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境界の巫女  作者: 夜桜舞華
一章.出会い
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2

月が出ていて明るいが真っ暗で生徒も先生も誰一人学校に残っていないこの時間、理事長が少年達と約束をした8時になった。

「さて、こんな遅くに集まってくれてありがとう。それでは君達の勘違いを解こうとしようか」

理事長と少年達はお互い向かうようにいる。

「ねぇあの娘わ?」

徹は自分達の周りを見ながら理事長に聞く、何故なら鈴と呼ばれていた少女がこの場にいないのだ。

「あぁ鈴だねあの子は今この一階に結界を貼っているところだよ」

「えっ!?」

理事長は鈴の今している思い出しながらこたえるが、その言葉に少年達は疑問に思ったことが二つある。

一つ目は結界とは、様々な物から自分を守ったり、何かを結界の中に閉じ込めたりする霊能力者が使う術なのだ。それを鈴が使ってると言うことと、もう一つが何故今結界を貼る必要があるのかについてだ。

「おお帰って来たようだ」

理事長は部屋の扉の方を見ながらそう言うと「キィー」と部屋の扉が開いた。そこには黒目で黒色の長い髪を後ろで軽く結って口に薄い紅をさしている、巫女装束の少女が1人ドアの前にいた。

「おお鈴お疲れどうだ、敷けたか?」

「はい。しかし叔父さまの結界が元々学校自体に貼ってありましたよ。それに余計なものもありましたが……今回必要になると思ったのでそのままにしておきました」

鈴は笑ってるがその笑みが怖い……少年達は少し背筋に悪寒が走った。しかし理事長は気にしてないのか笑顔で答える。

「おおーそうかそうかそうか」

「ええーすっ鈴ちゃんなの!?しかもその姿……もしかして巫女だったりする?」

まず、初めに口を開けた徹は半信半疑で鈴に聞く。

「うん……まぁそうだけど」

徹は半信半疑で聞いていたけれど鈴は冷静に徹の質問に答えた。

「てかのぉ結界をどうして貼ったのじゃ?」

「そう!それが気になってたんだよね」

「理事長何をするつもりですか」

少年達は気になっていた事を理事長に聞く。

「勿論昼に言っていた君達の勘違いを解くためだよ。じゃあ廊下に出ようか」

理事長は部屋の扉の方に行き扉に手をかけながら、少年達を外に出るように指示をし自分も外に出る。その後みんなが廊下に出たことを確認した理事長は、もう一度少年達と鈴のの方を振り向く。

「じゃあ始めるよ」

少年達と鈴は無言で頷く。すると、理事長は小さい声で何かを唱えると理事長の前に明らかに人外なものが3匹現れた。

一番右にいるのは、ぱっと見ただけでは単なる猫に見えるが、その体は犬ほどありよく見るとその尻尾は二股に分かれており、普通の猫より爪が長くて鋭く、口を開けたら牙が見える。猫又だ。真ん中にいるのは、緑色したスライム状の得体の知れないもの。左端にいるのが、人が1人乗れるくらいの体に、太く短い4本足を持っていて、その足の先には猫又よりも鋭い爪が付いてあり、太い尻尾も付いてある。そして、胴体から首が三本に分かれ蛇のような顔が三つ付いてる。この妖にも牙が付いている。妖達は動いているが、見えない壁に当たっているようにその場から一歩も動からない。

「理事長さんよぉこれでどうやってあの娘に対する勘違いをとくんじゃ?」

銀髪の少年は出てきた妖達を見ながら疑問に思ってることを聞く。

「君達は鈴が弱い底辺の霊能力者だがワシの姪っ子だから、生徒会に入れてくれと言っていると思っているだろう」

「まぁーそりゃそうなるでしょ」

「だけどあなた《理事長》がそんなことでウチ《生徒会》に入れるとは思えないんですよね」

黒髪の少年は微笑んではいるがその後ろには物凄い黒い気が立ち込めていた。しかし、理事長はそんなのを気にしていないのか黒髪の少年の質問に答える。

「その通りだよ真琴君。鈴にはちゃんとした実力があるからね、それを今から証明しようと思ってるのだよ」

理事長はそう言いながらさっき出した妖達を見る。

「その妖達を出したということは、その妖達を退治するということですか?」

「でもさぁその妖達あんまり妖力高くなくない?」

少年達も妖達を見ながら言う。

「まぁ見てたらわかるよ」

「取り敢えず今は理事長の仰る通りにすればいいだろうね」

真琴がそう言うと理事長はそれを見て鈴の方を向く。

「鈴こっちに来なさい」

理事長は、少年達より後ろにいる鈴を手招きする。鈴は、歩いて来て妖達の前で立ち止まる。

「この三匹の中にワシの式が一匹関係の無い妖が二匹いる。どうじゃ当てられるか?」

理事長は妖達を見ながら、両手を広げる。すると、鈴は一度眼を閉じた。しかし、次眼を開けるとその瞳は、黒ではなく透き通るような紅色の瞳をしていた。それに少年達は少なからず驚いていた。

「えっ!?なにその眼」

「色が……変わっておる」

少年達が唖然と驚きながら鈴の顔を見ているが、鈴は興味がないのか、顔を見られることに慣れているのか、全く少年達が何か言っても何も返さずじっとあやかし達を見つめる。

「どうだ分かったか」

「はい」

鈴は理事長に結果を聞かれると眼を閉じそのまま理事長の方を向く。そして、眼を開けるとそこには透き通るような紅色の瞳ではなく、漆黒の瞳が理事長を見つめている。

「この子が、叔父さまの式で残りの子達が普通の妖ですね」

鈴は理事長を見つめた後もう一度妖たちの方を向き、左端の妖を指差して理事長の式といい、他の妖を普通の妖と言った。

「じゃあ君達はどう思う?」

理事長は後ろにいる少年達にもどれが自分の式でどれが普通の妖かを聞くが、少年達はそろって首を振る。

「……わかんない」

「俺もわからんのぉ。真琴はどうじゃ」

奏にふられた真琴も微笑みながら答える。

「僕にもわからないな」

そんな少年達を見て理事長は満足そうな顔をする。

「まぁ答えは鈴が言ったのが正解だよ。こいつがワシの式の三頭龍でっ真ん中が瘴気の塊で右端が猫又だよ」

「ええーねっなんでわかったの」

理事長が、答えると徹は鈴が当てられた理由を目をキラキラさせて、興味津々で聞く。

「えっとまぁ核が違うんだよね」

「はっ?」

鈴がそう言うと、真琴達は驚いた顔をしていた。

「おいおい心って……それってまさかのぉ……」

「でもあの瞳の色って」

「理事長……今自分達の聞き間違いでなければ彼女は今、心と言いましたよね」

徹と奏はありえないと言う風な顔をしていて、真琴は自分が聞き間違えてないかまで理事長に聞く。

「大丈夫聞き間違いじゃないよ」

「じゃあまさか……」

聞き間違いじゃないと言われた真琴は、やはり。いや……先程よりも驚いた顔をしている。

「じゃあ彼女は」

「君達の考えている通り、鈴は神の眼の持ち主だよ」

「神の眼」それは、妖の核——人間で言う心の臓に当たるものが見えるのだ。核は、そこを攻撃すると弱い妖なら一撃で退治でき、強くても核に当たればかなりのダメージが与えれるのだ。だが、神の眼は誰でも持っているわけでなく、霊能力者の中で神に愛でられているものしかいないのである。なので、鈴が神の眼を持っているのはかなり珍しいことなのだ。そして、少年達は驚きすぎて声も出ていない。

それ凄すぎない?

その年で神に愛でられたんじゃな

少年達はある意味引いていた。

でも、サポートは出来ても実戦も出来なければいけないからね

まぁそうだからねコレを見たら君達も納得するよ

いやーもう納得できてるんだけどね〜

まぁこういうのは黙って見とくのが一番じゃよ

徹と奏が話し終えたのを見て、理事長は指を体の前で構え、何かを唱えると「バンッ」と大きな音を出して一階にある部屋のほとんどの扉が開いた。すると、その部屋からパッと見ただけでも優に二十は超える、妖やさっき理事長が出した瘴気の塊が出てくる。

叔父様はこんな物を隠してたのですね

鈴は急に出てきた妖たちに驚くこともしないで、元々そこに居るのが分かっていたように言う。その顔は笑ってはいるがやはりその笑みは恐怖としか思えなかった。

鈴十五分で終わらせなさい

はーい

鈴は、みんなより一歩前に出て妖達を正面から見る。

いやー今回は多そうだし骨が折れるなー

困ったなと思わせるようなことを言っているがその言葉とは逆に、凄く嬉しそうな顔をして準備運動もしている。

じゃあ始め!

理事長が妖退治の始まりの合図をすると鈴はそのまま妖の中に飛び込んでいく。

ねぇーあれ幾ら何でも無防備過ぎない?

徹は特に何か妖たちに対抗できるようなものを持っていなさそうな鈴凪を見て言う。

まぁ大丈夫なんじゃないかな

徹以外の二人は徹と違い心配するより楽しんでいるようだ。

神輝!

そして、鈴は走りながらニヤリと笑うと高く飛び、右手を体の横に出して誰かの名前らしきものを言うと手元が光り、白色に光る弓が出てきたが、そこには矢がなかった。

へぇーあれがあの子の使う霊具か

真琴が、興味深く鈴の出した矢のない弓を見て呟く。

鈴は走りながら手に神経を集中させ、矢を持たないまま弓を引く。すると、弓に白く光る矢が一本番える。弓をめい一杯引くと鈴は矢を妖に向けて放つ。それは空中で二本に分かれ、三本に分かれ最終的には五、六本に分かれた。そして、分かれた矢は妖に当たり、矢に当たった妖たちは次々に消えていく。鈴は妖が消えたところに一旦着地し、また走って飛ぶを繰り返し妖達を祓っていく。

鈴が動くたびに腕や脚についている鈴が玲瓏に鳴り、下駄が軽やかに少し低い音を奏でる。全ての動きに無駄がなく、凛としていてその姿はまるで胡蝶の舞を舞っているようだ。その姿に少年達も何も発さないで鈴の姿に見入っていた。

そして、理事長が言った十五分より五分ほど早く廊下にいた全ての妖達は鈴によって祓われていた。

いやー疲れた

鈴は額に薄っすら浮かんでいる汗を払いながら理事長達の元に戻ってくる。

お疲れ。はい

理事長はニコニコしながら鈴にハンカチを渡す。その横にいる真琴は目を開いて鈴を興味深く見ていて、奏は面白そうに、でも、真琴と同じで興味深く見ていた。徹は、目をキラキラさせて嬉しそうに笑っていた。

どうだったかな鈴の実力は?

まぁこんなけ出来るからの

問題はないね

じゃあ決まりだね

まぁ鈴は明日から学校に通うから宜しくね

理事長は、自分の前に鈴を持ってくる。

うん。じゃあ宜しく

真琴は、鈴に手を差し出す。それに鈴も答えて手を差し出して真琴の手を握る。

宜しくね

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