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四軒目

小さな懺悔室。


夕暮れの時間になると、ハインガルドはその様相をかえる。

次第にランタンに明かりが灯り、石畳、石造りの街並みが闇に覆われてゆく感覚は本当に不思議だ、どこか怖い様なドキドキする感じは、夜中コンビニに向かう感じに似ている気がする。

僕は夕焼けを背に、てくてくと坂を登る。


街の中心部を目指して歩くと、この世界の宗教施設にたどり着く。

治安の安定した中心街、それも教会なら盗難に遭わずにすむ。そしてなにより、炊き出しにありつこうと僕は教会に身を寄せていた。


中世においての教会とは、銀行と財団法人と教育施設を闇鍋にブチ混んでおまけにと裁判所の役割まで持たせたような場所だ、権力のるつぼとも言えるだろう。旨味もあれば、ハズレやゲテモノも同時に存在する場所だと僕は考えた事がある。

聖職者を育成し教義を広める一方で、ありとあらゆる都市の汚点に臨まなければならない、病、貧困、富の分配、戦災の後しまつ、などなど。とにかく仕事は多忙なのに、上層部が貴族の血族だったり平民から上昇思考の強いエリートの集まりだったりで、そいつらがガチで殴りあいをしているのだから、システムが腐敗しないわけがない 。


あ、僕は宗教嫌いというワケではありませんよ。

神殿、教会、大聖堂、礼拝堂それらを飾る彫像や装飾は、権力と見栄っ張りと寄付をもらおうとする下心で作られているのだから。

何より街の中心部たる聖堂が貧相だと、お城がかわいそうだからね。


そんな中世の恥部になりかねない、教会に助け舟を出すなら。中世の流通と経済というくくりで考えたとき、その中心にあるのは教会のネットワークであり、コネクションだったりする。これこそが教会の権威なのではないかと僕は密かに思っている。


──つまりは、

経済的な側面で教会がコケると皆コケるのだ。


大聖堂に着いた足で、そのわきにある礼拝所の一角にむかう。

この世界でも懺悔室というシステムがあるらしい。

僕からすると漫画喫茶の個室とたいして変わらないのだが、

先行きが安定するまでは、しばらくお世話になるつもりだ。


リュックに結びつけた毛布をほどいて、身をくるんで横になる。

しばらくすると、格子戸の向こうに人の息づかいが聞こえる。

司祭さんが来たらしい。

僕はリュックから大学ノートを取り出して、格子戸の下から滑り込ま

せた。向こう側でパラパラとページをめくりながら、クスクス笑う声を聞くと、少しくすぐったくなる。

このやりとりも、もう日課になってしまった。

最初のうち、僕は司祭さんの存在を完全無視していたのだが、

一向に出てゆく気配がなかったので、たわむれに昼間溜め込んだ

スケッチを見せてみることにしてみた。

すると壁一枚隔てた向こうで、息をのんだり、呟いたりしている様子を伺えるではないですか!。僕の画力も捨てたものでは無いらしい。

そりゃそうだ、言語学習以外は暇にくれているのだから、スケッチにも力がはいります。


朝一番の市場の賑わい。

穏やかな午後、午睡をとる船頭。

街で見かけた動物や果物。

武具や煌びやかな衣装を身につけた人々。


司祭さんには動物が一番うけてたみたいだな、

僕が言葉がしゃべれないのを察してくれたのか、絵の脇に

動物の呼名を書いてくれていた。


僕の語彙が増えて来て、小学生位の会話ができる様になった頃。

まだ、会話が心もとない旨を告げると、先生になってくれると言い出してくれた。司祭さんマジぐう聖!。

宗教批判していた、僕が愚かでしたここに懺悔します。



連投の訂正とおわび


連投後の訂正が追いついていませんでした。

訂正以前に読まれた方には申し訳ないばかりです。



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