問題発生と発覚
失敗含めてクエストを3回チャレンジした俺達はそろそろ安定した寝床がほしいと考えていた。
カイ以外は皆その場限りの宿でやりくりするように過ごしていたからだ。
カイは安定したところに住んでいるらしいが全員を置くような金はないそうだ。
「どうしたものかなぁ...」
クエストも今日は受けれそうなものもなくギルドの一角のテーブルで暇を持て余していた俺、キーラそして海空はアイディアを出し合いあれはダメだこれはダメだとなかなか決まらずにいた。
そんな時。
「見つけましたわ!!」
どこぞの天使共のような登場で入ってきたのはお供連れのお姫様のような格好の女の子。
この登場の仕方は流行っているんだろうか...
「あ、貴方様は...!」
「ミラ会いたかったわ!」
「え、え?ミラってばサラ様と知り合いなの!?」
「サラ...様?」
「もしかしてミズキ君知らないの!?サラ様といえばこの国の王城の次に権力のあると言われている貴族だよ!」
「な!?そんな人とこんなやつが知り合いなのか!?」
「ちょっこんなやつとは何よ!」
ふとミラにハグをしていたサラは俺達に気付き顔を上げ佇まいを直すと優雅にお辞儀してくれた。
「初めましてミラのお仲間様。私はミラの...親友...のユライド・ミッド・サラエイドと申します。お気軽にサラと呼んでください。」
親友と言うのに少し頬を赤らめながら自己紹介してくれた。
「サラエイド...?」
「あぁ、私長い名前は好きではありませんでしてですので国民の皆様にもサラと呼んでもらえるようお願いしているのです。」
「あぁ、そうなんですか。」
先程のミラを見つけた時の笑顔とは違い今はまさに貴族と言うよなオーラを放っている。
なんでこんなすごい人と海空が親友なんてやってるんだ?
「顔に書いてあるわよ…私がこの国に着いた当初またまた通りかかったサラ様に色々とお世話になってね。それから仲良くなったのよ」
「ミラは庶民とは思えない気品がありますわ!」
「そ、そんなことは...」
ん?そういえばこの世界に来た時は色々あって名前なんてに気にしてなかったが...神奈崎...神奈崎...あ!!
「神奈崎グールプの一人娘ってお前か!?」
俺の元いた日本の三大金持ちの一つの神奈崎グールプ。こいつがもしそれならえらいことだぞ...!!
「グールプ?」
「あぁ、キーラは気にしなくていいぞ?」
「そうよ。私は神奈崎グールプの一人娘...で合ってるわ。」
「よくわからないけどやはりミラ貴族なのですね!?」
「まぁ、遠い国で一応お金持ちと言われてましたが...」
「すごいすごい!ミラってば貴族だったんだ!・でもなんで冒険者に?」
するとあまり言いたくなさそうな顔をする海空に察した俺は
「まぁ、いいじゃねぇか。それよりサラ様が何故ここにいるか、だろ?」
「...そうね。」
なんとなくありがとうと言うよな視線を受け俺は少し微笑み返した。
「私はお付きと共にこの街に出来る屋敷のした見に来ましたの」
「?それだったら別に下の人たちに任せればよかったのでは?なにもサラ様が直接見にこなくても...」
「それではミラに会えないではないですか!!」
俺の疑問はサラの大きな声でかき消され相当海空のことが気に入ってると見て取れた。
「やはりそのようなことでしたか...サラ様、ワガママも程々にお願い致します…」
とお供の1人が呆れた口調でサラにいう。
もう1人のお供もどこか疲れたような困ったような表情をしている。
「まぁ、私はただ親友に会いに来ただけですわ!」
「...下見は?」
「もちろん致しますわよ...!」
貴族とお供にしては仲のいいやりとりに堅苦しい人達じゃなさそうで少し安心した。
「そういえば皆様はこのような所で何を?見たところクエストを受けるようではなさそうですが」
装備品を整えていない俺たちを見て疑問に思ったらしい。
「それがお恥ずかしながら俺達安定した寝床を探してまして...その日のクエストで貰える報酬でなんとかやりくりしているのですが...」
「まぁ!でしたらこの街一番の屋敷をプレゼント致しますわ!」
「「「え?」」」
「サラ様!いけません!」
「あら何故ですの?」
「そう簡単に権力を使いこのような者達に大金を渡すような真似など時期当主がやっていいことではありません!」
「ですがこの者達は今困って...」
このままだと高級な屋敷を手に入れることになる!そんな申し訳ないことできるか!!
...ほしいけど
「いや!あの!」
「サラ様。お気持ちは嬉しいのですが例え親友であろうと甘えるわけには行きません」
「ミラ...」
珍しく知的に見える海空がサラを説得している。
本当に気品あるように見えるから不思議だ。
「...わかりましたわ。ですが寝床くらいは提供させてくださいませ?」
「ありがとうございます...ですがあまり大きいのは…」
「わかっていますよ?...そうですね...ではこのギルドに近いまだ買い取られていない寮などはどうでしょう?そうすれば皆さんが住めますし仲間が近くにいる方が安心でしょう?」
「そうですね...ではお願いできますか?」
どうやら俺達は寮に住むことになったらしいあとでクレアやカイに連絡取らないといけないな...
「では、サラ様。そろそろ」
「そうね。ミラ、会えてよかったわ!また会いましょう?」
「ええ、また。」
そう言ってサラは寮の場所を示した地図を置き去っていった。
なんというかクエストに行ったわけじゃないのにつかれた...
キーラもよくわからないという顔で黙ってたし
「おい、キーラ大丈夫か?」
「う、うん。で、どうなったんだっけ?」
「俺達はこの近くの寮に住むことになったらしい。だからクレアとカイにも連絡入れてみんなで住もうぜ」
「わぁ!なんだか楽しそうだね!ボク、もう馬小屋で寝るのやだったんだぁ」
「お前...馬小屋で寝てたのか…」
「うん...家族に全部仕送りしてたし…」
こいつって意外としっかりしてるとこあるんだよなぁ…でも体調崩されたりしたら大変だからな今回寮に住めるのは良かったかもしれない。
「それじゃあ、荷物まとめて移動するか。なんか鍵、置いてってくれたみたいだし」
さっき話の途中でお付きの人のうち一人がどこかに行っていたようだったので恐らく交渉してきてくれたんだろ。
こうして俺達は寝床を確保出来、とりあえずは落ち着いた。
明日からはまたクエスト受けに行かないとな!