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明日世界が変わるといいな  作者: あさたろ
第一の世界 クリスタリア
5/9

城内 薬草園



 城の外に出た優太御一行様、久し振りに新鮮な空気を肺に入れ込んだ優太は自然を満喫していた。


 とはいっても城の塀の中で決して森の中と言うわけではなかったが少なくとも優太が死ぬ前に居た酸素が汚染され、排気ガスで充満している所より何倍もましである。


 庭園はとても城の中とは思えない程に広く何処かにピクニックにでも来た感じだった。


 咲いてる花も優太には見たことのない花ばっかりで目を輝かせながらあちこち見ては微笑む優太、そんな優太を見て表情が猫の様にニンマリとするセルロア。


「ユウ、どうだ?我が城の自慢の庭園は?」

「うん!綺麗でよく手入れもされてるね、僕は花とかそんなに詳しくないけど愛情が込められてるのが凄くよく分かるよ。」


 マリオンが優太が気に入ったのを見て話に注釈を

入れてくる。


「ここの庭園は向こうにある薬草園の薬草師の方が御一人で全て管理されてるんですよ。」

「一人で!?こんなに広い庭園を?すごいね……」

「ええ、あっ!そうですわ!ユウ様、薬草師の方にお会いになっては如何です?」


 更にヴァネッサまでも話に入ってくるがセルロアが怪訝そうな顔をする。


「キュリアにか?しかし会うかな?あいつは気難しいしな……」

「大丈夫だと思いますわ、あの方は人見知りなだけでお優しいお方ですもの。」


 二人のやり取りにちょっと不安になる優太。気難しい人なのだろうか……?



 暫し花畑を歩いていくと透明なドーム状の板に囲われた部屋みたいな物が見えてきた、材質が何かは分からないがビニールではないビニールハウスの様だった。


「ここが薬草園だ、国内は基より国外の薬草も栽培している。」


 セルロアが自慢気に説明をする、土が列をなし盛り上がっていてその上に色々な種類の薬草が植えられていた。

 派手な色の薬草から地味な物まで、中には真っ白や真っ黒な薬草があった。


「キュリア!キュリアはおらぬか!?」


 セルロアが大きな声で薬草園の管理者のキュリアを呼ぶと薬草と薬草の間から顔が出てきた。


「ああ、其処におったか。キュリア、このユウに薬草園の案内を頼む。」


 泥を払いこっちに歩いてくるキュリア、金髪で碧眼をしていて肌は白く背はミリアより小さく、耳は長くて尖っていた。

 所謂エルフという種族なのだろう、人間以外の種族を初めて見た優太は目を真ん丸にしていた。


「……どうぞこちらに……」


 キュリアに着いていき園内を廻る、室内は本当にビニールハウスの様に温かく魔法で制御をしているみたいだった。

 この国の薬草だけでも約1200種類あってここには1000種類あるらしい、国外のも合わせると1500種類、それを全てキュリアさんが管理して栽培してるそうだ。


「全部覚えてるの?キュリアさんスゴいんだね!?」


 優太が感心するとキュリアの耳がピクンと揺れた、どうやら嬉しかったらしく口元も綻んでいた。

 機嫌をよくしたキュリアは一生懸命喋りセルロア達は驚く程だった。

 普通に其処ら辺に生えている薬草から採りにくい場所に生えている薬草、マンドラゴラ、アルラウネ、果ては伝説の薬草、どんな病気や怪我なども治してしまうエリクサーも栽培していた……

 ただ死んだ人間を生き返らせることは出来ないらしく前王の時に実証済みだそうだ。

 魔法ならば蘇生が出来るが死んで30分以内に行わなければそれ以降はアンテッドになる。蘇生呪文は上位聖職者(僧官や枢機卿等)にしか使えない、恐らく優太は使えるだろうがまだ未知数だった。

 それならば何故前王の時に使わなかったのか?ということになるがそれは政治柄見で枢機卿が断ったらしいが……


 話が反れたので元に戻すと薬草師キュリアは30年前からここで管理人をしている。

 エルフは長命種で個人差はあるが十代の年齢で見た目の成長が止まり何百年も生きる。

 女性なので実年齢は控えるがキュリアは10才位で止まったみたいだった。すると40以上か……?



 失礼しました。



 優太御一行は一通り薬草園を見学後園内にあるキュリアの館でお茶を御馳走になっていた。


「ん!美味しいね、このお茶。」

「ありがとう…ございます……薬草のハーブティです…」


 優太は一口飲みビックリする、匂いは確かにハーブティだが味は極上でまろやかな紅茶だったからだ。


「ふむ、いつも俺は城内ではこれを飲んでいるが今日のはまた格別だな。」

「あっ!美味しい……」

「本当に美味しいですわ……」

「村のハーブティ……飲みたくなっちゃった……」


 収拾がつかない発言のミリアをよそに話は進む。


 キュリアが、というか耳が気になってしょうがない優太。チラチラと見ているつもりだが他の四人は気がついていた、勿論見られてるキュリアも気がついている。


「……触ってみます……?」


 はっ!としながらもこくこくと頷く優太、キュリアに近寄りそっと耳を触る…

 プニプニと柔らかくそれはマシュマロの様で人と同じ様に硬い部分はグミみたいだった。

 無我夢中で耳をふにふにとさわり続ける優太、ピクッとして顔は恍惚としていた。


「んっ……」

「あっ!ご、ごめんなさい!つい夢中で……」

「い……いえ……」


 やり過ぎたと思って手を離す優太、キュリアも恥ずかしそうに顔を隠した。

 四人もどうしたらわからず沈黙、気まずい雰囲気が流れ始めた……


 ドォォォォンッッ!!!


 館の外で途轍もない音がして何事かと全員が

飛び出した、そこには薬草園の中から土煙が上がり巨大なゴーレムがそびえていた……





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