プロローグ
漆黒の闇の中に少女が一人、家の屋根の上を異形を下駄と鈴の音を響かせ、追いかけている。
「ちょっと……逃げ足速いんだから焔お願い」
「おう」
少女は異形に呆れながら追いかけ、途中で誰かにお願いをすると、少女の横から薄いベスト一枚にたわんだズボン、黒いサンダルを履いていて赤髪の褐色肌をしている青年が現れた。
その青年は、異形の方に手を向けるとその手から赤く燃える炎が出てきて、異形を取り囲む。
「よっし。神輝!」
異形も驚き一瞬動きが止まった。少女はそれを狙ってたのかニヤリと笑い、誰かの名前らしきものを呼ぶと、右手にその場の闇とは正反対の白く輝くいている矢の無い弓が現れた。そして、その弓を構えると白く輝く矢が番える。少女は弦をめいいっぱい引き、異形を目掛けて矢を放つーー。それは見事に異形に当たり、異形は光りながら消えていった。
少女が持っていた弓はまた、白く光り、少年の姿へと変貌をした。そして、赤髪の青年の姿はもうなかった。
「今日も仕事完了!神輝お疲れ」
「いいえ大丈夫です。それより風が少し騒がしいですね」
「うん……そうね、何か起こるのかもね」
神輝と少女は真っ黒な空を見上げながら少し、意味深長な言葉を交わす。