度が落ち、止まってしまった。そして剣はそのまま自由落下する。
流石に唯一の武器であるもう一本の双剣を投げる気にはなれず、一呼吸おくと双剣が地面へと達し甲高い金属音をあげる。と同時に上空から低く力強い声が響く
「眷属召喚、来たれ我が最強の僕」
大きな協会を思い浮かべる荘厳な雰囲気の中にいくつもの魔法陣が宙に描かれる。そしてそれぞれの魔法陣から何十体もの竜が姿を現す。それぞれがいろいろな色をしており、多様な属性をもつ軍団と思われる。
とりあえず鑑定をすぐに行う。
最上位炎竜×10 LV 125 この世界の理のなかで最強の炎の力を得た竜族
最上位氷竜×10 LV 125 この世界の理のなかで最強の氷の力を得た竜族
最上位風竜×10 LV 125 この世界の理のなかで最強の風の力を得た竜族
最上位地竜×10 LV 125 この世界の理のなかで最強の地の力を得た竜族
最上位魔竜×10 LV 125 この世界の理のなかで最強の魔力を得た竜族
世界最強と書かれているけど、こいつらからは魔王からうけるプレッシャーみたいなものは全く受けない。しかし、数が数であるので殲滅するのに時間がかかりそうだ。もちろん僕は遠距離攻撃も範囲攻撃も持っていない・・・。ってどこで道を間違えてこんな修羅場に来てしまったのか。
魔王はその場を動かない、召喚された竜が僕目掛け滑空してくる。その大きな体から繰り出される攻撃は本来なら1発1発が致命傷となる攻撃なのであろうが、僕は簡単躱し、時には受け止め反撃を繰り出す。
躱し、受け止め、首を落とし、炎に耐え、氷に耐え、嵐にも耐え、時には地割れに落ち挟まれたりもした。
あれ?これで生きてるって僕もしっかり人間辞めているよね。もちろん神威のおかげだ。
竜の数が減ってくると魔王も攻撃に参加しだす。竜の攻撃とは違いこちらはしっかりと躱す。あれを受けて無事でいる自信はないし、試したいとも思わない。
竜の数が数体になったころ、僕は自分の中に新しい力が宿ったことを感覚的にではあるが感じた。
すぐに戦いながら自分へ鑑定をすると神威のランクがあがり【時空間操作】を覚えていた。
どんな力か試すために瞬間移動をしよと試みると、先程まで竜と乱戦を繰り広げていた場所から大きく距離を取ることができた。まるでそれができることが当然であるかのようにできた。
するとなにかを感じ取ったのか、魔王が竜もろとも僕を消すつもりで今までない威力の炎をまき散らす。先まで僕がこれを喰らったらかなりのダメージを受けたであろうが、僕は自分の周りの空間が断裂するイメージをする。何ものもこの断裂を超えて僕には届かない、なぜならそこに空間はない、力を伝える媒体がないのだから届くことがないのだ。
荒れ狂う炎が止むと魔王が接近してくるが、こちらの双剣射程距離手前でその動きを止める。
「なぜ、貴様がその力をもっている。空間を操る力は空間を操る能力は神だけの力だ。瞬間移動だけならわかる、しかし空間の性質を変える力は人の、この世界に生きる者の身では手にすることがない力だ。なぜ、それをお前が持っている。まさか、貴様身分を偽って、本当は神とだというのか。」
なぜか知らんが魔王がものすごい怒り、焦っているのが伝わる。僕が【時空間操作】を使えるのがよほどのことらしい。状況は知らないけど。
「僕は神さまなんかじゃないよ」
そう言い、今度は時間を止めてみる。
世界が凍り付いた。魔王の口が何かを言おうとした状態で止まっている、近づいてみても反応がない。僕をからかっているわけではなさそうだ。僕はまた距離を取ると時間を再び進める。
「空間だけはなく時間までも。貴様、やはり神だったようだな。となると我に勝ち目はなさそうだ。せめてつめ跡は残させてもらおう」
魔王が魔力を高めると世界が震える。世界最強クラスの魔力がこの空間に満ちていく、並みの冒険者がこの場にいたらその魔力の波動だけで命を落とすだろう。しかし今の僕にはそれは街の中と変わらないものでしかない。
僕はその魔力が解き放たれる前に魔王の、魔力の源、魔石を握り抜き出す。自分の右手を転移させ魔王の魔石だけをつかめるようにしたのだ。
魔石が体内からでると、魔王の形を作っていたものが崩れ落ちたがそこにはなにも何も残さなかった。
終わってみるとなんともあっけない戦いであった。しかし、もし魔王が様子を見ようとせずに召喚をせずにいきなり攻撃したきていたとしたら、想像すると正直ひやっとする。楽に勝てたように見えて実は運が良かっただけだと思い知る。
さて、みんなの元に戻るかな。新しい力も手に入ったのだから使わないと損だ。
最後にステータスの確認を
≪名前・LV・職業≫ マオ 15歳 LV 97 無職
≪種族・性別≫ 人間と神様、どっちとるのよ? 男
≪スキル≫ ・ポーション生成 ・鑑定(全) ・ランクアップ
≪ギルドランク≫ 商人 E
≪アビリティ≫ なし
≪神技≫ 神威(E) ・エアステップ 神威(D)・時空間操作
≪状態≫ ・リバイバル(3)
≪称号≫ ドラゴンキラー・最強の魔王を超えし者
商人なのにステータスは凄腕冒険者みたいだ。LVも相当上がったな。
もう1,2話はマオサイドの話になります。その後勇者様達の方へ移り、まとめがあって2章は終わりになる予定です。
ブクマ・感想・指摘お願いします。私の力になります!
また今3章の構成を考えているのですが、冒険者パートOR日常パートで迷っております。
なにかご意見とうあればぜひコメントください。
また、メインヒロインがいないのもどうにかしないとと思っております・・・。
それよりも、リリとララのキャラ付のためにも2人メインの話も書かないとダメかなとも思っています。
現在三章として考えてるのが
1 三人の日常
2 リリとララの冒険
3 ヒロイン登場
4 まさかのリリがヒロイン?
5 三人の冒険
って感じです。希望があれば感想欄もしくは活動報告へ適当にコメントしてください!
私は迷走しております。(笑)