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異世界転生にて勇者候補となる  作者: 蒼井海斗
3/4

見覚えと覚醒

討伐が完了した俺達は反省会をしながらもギルドに戻り報酬を受け取った。


戻る途中軽くすりむいた膝や肘をクレアにヒールをかけてもらった。ドヤ顔がウザかった。


「1人2500ギル...今日の宿代くらいしかないね...」

「しょうがないだろ?大きなクエストは受けようにも今回のクエストくらいでギリギリだったんだ。失敗したら死ぬんだぞ」


そう、他にも大きなクエストはあったがどれも大型モンスターの討伐ばかりで下手したら本当に死ぬ。


「でも、今日みたいなクエストが毎日受けられるわけじゃないしどうにかしないといけないわね。」

「どうにかせねばならぬな...」


ずっとギルドで考えていても仕方ないのでとりあえずそれぞれ宿に泊まり明日集まることになった。




ーーーーーーーーー

ーーーーー

ーー




翌朝、俺は起きて特にすることもなかったのでとりあえず準備してギルドに向かった。

向かう途中、何故か通行人にジロジロ見られていた気がするのは気のせいだろうか...


俺が扉を開けて中に入ると既に俺のパーティーメンバーがいた。



「おはよう」

「お、おはよう...」

「?」


キーラの妙な反応に疑問を持った俺はギルドにいる冒険者にもよそよそしい感じで見られていることにも気づいた。


「おい、なんなんだ?朝っぱらから」

「実は...」


と海空が説明しようとした時バンっ!!と大きな音を立ててギルドの扉が開かれた。


「見つけたぞ!!!」


またクレアのようなセリフで入ってきた奴に俺は何故か見覚えがあった。

誰だ...?


「高遠瑞樹だな」

「はぁ、どちらさまで?」

「やっと見つけた...オレの嫁...!」

「...はぁ?」

「「えぇー!?」」


意味のわからない言葉に俺が頭に?を浮かべているなか後ろで海空とキーラが叫んでいた。


「人違i...「人違いなんかじゃない!!」えー...」

「人間界にいる時からオレは君に惚れていたんだ!」

「あのまず名乗ってもらえません?」

「あぁ、すまない。オレの名前は海堂宙(かいどうそら)だ。まぁ、これは人間界にいたときの名だがな。」

「海堂...宙...あ!」


思い出した!

この人は俺が死ぬ前にいた高校の生徒会長だ!


「なんで生徒会長がここに?」

「あれは仮の姿だ!俺は天使!名をカイと申す!」

「はぁ...で?」

「高遠瑞樹、俺の嫁に...「なりません」えー...」


何が嫁だ!

俺はお、と、こだっつーの!!

とにかくこの変態天使は無視して今日のクエストを探そうと掲示板の方に向かい目に入ったのは`俺達結婚します!ー高遠瑞樹ー ーカイー´という顔写真付きポスター

どうやらこれが原因で街やギルドでちらちらと見られていたのか。


「...」

「よく出来ているだろ!?力作だ!」

「おい、変態天使...」

「おいおい、夫に変態天使は無いだろう?」

「お前は変態天使で十分だ!!お前なんかに敬語使って損した!ばぁーーか!!」


と言って走り去った俺は


「なんだ?照れ隠しか?可愛い奴め!」

「「「...」」」


ギルド内で勘違いした変態天使が俺のパーティーメンバーにドン引きされてることに気づいていなかった。


が、このまま宿に帰っても今日の分の宿代がないので街にも貼られていたポスターを剥がしながらギルドに戻ってきた。


「やはり照れ隠しだったようだな!」


変態天使がなんか言っていたようだが無視だ無視。


「おいお前らクエスト受けるぞ」

「う、うん」

「そ、そうね」

「...」

「俺も混ぜてくれ!」

「じゃあ今日もジャイアントラビット討伐でいいな!」

「俺も混ぜてくれ!」

「よし、行くぞ!」

「......俺がいればもっと大金入るのに...」

「詳しく聞かせろカイ」

「名前呼んでくれt「いいから早く」はーい...」


ショボン顔するな!ムカつく!

話によると変態天使...もといカイは俺たちより長くこの街にいてレベルも俺たちが5レベルに対して23レベルとまぁまぁ高い。

しかも俺のパーティーメンバーみたいな失敗はせず今まであまりパーティーなどは組まずひとりで戦ってきたらしい。


これは使える!


「パーティーメンバーは最高4人だからな...じゃあ、サブに入れてくれ!」

「サブ?」

「あぁ、それなら私知ってるわ」

「出た説明役」

「そんなんじゃないわよ!...いいの?教えないわよ?」

「ごめんなさい。教えてください。」

「即答ね......いい?サブって言うのは本命のパーティーメンバー以外のメンバーなの私達の誰かが戦闘に出れなかったり敵との相性を考えて交代するメンバーなの。ちなみに、サブメンバーはいくらでも増やせるわ」


なるほど、ゲームみたいだな。


「なら早速登録して一緒に来てもらおうか。」

「本当か!」

「代わりにキーラと海空は留守番しててくれ。大丈夫、報酬はちゃんと山分けだ」

「そんな!」

「なんでよ!」

「当たり前だろ?お前たちは前回うまく戦えてなかったのにさらに危険なとこに行って死ぬかもしれないんだぞ!」

「...ごめん」

「ごめんなさい...」

「分かればいいんだ。クレア。お前は回復要員だから一緒に来てもらう。」

「...ああ」


チラッとキーラと海空の様子を見たがやっぱり沈んだ表情をしている。

言い過ぎたかとも思ったが仕方ないことだ...


「ところでなんのクエストを受けるんだ?」

「そうだなぁ...これなんてどうだ!」


カイはそういって見せてきたのは『最近街の近くで凶暴なキメラが縄張り争いしていて危険なので駆除をお願いします』といった内容のクエストだ。


「キメラ!?大丈夫なのか!?」

「対象が18レベル以上だからな…まぁ、ギリギリなんとかなるだろう!それに倒したら経験値が凄い上がるんじゃないか?」

「...まぁ、俺たちは5レベルだからな...」

「大丈夫!何かあったら俺が守るぜ!」


それにレベルはパーティー内で反映されるからキメラを倒せばキーラや海空もレベルアップしてスキルも覚えるだろうし...今よりきっと楽に戦えるだろう!


「そうだな!受けるか!」

「あれ?スルー?」

「何かあればあたしが回復してやるからな!」

「おう!もちろんクレアも頼りにしてるぜ!」

「あれ?俺は?」




ーー討伐開始ーー




早速俺たちは身支度を済ませカイに少しだけど今よりいい装備品を買ってもらい駆除に向かった。


「なぁ、カイここからだと遠いのか?」

「いや、そんなにはかからないはずだ。たしか歩いて1時間半くらいだ。」

「意外と近いのな…街への被害とか大丈夫なのか?」

「そのためにあたし達が駆除に行くのだろう。」

「...まぁ、それもそうだけど」


なんて話しながら時に休憩しながらキメラの縄張り近くまでやってきた。


「さて、罠を貼るか」

「罠?」


そう言ってカイが取り出したのは小さなイナズママークの箱だった。


「これはいわば痺れ罠だ。これは地面に埋めておびき寄せて痺れている所に攻撃するんだ」

「なるほど」


この世界は本当にちょくちょくゲームみたいな設定があるな。まぁ、そのほうがわかりやすいんだけど。


さっそく罠を仕掛けてキメラが来るようキメラ用おびき寄せの粉をかけた何かの生肉を置き隠れて待つこと約 15分。



「来たぞ」



と木の上で待機していたカイが教えてくれ指さす方向を見るとライオンよりも少し大きなキメラが姿を現した。

思わず息を飲みながらキメラの様子を伺うとキメラは迷うことなく罠の肉に近寄った。

そして罠発動と同時にカイが木から飛び降り斬りかかった!


「よし!」


すかさず俺も参戦しに行こうとした時。


4匹ほどのキメラが俺達が隠れていたところとは反対の茂みから襲いかかってきた。


「な!?」

「何故だ!キメラは群れをなさないはず...っ!!」

「カイ!瑞希!」


流石のカイでも塞ぎきれずかなりのダメージを負った。

そして俺も一瞬でもう動ける体じゃなくなった。



もうダメだ...!!


せめて、俺があの能力を使いこなせたら...皆を守れるのに...!!




その時。

一瞬目の前がチカチカするほど明るくなり気がつくと俺はキメラよりも大きな獅子となっていた。



「なっ...あれが瑞希の力...!?」

「すごいじゃないか!!」



何が何だか理解するのに少し時間を要したがそんなことより今は目の前にいるキメラをなんとかしなくては!!


そう思いキメラたちに襲いかかろうとした時。



「バインド。」

「うぐっ!?」



突然四肢にバインドをかけられ岩に括りつかれた俺は声をした方を見た。



そこには空に舞う黒い翼を持った女性だった。



「あれは!?」

「なっ...悪魔!」


悪魔と呼ばれた女性は楽しそうな笑みを浮かべながら降り立った。


「はぁい!クレアちゃんおひさー!元気してたぁ?」

「気安く呼ぶな…!悪魔が!」

「ひっどぉい!それに悪魔じゃなくてぇ堕天使だってばぁ!」

「どちらも一緒であろう…何故ここにいるのだ!」

「えっとぉ、お散歩?この子達うちのペットなのぉ」


そういってキメラを優しくなでる女性は悪そうな人には見えなかった。

が、クレアがすごいオーラで警戒していてとてもじゃないがどういう関係なのか聞けない...。


「あ、カイちゃんもいるぅ!おひさぁ!」

「...」


カイはかわらず地面に剣を突き刺し息を荒くしながら悪魔と呼ばれる女性を睨みつけながら無言を突き通していた。


「...ん?君は初めましてだねぇ。大きならいおんさんだぁ!そんなのはスキルにないしぃ能力ってことはぁ勇者候補さんだぁ!」

「「!!」」

「はぁ、そうですけど...」

「じゃあ、殺さないとね!」

「...へ?」


さっきと変わらず楽しそうな笑みを浮かべながら楽しそうに言う女性に対し鳥肌が立ち冷や汗をかいしてしまう。


「なぁんてじょうd「カイ逃げろ!!」...!」

「え、でも...」

「ここは俺が死守する!!」


何かを言いかけた女性は一瞬悲しそうな顔してまた笑みを浮かべた…が先程とは違う笑みを。


「でもぉ、殺すのはまた今度にしてあげるぅ!今日は帰るねぇ?またねぇ!クレアちゃん!カイちゃん!あと、そこのライオンちゃんもぉ!」


そう言って女性は周りにいたキメラを連れて消えた。

と同時に俺の拘束も解けた。



一応これで討伐は完了となった。


証拠はないが悪魔が現れたことをギルドの受付の人に言うと報告料としてキメラ討伐の半分の額をもらった。



キーラや海空も落ち込んだままだし帰ってきてからクレアもカイも何も話さない...どうしたものか…



「キーラ。海空。」

「なぁに...?」

「何かしら...?」

「あんなキツ言い方して悪かった。...けどこれからはまた少しずつレベルを上げて一緒に魔王候補を倒していこうぜ!お前らのことは結構期待してるんだからな!」

「「!」」


反省していたことを話してお互いスッキリしたところでお次は天使共だな…さっきのことは聞づらいし…ここはキーラに聞いてみるか


「なぁ、キーラ。ちびっ子が落ち込んでたら何をしてやればいいと思う?」

「ん?…んー、そうだなぁ...ボクはよくお菓子関連で喧嘩になってて自分の分をまるまるあげたりして仲直りしてたなぁ」

「そうか...」


食べ物で釣られないとは思うが一応やってみるか。


「なぁ、お前ら今回の報酬でユキシロガニを食べようと思うんだけど...「「食う!!」」...お、おう...」


さっきキーラに教えてもらったこの世界のご馳走ユキシロガニがこんなに人気だとは思わなかったぜ...

高級食材と言っていたがまぁ、なんとかなるだろ。足りなきゃそん時はカイに出させよう!



結局足りなくてカイがほとんど出した。

そして「全くぅ俺の嫁は仕方が無いなぁ!!はっはっはっ!!」とか言って肩に手を回してきて本気でウザかった…あのときほったらかして逃げればよかったぜ…


まぁ、何にせよこいつらが元気になってよかった。こんなにアホなヤツが萎れてる姿なんて面白くねぇものな。


また明日からクエスト頑張らねぇとな!


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