新たな仲間?
少しいつもより長いです。
宿屋、丘の夕暮れのある一室で僕はまた一人唸っている。そう、コンビニ@ダンジョン前についてだ。魔物討伐で得られたお金でどうにかなると思っていたのだが、結界陣が高く少し計画に修正をいれないといけない。
魔物を追加で討伐というのも考えたが、さすがにこれは目立ちすぎる。今のところ商業ギルドのおっさんとベリーさんぐらいしか知らないからいいけど、これ以上やると絶対別の場所でも目立つ。これはダメだ。
残りは金貨が100枚ほど、お店を立てるにしては心もとないし、結界陣の広さも足りない。となると、露店形式でいくか、これなら問題なく実行できる。露店の利点を生かしていろいろな場所でお店を開くのもありだな。それとあとは商品だけど、しばらくはポーションをメインにして、街から仕入れる保存食を売ってみよう。マジックリングがどうにかして仕入れるといいんだけどな。
よし、これであとは始めるだけ。露店を開くための物、保存食と備品類を買いに行こう。
ぐぅぅぅう
あっ、考えがまとまったせいかお腹が主張してきた、お恥ずかしい。
時刻はおおよそ昼ごろだろう、起きてからあまり時間が経っていないように思ったけれど気づいたら朝ごはんの時間は終わっていたようだ。動くのもつかれたので、部屋で食事を取ることにする、料金は余分にかかるが快適さには代えられない。僕はアリーシャさんにお昼を部屋で食べることを告げ先程の考えを推考する。
トントン
ご飯にしては早すぎるな・・・・・。なんだろう?
「マオさん、あなたにお客さんが来てるいるのですが、よしいですか?」
僕が促すとアリーシャンが扉をあけ、リリアーネという10代前半の女の子が別の小さな子を連れて僕を訪ねてきたこと。ただ、身なりがなんというか、質素なため本当に知り合いかどうか不安になり確認を取りに来たそうだ。
もう一人に覚えはないが、リリアーネは覚えている。
その娘は僕の知り合いなので通してもらうことに。ついでに昼食も2人分追加しておいた。
リリアーネと付き添いの子が部屋に入ってきたがずっともぞもぞしている。ななにがしたいんだ?
やっと口を開いたと思ったら言葉を発さずにまたもじもじとする。
僕から言うことはなにもないし、なにか言いたそうにしてるし下手に声をかけるのもな、違う気がする。
いや、対処法がわかんないな。大人相手との交渉術は身に着けているが子どもが相手となると・・・・。
沈黙が流れるなか、聞こえるのはズズズゥとお茶をすする音だけ。
だが、そんな空気を打ち破ってくれたのがアリーシャンさん。助かります、本当に。
「おまたせしました、お食事3人前です」
ようやく3人の時が動き出す。
「ひさしぶりです、マオさん。先日は助けてもらってありがとうございます。そうだ、こちらはララ、私の妹みたいなものです。血はつながっていなんですけどね」
「ララです、お姉さんを助けてくれてありがとうございます」
ララという子が全身を使ってお礼を述べる、なんだか小動物みたいだな。ウサギとか犬とか、そんな感じがする。
「あぁ、気にしないでいいのに。あれは僕が好きでやったことだし。それで今日はお礼をしにきただけなのかな?」
お礼をするだけなた先程のような態度のはずがないのできっと別の用事があるのだろうと思い、彼女らが言いやすいように話を振る。
「えっと、マオさんにお願いがあってきました。厚かましいとは思いつつもこれしか思いつかなくて。すみません。」
顔を俯け、急にしおらしくなるリリアーネ、子供がここまで気を使わなくてもいいのに。と、自分も見た目はそんなに変わらないのか、忘れてた。
「僕にできることなら手伝うよ、遠慮せずに言って」
「は、はい、え、えっと、その、・・・・」
これだけお膳立てしても言えないとはよほど言いにくいことか、もしかしてお金のことかな。
「お兄ちゃん私たちをなかまにして」
リリアーネの横からいきなり声がした。彼女はびっくりして思わず止めようとしたが間に合わない。
「ララ、ちょっと、なに言って・・」
「仲間? どいうことかな?」
ララのおかげでようやく決心ができたのか話をしてくれた。要約すると、二人は孤児院に住んでるのだけどもうすぐリリアーネは13歳になる。そして13歳とは孤児院をでないといけないということを意味する。そして、二人は別々になることを良しとはせず、リリアーネが孤児院を出るときにララも一緒に外にでることに決めたらしい。
しかし、ここで問題がでてくる。二人は子どもでありお金を稼ぐ方法は限られてくるのだ。
大抵の子は孤児院生活の最後の1年、12歳になった年に冒険者ギルドに登録する。そして、一番下のランクのクエスト、言ってしまえば街の便利屋のようなものをこなしお金をためる、そして外に出たらその経験を活かしお金を稼ぎ町で暮らしていくのだ。
実際、一番下のEランク、ビギナーとも呼ばれるランクでも真面目にこつこつとこなせば一人で暮らしていく分には事足りる、がしかし二人となると話が変わる。
ララはまだ5歳前後だろう、働くことはできない。そんな状況で二人で街に繰り出せば待っているので貧困、そして飢え。最後にはどうにもならなくなり命をかけたクエストか、犯罪に走るしかなくなる。リリアーネは思考する能力があるがゆえに逆に立ち往生してしまう状況になっているのだ。
そして、そこまで理解してなお、二人は離れることを良しとしない。僕がリリアーネだけ孤児院を出たらどうにかなるんじゃないの? と聞くと、彼女ははっきりとした口調で
「今の私に家族と呼べるのはララだけです、たとえ血がつながっていないとしても絆は本当の家族と同じです。だから私は二人でいたいし、あきらめたくないの。もちろん、私が怖がりなのもわかっているの」
最後は少し弱った様に言う。誰の庇護もなくこの世界に出るのが怖いのだろう、まだ子どもだ。そんななかでララいう存在はリリアーネにとっては癒しを与えてくれるかけがのない、唯一の人だろう。
もちろん、ララも同じように思っているはずだ。まだ幼くきっと言葉にするのは難しいだろうが。
自分のことを考えてみる。この世界にきて数カ月、僕はずっと一人でやってきた。もちろん、怖いとか、さみしいとかそんな感情は微塵もなかった。お金は簡単に稼げたから苦労はしてない、十分に満足できる生活だった。
だけど、もし今の僕にリリアーネにとってのララ、ララにとってのリリアーネみたいな存在がいてくれたこれからの人生はきっと変わっていくのだろう、いや変わるはずだ。それも楽しい方向に。
幸いなことに今、僕はどっぷりとはまっている趣味みたいなもの(コンビニ経営)がある。それを仲間とやるというのは存外、面白そうだ。どうせ失敗しても痛くないのだから楽しまないと損であろう。
まぁ、その仲間が少女と幼女というのもなんとも言えないが。
「いいよ、仲間になろう、できたら家族でもいいよ」
「「ほんとうに!?」」
「自分から言ったことですが、即答しても大丈夫なのですか?」
「もちろん、でも二人とも僕が何してるのか知ってるのかな?」
「若くて、Dランクのポーションをさらっと渡せてしまうのだから冒険者だと思ってましたが。」
冒険者って、君たちはまさか魔物と戦うつもりだったのかい?
「僕は冒険者じゃないよ、まずはそこからだね。とりあえずご飯いただこう。食べながらじっくりとお互いのことを話そうね、時間はたっぷりあるから」
「「はい」」
とりあえず、自分を含め全員に【鑑定】をかけ自分達の状態を確認する。
≪名前・LV・職業≫ マオ 15歳 LV 45 無職
≪スキル≫ ・ポーション生成 ・鑑定|(全) ・ランクアップ
≪アビリティ≫ なし
≪神技≫ 神威|(E) ・エアステップ
≪状態≫ ・リバイバル
≪名前・LV・職業≫ リリアーネ 12歳 LV 3 無職
≪スキル≫ エンチャント|(未開放)
≪アビリティ≫ 生活魔法【LV1】
≪冒険者ランク≫ ビギナー
≪名前・LV・職業≫ ララ 5歳 LV 1 無職
≪スキル≫ テイム|(未開放)
≪アビリティ≫ なし
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