マルチェロ回顧録
黎明のヘリオドール 第二話 回想ー王子殺害未遂事件ーの裏側に迫る。
マルチェロの独白です。
俺様の名前はマルチェロ・ブランガスト・アルガス。
何、本編と一人称が違う?
これは俺様の回想であるから、気にしないで欲しい。
気になるなら、脳内変換でもして読んでくれたまえ。
ケフェイド大陸にあるアルガス王国の第十八位王位継承権を持つ天才にしてイケメンである。まあ、持ってる男と言うのはとことん持っているものなのだ。
上の十七人だが揃いも揃ってボンクラでな。
や・は・り、ここは才気溢れる俺様が王位を継承するしかあるまい。
そんなイケメンで持っている男である俺様は、この度お見合いをする事になった。
何故か?それは俺様が持っているから!ではなく単に相手の歳が同じであるからである。
お相手は公爵の令嬢であると聞く。
まぁ引く手数多の俺様も、折角の公爵からの申し出を断る訳にもいかん。何気にセラフィス領は栄えておるしな。王都にもそれなりに近いし、海外からの窓口を一手に担っているのも大きい。
王都なんぞあの神々の石さえなければ、馬鹿ばかりの掃き溜めだ。
そんな訳でお供に我がブランガスト家の誇る家庭教師、ペドロを連れてお見合いの場所に指定されたセラフィス領クリノクロアにある公爵家に向かう事になった。疲れた。
正直、何故公爵家の連中がこちらに来ないのだと言う気持ちで一杯だったが、立場的には王族と言えど継承権十八位はあまりに低く、また公爵家は数代前の王家の分家でもあり、公爵であるケテルはその気がなく破棄こそしているが継承権七位である。他にも色々上から圧力が掛かり俺様はクリノクロア入りをする事になった。
相手の女はと言えば、プラチナブロンドの髪が美しい。少しツリ目な所が凛々しさのある美人顔の奴だった。脚はスラリとして胸が――――胸が絶望的に無い。
女と言えば先ず胸!おっぱい!である俺様としては、どんなに美人だろうと将来の伴侶に妥協などしたくはない。
よってこの縁談は無いと結論付ける。
寧ろそいつの妹の方が俗にいう爆乳である。
姉より確か三つだか年下だった筈だ。
何だあの胸は!姉から全部吸い取ってしまったように二倍…いや五倍はあろうな。嫁にするならば寧ろこちらだろう。
だから自然と俺様の口が動いたのは仕方がない。
そもそも俺様くらい育ちが高貴であると素直さは美徳、いや王者の必須条件だ。
勉強の合間に読んでいるハーレム小説では、お約束と称され尊ばれる行為である。
「はははは、お前の方が姉であろうに何だその胸の差は!まるで幼女と大人程の差があるだろうが!公爵よ、俺様はな胸が好きなのだ!だから妹の方なら貰ってやっても構わん。どうだ?」
いや何の間違いだ。
面白すぎるだろセラフィス家。
姉はまな板、妹はメロンのようじゃないか!
と、まぁ笑いの衝動が収まるまで笑い転げだのだが、あの可愛げのない姉の方は無い胸元にはち切れんばかりの火球を魔力で生み出すと、一気に俺様に向かってぶっ放しやがった。
ペドロがいなかったら死んでたぜ?全く。
世界の損失をそのまな板で補えるのか?クソッ!クリノクロアくんだりまで来て全身火傷かよ!しかし良い物件を見つけたのも事実だ。
シャルロット・セラフィスあちらは……良いものだ。
などと考えている間に意識を失った訳だ。
目覚めれば王族お抱えの光魔法の使い手三人がかりで治療。お陰で傷一つ残らなかったよ。ああ、費用は公爵持ちね。娘の不始末だしな。
それのせいか知らないが姉は家出して軍隊に入ったとか。
まあ、あれじゃ貰い手なんていないよな。胸無いし。
しかし…これで終わりと思ってたんだが姉の方とは縁があったみたいだ。なに?その話も聞きたい?
ふん。気が向いたらな。