第五話 俺、そんな装備で大丈夫か?
前話のネズミ55匹のところは、ミスというか、あれ何でネズミ顔の100cm男だと思ってください。
《第五話_洞窟ダンジョン》
「洞窟、ねぇ…ちっと匂いますなぁ。」
と言う事でシンはその辺の樹の棒を手に持つと、ダガーを腰にかけ、木の棒を杖代わりに洞窟へ向かって行った。
恐るべし、史上初:木の棒を杖代わりに探索した男。
「ここか…?」
すこし歩いたところに洞窟、と言うか変な穴を見つけた。
中から風が吹いてきている。
この中に魔物がいるのだろうか?
だとしたら迷宮か何か?お宝は?
一瞬で眼の色が欲望に染まり、走って突入した。
こんな馬鹿すぐに殺されるのだが、この馬鹿は全くもって違ったのだ。
~★☆★~
穴は、洞窟とも言えなかった。
例えるなら、迷宮。
壁は土で出来ていて、光魔法の発行で照らしているが、俄かに明るい、それでいて魔物が飛び出してきて、死体は魔石と何か装備品やらアイテムやらを残して消えて行く。
まるでこの洞窟に吸収されているようだ。
苔が生えていて、じめじめとした部屋の中、シンは辺りを見回した。
剣の刺さった台座、何やら物騒な事が刻まれている石板、明らかにボス部屋。
今まで仮迷宮の中をくまなく見てきたが、宝箱一つないタダの洞窟だった。
だがこの部屋は違った。
なんか、すごい魔力っていうか、圧倒的な圧力。
バリバリヤバそうな雰囲気だ。
「予想はこの件を引き抜くとボス解放…か?」
独り言を呟きながら石板に目を通す。
あのクソ長い名前のスキルのお陰でバリバリ読める、読めるぞ!?
で、内容はこちら。
「神間戦争ラグナロク」
世界を操るとした神は魔王との戦争で疲弊した。
その時を狙って神々に戦争を吹っ掛けたのがいた。
新たな魔王、アンラ・マンユである。
彼は桁違いな数千、数万の凶暴な魔物を率いて、疲弊した神々を残虐してゆく。
神々の手下の天使族の一部も反旗を翻し、神々を滅ぼしていく。
これはのちの堕天使である。
アンラ・マンユは最強の手下、アジ・ダハーカで最古の神に挑むが最古の神は指先で彼らと彼らの手下を封印した。
ここは、そのうちで半神半蛇の体で神々の子供を殺しまわった悪魔の一人、ラミアを封印している。
台座の剣は最古の神が両手一杯の聖なる力を宿した剣。ラミアの心臓を突いて封じている。
抜くべからず。
ですって。
聞きました?奥さん。ラミアですって!?
なんと、伝説級じゃあないか!?
だが良い事を教えてやろう。
こんなクソ雑魚ゴブリンしか出ない洞窟、しかも一階層にこの大事な剣置いちゃだめだろ。
だが、抜こう。
嘘です抜きません。
だって今木の枝装備しかないもん。
ヒノキの杖です御免なさい。
迷宮で分った事だが、棒(杖)があるのと無いのでは全く実用性が違うと言う事。
何というか、指先で魔力を出すとあちらこちらに飛んで行ってしまい、分散する。
が、棒(杖)があると一か所に飛んで行ってくれるのだ。
棒便利マジ最強。
という風に水鉄砲みたいなものなのだ。
たかが木の棒ヒノキの棒、だがあるのと無いのでは大違いだ。
「よし、魔石やクソゴブリンのドロップアイテムも集まったし、帰ろうか…。」
さっそくゴブリンの洞窟をあとにしようと思った時だった。
ゴゴゴゴ…カラン、という音がしてとんでもない魔力が解き放たれた。
嫌な予感だ。ゴゴゴゴ、剣が抜ける音、カラン、という音は剣が落ちた音な気がする。
「…」
ゆっくり、後ろを向く。
いた。
眼を閉じて、こちらを向いている、下半身が蛇の、女性。
蒼い髪をして顔立ちは整っていた、白い肌が不気味だった。
目がぱっちりと開いた。目玉は綺麗な緑色をしていた。
瞬時に鑑定を発動させて逃げた。
だってあんなの相手出来る訳がない。
少し遅れて鑑定結果が俺の前に表示される。
俺はすでに洞窟の入り口にきていた。
ちょっとスピードを落として鑑定結果に目を通した。
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《ラミア・ゴーント》 Lv.45 半神半蛇_暗殺者【状態異常:衰弱・毒・暗闇】
称号:子供殺し、神の妻、堕落した者、神殺し、世界を手に納めし者、封印されし者
【体力】…19/25{-2578}(封印の晒)
【魔力】…15{-135}(魔封じの指輪)
【攻撃力】…1{-1322}(封印の腕輪)
【防御力】…1{-1894}(白のローブ、封印の首輪)
【敏捷】…14{-924}(超重量の足枷)
【幸運】…16{-784}(不幸の髪飾り)
《呪い》
・魔王アンラ・マンユの加護
・最高神の加護
《固有スキル》
・子供殺し
・蛇双
・水蛇
・瞬殺
・首締
《スキル一覧》
・魔法の才能Lv.1
・魔獣化Lv.Max
・肉体強化Lv.2
・歌魅了Lv,3
《攻撃スキル一覧》全てNew
・魔術Lv.2
・剣術Lv.1
・弓術Lv.4
《魔法一覧》
・炎魔法:初
・水魔法:初
・闇魔法:中
・純魔法:中
】
なんというか、ご愁傷様です。
称号は一気にかわいそうになったし、基礎ステータスなんか全部封印されてるし…
かわいそう過ぎるでしょ…
あれ?
…状態異常?
毒と、衰弱、暗闇?
つまり、下剤飲んでマスク付けられてご飯食べてません状態?
…俺は取りあえず可愛そうなラミアちゃんのところへ戻った。