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明日世界が変わるといいな  作者: あさたろ
第一の世界 クリスタリア
4/9

城内 修練場


 あれから三日が経過した、優太は落ち込んだまま部屋の外から出ようとはしなかった。

 目標が見つからないのがもどかしかったし何よりも奇異な目で見られるのが怖かった。

 部屋に来てくれる人はそんな目で見る者は

いないが外では聖女として見られる……

 前世のトラウマからなのか引きこもりに

なっていた。

 しかしヴァネッサやマリオン、ミリアの話からこの国がどういう国なのかが見えてきた。

 セルロアはまだ即位したてで直ぐ様に隣国の

サルス皇国が攻めてきた事、

 この国は世界で唯一魔力が使える石、

魔石が発掘される国で魔道具を作るのに

絶対必要な石だった。この為世界中から目を

つけられていた。

 まだ前王セルロア7世が即位中は

他国からの侵略に目を光らせていたのだが

継承の隙を狙ってきたらしい、

その7世か亡くなった理由もハッキリとはされておらずサルスに殺害されたという人もいるが真相は、定かではなかった。

 国自体は治安もよくて山と海に面しており農作物も魚介類も豊かだった、税金もそれほど高くなく他国からも人がやって来る。


 ヴァネッサとマリオンは貴族の出でヴァネッサは伯爵家の三女、マリオンは侯爵家の次女で

二人とも花嫁修業として王宮に侍女として出されている。

 いずれは何処かの貴族家へ嫁ぐそうだ。

結婚相手が自分で決められないなんて可愛そうだなと優太は思ったが本人たちは

それほど深く考えておらず身分もお金も持ってて更に顔が整っている(つまりはイケメン)

三拍子揃ったいい男を捕まえられれば性格は二の次なんだとか……

 それを聞いた優太は呆れ果てていたが。



 セルロアは毎日の様に来てくれて話し相手になってくれた、優太に気を使っているのが目に見て分かる。

 そんなセルロアをなんだか友達感覚になってきて気軽に話せれる程になっていた。



 優太は流石にこのまま引きこもる訳にはいけないと思いミリアと一緒に城内を散歩することにした。


 体力的には大分快復し歩けるようにもなっていたが少しふらつくのでミリアに寄り添いながら連れ歩く。


「ミリア、大丈夫?重くない?」

「大丈夫ですよ、ユウ様。なんならもう少しもたれ掛かっても?」

「ううん、大丈夫。ありがと……」


 二人の身長差はそれほどなく端から見れば仲のいい姉妹に見える、優太を慕っているミリアはここぞとばかりに引っ付いた。


「うわぁ……」


 自分の寝室しかまだ見たことのなかった優太

だったのでただ廊下を歩いているだけでも

驚きの連続だった、横幅だけで5メートルくらい

あり、それが先が見えないくらいに続いていた。

 迷子にならないように途中までは

道を覚えようとしていたが曲がっているうちに

覚えるのを諦めてしまっていた。


「ミリアはもう道を覚えたの?」


 スタスタと先を歩くミリアを見て優太は頼もしそうに手を握る。


「あ…いえ、まだ自分の部屋とユウ様までの道と調理場とか……それくらいです。」


 まだ来て間もないのだが引きこもりの優太より全然ましだった。二人はあちこち見回りながらやがて広い場所に出た。


 騎士らしき人達がたくさんいて鍛練をしている、どうやら修練場のようだった。

 日本で言うと剣道場の様な感じで地面が

砂を敷き詰めてあった。

 其々一対一の勝負をしているが一組だけ二対一で闘っている所があった。

 二人は新兵の様で汗を流しながらいつ

斬り込むか間合いを取っている、

一人の方は隊長なのか大柄で筋肉の塊で

余裕綽々といった感じだった。


「オラオラ!どうした?早くかかってこんかあ!?」


 あおる筋肉、新兵達はビクビクしながらも一人が意を決して斬りかかる!

 が、片手で弾き返され地に伏せる。残ったもう一人はヤケクソ気味に剣を大振りで突っ込んだ。

 勿論惨敗で胴に木刀を喰らって突っ伏した。


「強い……この人……」


 優太は格闘をしていた訳ではなくどちらかというと平和主義者で体育会系より文科系だった。


「なんだ?お前ら……兵士志願者か?」


 優太達に気がついた筋肉は面白そうにこっちを見た、この国には女性兵士もいるが基本的には男女別で鍛練を行っていた。

 優太はワンピースのフリル付きスカートで

ミリアも同じ様なスカートを着ていて兵士志願者の格好ではないことは一目瞭然なので

からかわれているのは優太でも解る。


「だったら……お相手してくれますか?」


 温厚な優太だったが何故だかカチンと鶏冠とさかにきてついそんなセリフを吐いてしまっていた。


「えっ!?ユウ様……?」


 隣で怯えていたミリアは袖を引っ張り止めようとしたが優太は止まらなかった。


「そのかわり、魔法を使ってもいいですか?」


 筋肉は訝しげに優太を上から下までじっくりと眺めながら頷いた。


「お前……魔法使いか?珍しいな……よかろう、俺はセレガス・ロド・サルヴだ。」

「……ユウです。」


 一瞬セレガスの眉がピクンと動いたが横に移動して場所を空けた、新兵から木刀を受け取りそこに進むとセレガスの殺気と闘気に

怖じ気つきそうになるが今更後には引けなかった。


『ノジル、僕って魔法が使えるんだよね?』

『ん?まあなあ……使える事は使えるが主に回復魔法じゃぞ?』

『回復魔法ぉ!?じゃあ戦闘には役に立たないってこと!?』

『うちが回復系の魔法しか出来んからの、後は補助魔法とかな。』

『ど、どうするの!?この状況を??』

『しらん、自分で蒔いた種じゃろ?自分で刈り取れ。』


 万事休す、何もかも終わりである。もはや施す手段がない。


 頭の中が真っ白になる優太……何で喧嘩を買ってしまったんだろう……三割引くらいにならないかな……

 周りでこんな面白いカードを見過ごす訳がないと野次馬が騎士団は基よりメイドや執事まで

集まり人だかりが出来てしまった。


「ふん、暇な奴等だ……まあ余興としては丁度いいか。なあ、聖女様?」

「えっ!?僕の事知ってるの?」

「そりゃあなあ……知ってるさ……有名だからな。どれくらい強いか試してみたかったからな、ぐふふ……」


 にこやかに笑ったつもりのセレガスだったが優太には厭らしさが滲み出る様にしか見えなかった。


「どうしよう……」


 小声で囁くも誰の耳にも届かず最早闘うだけしか残っていなかった。


「どうした?来ないのか?こっちから行こうか?」


 挑発してくるセレガス、何かないか、何か……必死になり考える優太。

 筋肉…筋肉…肉…男……

あっ!


「いくぜいっ!!」


 襲い掛かってくるセレガス、焦る優太。真っ正面から突進し突っ込んでくる。

 身長が2メートル程の長身セレガスに対し推定1メートル50センチしかない優太、思いきってがに股になっているセレガスの太股に滑り込む。

そこに木刀を立てる!!


   ボクウッ!!!


「ぎゃあああああっっっ!?」


 断末魔の叫びと共に巨体が転がり落ちた、その場に居た全ての男達が股間を押さえる。

 恐らく元男?の優太でしか思い付かないだった

だろうか。

 身体中の筋肉を鍛えても実はここだけは鍛えられない。咄嗟の作戦だったが巧くいった様だった。

 御愁傷様……

 踞り動かなくなったセレガスに近寄り回復魔法の呪文を唱える、痛みが和らいだのか脂汗だらだらだったが少しずつ引いていった。


「はあ…はあ…はあっ……」

「だ…大丈夫……ですか?」

「大丈夫な訳あるか!!お前さん魔法使うっていってたよな!?なんで金的なんだよっ!女の使う技じゃねーぞ!!」


 捲し立てられ唾の波を受け止めながらシュンとなる優太。


「ご、ごめんなさい……」


 怒鳴り過ぎたと思ったのか頭をポリポリとかきながら閥が悪そうにするセレガス。


「あ……いや、元はと言えば俺が悪かったんだな、すまん……まあ確かに実際の戦闘じゃ魔法だの金的だの反則技でも勝てばいいんたからな?」


 歯を剥き出しにして笑うセレガス、なんだか可笑しくて優太も笑ってしまった。



「何の騒ぎだ!これは!?」


 人の波を掻き分け二人に近寄って来るのはセルロアと優太の侍女、ヴァネッサとマリオンだった。


「ユウ様!よかった、ご無事で……」

「ユウ様がミリアと部屋から居なくなっちゃったので慌てて陛下を呼びに行ったんですよ?」

「ごめんね……二人とも。心配かけて……」


 優太を見て安堵するセルロア、だがセレガスを見やると目付きが一変した。


「セレガス、ユウに何をしたんだ?」

「あ…いやあ……その……聖女に…ちょっと闘いを

挑んだだけでして……」

「闘い?女に闘いを挑むのか、騎士団長ともある

お前が……?余の情人に手を挙げたのか……?」


 騎士団長だったらしい筋肉の塊は今や凝縮して見る影もなかった、セルロアは見た目ではセレガス

より少し小さいが威圧感はそれを凌ぐくらい

だった。


「セルロア!やめて、僕が悪いんだ!」


 二人の間に三角関係宛らに立ちはだかる優太。


「ユウ……?いや、しかし…いくらなんでもセレガスとやりあわなくても…」

「僕が……ついムカついちゃって喧嘩を5割引で買っちゃったから……だからセレガスさんは悪くない……ごめん……」


 俯き泣きそうになっていると頭の上に大きな手、セレガスだった。


「聖女様……いや、ユウ様、悪かったな……代わりにこのセレガス・ロド・サルヴは貴女様に一生忠実に忠誠を誓おう……」


 優太の前に跪くセレガス、この国では一生を仕える主人に出会った時に忠誠を誓う儀式があり

略式でも構わないがこれを破ったとき死罪に

なるらしい、自分を庇ってくれた優太に対しての

敬愛であった。


「……ユウ、セレガスを許すか?」

「うん、勿論だよ。ごめん、騒がしちゃって……皆もごめんなさい!」


 ギャラリーに声掛する優太、皆苦笑いをしていたがそれを暖かく見守ってくれた。


「セルロア……あの……城内を案内してくれる?いつでもいいからさ……」


 俯きちょっと上目使いでセルロアを見る優太、恥ずかしそうにしているとニヤニヤと何とも言えない顔をしている。


「ああ、じゃあ今から行こうか?お姫様?」

「なっ!?またそれえっ?僕はお姫様じゃないって!!」



 修練場を後にする優太御一行様、まだしゃがみながらセレガスは考えていた…


(あのセルロア陛下が情人か……確かに一生を誓う

だけの価値があるな……吹っ切れたのか……

シリアル様の事は………)






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